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『UFO手帖6.0』 通販開始のお知らせ [その他]

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2022年01月16日の日記
『UFO手帖6.0』 「笑う金色ドクロ」で紹介されました
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2022-01-16





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『UFO手帖6.0』 「又人にかけ抜かれけり秋の暮」(花田英次郎)で紹介されました [その他]

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『UFO手帖6.0』 通販開始のお知らせ
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2021-11-27





タグ:同人誌
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『アダージョ』(勅使川原三郎、佐東利穂子) [ダンス]

 2021年11月21日は、夫婦でKARAS APPARATUSに行って勅使川原三郎さんと佐東利穂子さんの公演を鑑賞しました。ゆっくりとしたテンポで流れる緩徐楽章を取り上げてつなげた音源にのせて二人が踊る上演時間一時間ほどの作品です。

 アップデートダンスのシリーズは作品の題材をどこからとってくるかという点で分類すると文学系と音楽系に分かれると思うのですが、今回は音楽系です。クラシック音楽の名曲から、アダージェット、アンダンテ、ラルゴといった、ゆるやかに流れるパートを選んで、勅使川原三郎さんと佐東利穂子さんが交替で踊ります。

 勅使川原三郎さんのダンスは今回けっこう意外な動きをくり出してきて、新鮮な驚きがあります。様々なものへの執着が消えて静かな諦念になってゆく老境のようなものを感じさせて感動的。

 佐東利穂子さんのダンスですが、腕を大きくゆるやかに動かして周囲の空間にゆるゆると渦を作り出してゆくようなあの動きが印象的に使われていて、なんかすごい。いっけん優雅に見える動きから言葉にならない苦悩のようなものが強く響いてくるのが怖いところで、死の予感すら感じさせます。

 今年はこれが最後のアップデートダンスだと思っていたのですが、最後の最後にもう一つ別の作品をやるとのこと。来月はそれを観にゆく予定です。





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『図解・天気予報入門 ゲリラ豪雨や巨大台風をどう予測するのか』(古川武彦、大木勇人) [読書(サイエンス)]

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 現代の気象予報の中核をなすのはコンピュータによる数値予報です。使用されるコンピュータには、前編で解説してきたような季節ごとの天気図やそれによって起こりやすい天気のパターンなどがプログラムされているのではありません。また、低気圧や台風のモデル、前線の種類による天気の特徴などがプログラムされているのでもありません。(中略)現在の数値予報は、物理学の教科書に載っている基本的な物理法則と大気の状態にかかわる「数値」だけをもとにして、将来の大気の状態を数値としてはじき出そうとする手法です。
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単行本p.184、185

 長年培われた知識と経験を持った気象予報士が、天気図を見ながら経験とカンも活かして天気を予測する……。かつての気象予報のスタイルは、今ではコンピュータによる数値予報に代わっている。数値予報とは何か。それは信用できるものなのだろうか。従来の方法から最新の研究まで、気象予報の技術をまとめて紹介してくれる本。単行本(講談社)出版は2021年9月です。


〈目次〉

前編 人による予報の時代――観測、気象の理解から予報へ

第1章 温暖化で強靭化する「台風」、多発する「線状降水帯」
第2章 気象台も気象レーダーもないころの気象災害
第3章 現在の大気を知る――さまざまな気象観測
第4章 天気図と人による天気予報

後編 コンピュータによる予報の時代へ――数値予報とはなにか

第5章 大気をシミュレートする数値予報
第6章 数値予報を翻訳するガイダンス
第7章 天気予報のこれから




前編 人による予報の時代――観測、気象の理解から予報へ
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 数値予報が始まる以前から、「天気図」を作成するデータを得るために観測は不可欠でした。気圧を観測し、高気圧や低気圧の配置(気圧配置)を天気図に表すことにより、気象状況を概念としてとらえられます。天気図は、日本の気象台の始まりとともに作成され続け、気象状況を表す重要な資料となり、予報を行ったり、起こった気象を解釈する際に非常に重要な役割を担ってきました。
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単行本p.83

 まずは、気象に関する基礎知識と、従来から広く行われてきた気象予報の技術について解説します。巨大台風や線状降水帯など昨今の大きな課題となっている気象現象についても知識を深めます。




第5章 大気をシミュレートする数値予報
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 実際の数値予報は、格子点における数値だけで大気をシミュレートするのです。
 さて、ここまでの解説を経て、いろいろな疑問が湧き起こったのではないでしょうか? 例えば、

