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2020年を振り返る(4)[SF・ミステリ] [年頭回顧]

年頭回顧
2020年を振り返る(4)[SF・ミステリ]


 とにかくテッド・チャン『息吹』と劉慈欣『三体II 黒暗森林』が印象に残っています。

 テッド・チャンの作品は個人的に理想のSFだと思っているので、次の短編集はせめて今世紀中に出てほしい。それから実のところ『三体』は評判ほど面白いとは思わなかったのですが、『三体II 黒暗森林』は段違いに面白い。『三体』を気に入った方もそうでない方も、とりあえず黒暗森林は読んだ方がいいです。


2020年03月05日の日記
『息吹』(テッド・チャン、大森望:翻訳)
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2020年10月14日の日記
『三体II 黒暗森林(上)』(劉慈欣:著、大森望・立原透耶・上原かおり・泊功:翻訳)
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2020年10月23日の日記
『三体II 黒暗森林(下)』(劉慈欣:著、大森望・立原透耶・上原かおり・泊功:翻訳)
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 中国SFのアンソロジーがたくさん出た年でしたが、正直に言いますと、すべて積んだままになっています。とりあえず読んだ陳楸帆『荒潮』は環境テーマSFかと思ったら意外にも懐かしいサイバーパンクだったのでびっくり。中国SFではありませんが東アジア文化を宇宙に拡大したアリエット・ド・ボダール『茶匠と探偵』も印象的でした。


2020年07月27日の日記
『荒潮』(陳楸帆、中原尚哉:翻訳)
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2020年02月13日の日記
『茶匠と探偵』(アリエット ド・ボダール、大島豊:翻訳)
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 ヨアブ・ブルーム『偶然仕掛け人』は「この世には偶然の出来事などなく、すべては誰かが綿密な計算の上で仕掛けた計画的なもの」という世界観にもとづいた作品で、ディック的パラノイアサスペンスかと思ったらどちらかというと異能力ヒーロー対決もののノリでした。後はキャプテン・フィーチャーのリブート、フレドリック・ブラウン新訳全集など。SFに懐かしさを求めてしまうのは年老いたせいか。


2020年06月16日の日記
『偶然仕掛け人』(ヨアブ・ブルーム、高里ひろ:翻訳)
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2020年05月04日の日記
『キャプテン・フューチャー最初の事件』(アレン・スティール、中村融:翻訳)
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2020年03月16日の日記
『フレドリック・ブラウンSF短編全集2 すべての善きベムが』(フレドリック・ブラウン:著、安原和見:翻訳)
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2020年12月10日の日記
『フレドリック・ブラウンSF短編全集3 最後の火星人』(フレドリック・ブラウン:著、安原和見:翻訳)
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 藤井太洋『ワン・モア・ヌーク』は、近未来というかほぼ現在のテクノロジーで実行される核テロの脅威を描いたサスペンス小説。宮澤伊織『裏世界ピクニック5 八尺様リバイバル』はストルガツキー『路傍のピクニック』におけるストーカーたちを若い女性コンビに変えるという意表をついた設定で大人気のシリーズ最新作。どちらも一気読み。


2020年07月13日の日記
『ワン・モア・ヌーク』(藤井太洋)
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2020年12月22日の日記
『裏世界ピクニック5 八尺様リバイバル』(宮澤伊織)
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 区切りの年ということでSFアンソロジーも大量に出版されましたが、はい、積んだままになっています。とりあえず『Genesis 白昼夢通信』だけ読みました。あとミステリは全然でしたが、両角長彦さんの新作だけ読みました。今年はもう少し頑張ります。


2020年02月04日の日記
『Genesis 白昼夢通信』(石川宗生、中村融、川野芽生、西崎憲、松崎有理、水見稜、他)
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2020年10月27日の日記
『ある実験  一人選べと先生が言った』(両角長彦)
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2020年を振り返る(3)[小説] [年頭回顧]

 笙野頼子さんの新作、および復刊が大きな話題となった年でした。改めて読み比べてみることで、私小説の可能性が大きく広がっていったことがよく分かります。


2020年06月19日の日記
『会いに行って 静流藤娘紀行』(笙野頼子)
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2020年08月27日の日記
『水晶内制度』(笙野頼子)(エトセトラブックス)
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2020年11月17日の日記
『海獣・呼ぶ植物・夢の死体 初期幻視小説集』(笙野頼子)
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 アイデンティティ、記憶、映像の暴力性。高山羽根子さんはSF的な視点を活かした作品で大活躍してくれました。


2020年11月13日の日記
『暗闇にレンズ』(高山羽根子)
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2020年10月05日の日記
『首里の馬』(高山羽根子)
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2020年02月05日の日記
『如何様』(高山羽根子)
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 松田青子さんの新作が多くの読者の共感を呼び、また海外でも旧作の翻訳版が話題となった年でした。津村記久子さんのお仕事小説、矢崎存美さんのぶたぶたシリーズも好調でした。


2020年05月27日の日記
『持続可能な魂の利用』(松田青子)
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2020年08月13日の日記
『サキの忘れ物』(津村記久子)
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2020年06月10日の日記
『出張料理人ぶたぶた』(矢崎存美)
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2020年01月09日の日記
『ぶたぶたのシェアハウス』(矢崎存美)
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 町田康さんは短篇、宮内悠介さんは中篇を読んだだけで、ちょっと寂しい年になりました。今年に期待。