「すべての格子点で観測値があるのだろうか? そんなに細かく観測していないのではないか?」
「具体的にどんな物理法則が使われるのか?」
「計算するというが、どんな計算なのか?」
「20kmより小さなスケールの雲の影響は考慮されているのだろうか?」
「海か陸かの違い、地形の違いなどが考慮されるのだろうか? 森林地帯と砂漠地帯での違いは?」
「GPVの気圧、風、気温、湿度などだけで、本当に地球大気を表現できるのだろうか?」
「GPVが得られたとして、それで天気を予報できているのか?」

など……、疑問に感じて当然です。これから疑問を解いていきましょう。
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単行本p.190

 地球の大気全体を例えば20km×20kmの格子に分けて、それぞれの格子内の気温や気圧などの数値データ=GPVを割り当て、あとは物理の基本法則だけでGPVが時間と共にどのように変化するかを計算する……。本当にそんな単純な方法で実用的な気象予報が出せるものなのだろうか?
 全球大気モデルを元にしたスーパーコンピュータによる数値計算がどのように行われ、それで気象予報が可能となる仕組みについて解説します。




第6章 数値予報を翻訳するガイダンス
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 天気予報は人の生活の単位となる地域ごとに出される必要がありますが、格子点値は機械的に計算しやすくするために決めた点における値なので、いわば機械の言葉を人の言葉に「翻訳」するのがガイダンスであるともいえます。また、これによって、数値予報モデルで表現できない細かな地形などの影響によって系統的に生じる誤差などの補正も行うことができます。ガイダンスは「予報支援資料」あるいは「予報翻訳資料」とも呼ばれて、予報者にとっては一種の「虎の巻」のようなものです。
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単行本p.232

 大気を格子に区切って、それぞれの格子点における将来の気温や気圧などのデータが計算できたとしても、それがすなわち気象予報とはいえない。大量に並んだ数値の山を、何らかの方法で人間が理解しやすい天気図や天気予報チャートに「翻訳」する必要となる。そのために使われる「ガイダンス」について解説します。




第7章 天気予報のこれから
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 これらの先進的な数値予報モデルと次世代のスーパーコンピュータを用いた研究は、地球温暖化のシミュレーションに用いられると同時に、雲と降水のしくみに関する研究にも活用されています。より精密になった観測機器と高性能コンピュータを活用し、台風や線状降水帯の発生を全球雲解像モデルやその次世代モデルを用いて、積乱雲スケールの数値予報が実現できる日がくるかもしれません。その実現があってこそ、強靱化した台風による集中豪雨、活発化した前線、多発する線状降水帯による集中豪雨のより正確な予報ができる、次世代の天気予報が実現するでしょう。
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単行本p.271

 気象現象に本質的に含まれているカオス挙動の影響を抑えるために開発されたアンサンブル予報の技術、必要な空間スケールに合わせた階層的な数値予報モデルの採用、局地的豪雨など局所的気象の予報に向けた手法、より高性能な観測技術など、気象予報の精度と実用性を高めるために行われている様々な取り組みを解説します。





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『あなたのための時空のはざま』(矢崎存美) [読書(小説・詩)]

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 いろいろ考えていると、余計にわからなくなってくる。それであきらめる人もたくさんいるのだろうな、と思う。まず怪しげなサイトの数列をクリックする勇気があるか、というところからだし、場所にもし心当たりがあったとしても、本気にしないとか、細かい条件がわからなくて面倒になるとか――そうしているうちに、ひっそりと時空の狭間は消えていく。
 そういう想像を、十代の頃によくしたな、と思い出す。タイムマシンなんて、自分の生きている間にできあがることはないだろうが、時空の狭間ならばふいに出てくるかもしれない。巡り合わせの問題でしかないんじゃないだろうか。
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文庫版p.143


「あなたのための時空の狭間が、ここにあるかもしれません」

 真っ黒の背景にそんな言葉が浮かび上がる、あからさまに怪しいサイト。そこに並ぶ過去の日時のなかに、戻りたいとずっと願っていたまさにそのときが含まれていたら、あなたはそれをクリックしますか?

 ぶたぶたシリーズで知られる著者による新シリーズは、過去に戻るチャンスを得た人々の物語です。過ちを正すために、真実を知るために、誰かにもう一度会うために。様々な理由で謎サイトの日時をクリックした彼らの様々な体験をえがく第一作は、5篇を収録した連作短編集。文庫版(角川春樹事務所)出版は2021年11月です。


[収録作品]

『誕生日をプレゼント』
『あなたのため』
『メッセンジャー』
『父のかわりに』
『最後のファン』




『誕生日をプレゼント』
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 でも、何が起こっても起こらなくても、きっと忘れられない思い出になるだろう。由真が生まれた日に、本人が戻る? それを計画したのは、生んだ母?
 もし今後、由真に子供ができたとしたら、ぜひ話したいエピソードだ。確実に笑いや驚きをもたらすだろう。つかみだけで充分面白い。
 さてオチはどうなるのか――それはこれからわかる。
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文庫版p.19

 もしも自分が生まれた瞬間に立ち会えるとしたら……。いったい何が起きるのだろう。
 本シリーズにおけるタイムトラベルのお作法を教えてくれる導入話。




『あなたのため』
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 何かのいたずらのサイトと考えるのが妥当だろう。なんの目的で作ったのか、皆目見当もつかないが。
 でも、織衣はそのページから移動できなかった。身体の震えが止まらない。
 織衣にとってこの数列は、ある年月日と時間を表していた。他の数列も、おそらくそうなのだろう。だが、織衣に関係あるのはこの一つだけ。忘れたくても忘れられない日。後悔とともにいつも思い出す日だ。
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文庫版p.48

 後悔してもしきれない過去の過ち、それを正すチャンスが与えられたとしたら……。はたして過去の行動を止めることで現在は、人生は、変わるのだろうか。誰もが思う「やっちまったことを取り消すことで、その結果も消えてほしい」というよく考えたら身勝手な願望を正面から扱ったビターな作品。




『メッセンジャー』
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 むつ子さんは認知症のため、施設に入っている。宏伸はたまに訪ねるのだが、最近彼女は「ばあちゃん」の話をすると泣くようになった。
「あたしがばあちゃんを殺したのかもしれない」
 最初に聞いた時は仰天した。そんなことを告白されるとは、思ってもみなかったから。
「それはないでしょ」
 宏伸は、とっさにそう返すしかない。けれどむつ子さんは、
「ばあちゃん、ばあちゃんに会いたい。ごめんなさいって言いたい」
 そう言って、ずっと涙を流す。
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文庫版p.90

 「あたしがばあちゃんを殺したのかもしれない。会ってごめんなさいって言いたい」
 泣きながらそう繰り返す祖母。その日その時、いったい何があったのか。謎サイトでその日時を見つけた孫は、祖母のために時空の狭間へ向かう……。




『父のかわりに』
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 誰にだって戻りたい日や時があるんじゃないのかな。小説を読んで、父はきっと思い出したのだろう。それだけ印象的な出来事があったに違いない。
 順也にももちろん、戻りたいと思う過去がいくつかある。二十代は特に、バカなことをして人を傷つけたり、ちゃんと謝れなかったり――ずっと連絡をしていない友人などもいる。が、父のように年老いてからもこうなふうに思い返したり、具体的な日付をいつまでも覚えているほど切実だろうか。四十代の今でも記憶は薄れているし、だいたい過去には戻れないのだし。
 しかし、自分は父ではないからわからない。もちろん、どんなことで戻りたいと考えていたのかも。
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文庫版p.133

 亡き父が残した読書ノートに「戻りたい時」として書かれていた日時。父はいったい何を望んでいたのか。残された息子は父のかわりにその時へと戻ってみるが……。




『最後のファン』
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 もう二度と「昔」に戻りたくはない。
 それはわかっているのに、どうしても彼女に会いたくてたまらなかった。
 香保子は、再びあのサイトの日付をクリックした。
 お決まりの言葉が出てくる。まったく同じだった。
 行くべき場所もわかっている。
 こんなチャンス、二度も巡ってくるなんて普通ないはず。あたしは恵まれている。
 これで彼女に会える。
 だが、会ってどうしろと? 彼女にそのまま書き続けてほしいと伝えることはできない。
 それでも香保子は、彼女の作品が読みたいと思うのだ。
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文庫版p.201

 ある時点で過去を改変して違う人生を歩んだとしたら、もとの自分やその人生はどこに消えてしまうのか。悲惨な人生は、間違っているから削除して「なかったこと」にすればそれでいいのだろうか。過去改変後、もう一度タイムトラベルのチャンスを得た語り手は、過去の自分と会う決意をするが……。





タグ:矢崎存美
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