2020年10月28日の日記
『令和の雑駁なマルスの歌』(町田康)
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2020年09月08日の日記
『黄色い夜』(宮内悠介)
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 文芸アンソロジーとしては、自己ベストセレクションの企画が面白く、また一年前に完結した『たべるのがおそい』の番外編が素晴らしかった。


2020年01月21日の日記
『深淵と浮遊 現代作家自己ベストセレクション』(伊藤比呂美、穂村弘、町田康、他、高原英理:編集)
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2020年03月17日の日記
『たべるのがおそい Little 8』(西崎憲:編集)
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 海外小説では、マコーマックの長編『雲』が翻訳されたのが嬉しかった。アイアマンガー三部作が衝撃的だったエドワード・ケアリーの長編『おちび』も、どきどきしながら読みました。ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』は完璧な短編集で、どの作品も心をつかんで離しません。他にはマーガレット・アトウッドのデビュー作が翻訳されたのが印象に残っています。


2020年02月03日の日記
『雲』(エリック・マコーマック、柴田元幸:翻訳)
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2020年06月29日の日記
『おちび』(エドワード・ケアリー、古屋美登里:翻訳)
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2020年01月15日の日記
『掃除婦のための手引き書』(ルシア・ベルリン、翻訳:岸本佐知子)
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2020年06月09日の日記
『サークル・ゲーム』(マーガレット・アトウッド:著、出口菜摘:翻訳)
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 最後に、人間社会にちゃっかり居場所を確保した野生動物たちの姿をえがくショーン・タンの絵本が見事な出来ばえでした。


2020年09月09日の日記
『内なる町から来た話』(ショーン・タン、岸本佐知子:翻訳)
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2020年を振り返る(2)[ダンス公演] [年頭回顧]

年頭回顧
2020年を振り返る(2)[ダンス公演]

 コロナ禍により公演中止が相次いだ年でした。そんななかで、独立拠点を持っている勅使川原三郎さんが新作を提供し続けてくれたことに感謝します。感染防止につとめたスタッフの方々もお疲れさまでした。


2020年11月26日の日記
『ビリティスの歌』
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2020年11月03日の日記
『ピアニスト』
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2020年10月12日の日記
『END 終わりから始まる』
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2020年09月23日の日記
『銀河鉄道の夜』
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2020年08月31日の日記
『妖精族の娘』
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2020年08月11日の日記
『タルホ 稲垣足穂の破片』
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2020年07月06日の日記
『空気上層』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2020-07-06

2020年06月22日の日記
『永遠の気晴らし』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2020-06-22

2020年04月06日の日記
『ゴドーを待ちながら』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2020-04-06

2020年03月30日の日記
『トリスタンとイゾルデ』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2020-03-30

2020年02月10日の日記
『オフィーリア』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2020-02-10

2020年01月20日の日記
『音楽の捧げもの』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2020-01-20


 小野寺修二さんが振付演出を担当した作品はそもそも傑作ぞろいですが、昨年の公演もさすがの安定した面白さでした。


2020年12月08日の日記
『Knife』
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2020年03月03日の日記
『どこまでも世界』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2020-03-03


 高橋萌登さんはダンサーとしても振付家としても大きく成長しているようで、信頼感があります。今後が本当に楽しみです。


2020年11月02日の日記
『楽園はまぼろし、もしくはモキュメント』(MWMW、高橋萌登)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2020-11-02


 ひとつの作品を演劇とダンスという二つの手法で別々に再構成した上で連続上演する『NIPPON・CHA!CHA!CHA!』(山田うん)、公園でダンスをするのではなく舞台を公園にして観客に散策させる『PAP PA-LA PARK ぱっぱらぱーく』(かえるP)、見たことのないような動きを観察させる『むくめく む』(関かおり)、声という道具を研ぎ澄まして使った『Gold Experience』(岩渕貞太)など、意欲的な試みに感心した公演も記憶に残っています。


2020年01月14日の日記
『NIPPON・CHA!CHA!CHA!』(Co.山田うん)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2020-01-14

2020年12月07日の日記
『PAP PA-LA PARK ぱっぱらぱーく』(かえるP)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2020-12-07

2020年03月02日の日記
『むくめく む』(関かおり、PUNCTUMUN)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2020-03-02

2020年11月25日の日記
『Gold Experience』(岩渕貞太)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2020-11-25


 海外カンパニーの来日公演が次々と中止になった一年でした。さいたま芸術劇場で一夜かぎりの公演を実現したフランソワ・シェニョーの舞台はもう奇跡。おそらく伝説になるでしょう。


2020年12月21日の日記
『不確かなロマンス ―もう一人のオーランドー』(フランソワ・シェニョー、ニノ・レネ)
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2020年を振り返る(1)[総括] [年頭回顧]

 2020年に読んだ本は94冊でした。はじめて100冊を切ってしまいました。過去の推移を並べてみると、次のようになります。


2006年: 124冊
2007年: 145冊
2008年: 202冊
2009年: 206冊
2010年: 185冊
2011年: 208冊
2012年: 199冊
2013年: 214冊
2014年: 203冊
2015年: 200冊
2016年: 155冊
2017年: 152冊
2018年: 147冊
2019年: 130冊
2020年:  94冊


 一方、ダンス公演を観るために劇場に足を運んだ回数は20回。過去の推移は次の通りです。


2006年: 26公演
2007年: 18公演
2008年: 21公演
2009年: 28公演
2010年: 22公演
2011年: 14公演
2012年: 36公演
2013年: 22公演
2014年: 32公演
2015年: 28公演
2016年: 29公演
2017年: 37公演
2018年: 37公演
2019年: 27公演
2020年: 20公演





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