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『Here Comes The Sun』(近藤良平、コンドルズ) [ダンス]

 2024年6月8日は、夫婦で彩の国さいたま芸術劇場に行って近藤良平ひきいる大人気ダンスカンパニー「コンドルズ」の新作公演を鑑賞しました。上演時間120分。

 近隣住民にとって初夏の風物詩ともいわれているらしいコンドルズさいたま公演。昨年はさいたま芸術劇場が改装中ということで埼玉会館で開催されたコンドルズさいたま公演ですが、改装も終了し、今年はリニューアルした大ホールを存分に使っての公演となりました。

 奥行きがぐんと増したような気がする広ーい舞台と巨大なセリを活かした演出が素晴らしく、奈落からミラーボールが次々とせり上がってくるシーンには思わず声が出てしまいました。大道具を様々な見立てで使いたおす手口にも感心。ひさしぶりにコンドルズ立ち上げメンバーが揃ったということもあって懐かしネタも多く、割と同窓会という雰囲気でした。風物詩だな。





タグ:近藤良平
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『モーアシビ 第46号』(白鳥信也:編集、小川三郎・北爪満喜・他) [読書(小説・詩)]

 詩、エッセイ、翻訳小説などを掲載する文芸同人誌、『モーアシビ』第46号をご紹介いたします。


[モーアシビ 第46号 目次]
――――――――――――――――――――――――――――

 『朝の挨拶』(小川三郎)
 『あまり』(楼ミュウ)
 『ガーベラ』『家の空地』(北爪満喜)
 『光ってよアルミ』(恵矢)
 『細い橋の音』(島野律子)
 『百合』(森ミキエ)
 『残照』(白鳥信也)

散文
 『いとこのこと』(平井金司)
 『対馬、千年ひとっ飛び』(サトミセキ)
 『命がけのランチタイム』(岩谷良恵)
 『魔法瓶』(清水耕次)
 『風船乗りの汗汗歌日記 その45』(大橋弘)

翻訳
 『幻想への挑戦 20』(ヴラジーミル・テンドリャコーフ/内山昭一:翻訳)
――――――――――――――――――――――――――――

 お問い合わせは、編集発行人である白鳥信也さんまで。

白鳥信也
black.bird@nifty.com




――――
カーブミラーに映った自分に挨拶をする。
私が笑うと周りが怒り
私が怒ると周りが笑った。
誰も卑怯だとは思わなかったが
孤独なひとになろうとは思った。
――――
『朝の挨拶』(小川三郎)より




――――
生垣のように囲い薔薇が咲いている
近づくと庭はさまざまな花にいっぱいに囲まれている
百合かな椿かなサザンカかなグラジオラスかな紫陽花かな小菊かな
アヤメかなイチハツかなアマリリスかな君子蘭かな
どこからかさす光に溶け合って透け
みな花たちは背中を外に向け
顔を内に向け
ぎっしり並んで空地を囲み
家のあった土地を見つめている
枯れた花々の顔も現れ
それも光に透ける
――――
『家の空地』(北爪満喜)より




――――
足裏がさわさわとして
俺の黒い皮靴が水にひたっている
水面がきらめいて
リノリウムの床の上で
跳ねる魚
魚たちが泳いでいる
机の脚が川の中の杭になって
流れが裂けて静かな淀みに渦が巻いている
ズボンに水しぶきが飛びちる
回転椅子に座ったこの俺ごとゆっくりと流されそうだ
流れに靴ごと力を入れて踏みとどまる
――――
『残照』(白鳥信也)より




――――
 対馬の魅力は「千年ひとっとび」というところ。古代・中世の残り方が奇跡的と言っていい土地だ。(中略)この島には、明治・江戸・いやそれ以前の時代不明のとんでもなく古いものと、中ぐらいに古びた昭和のもの、やや現代のものが何もかもが無造作に、雑多に、混じっている。古い物・貴重な物が特別に大事にされているわけでもなく、風化して消え去るまで、元の場所に無造作に残してある。
――――
『対馬、千年ひとっ飛び』(サトミセキ)




――――
 標高約4000メートルの世界では、食べるのもまた一苦労なのだ。早食いはもちろん、普通に食べていても酸欠状態になり、心臓がバクバクする。食べている間に大笑いなどすれば、輪をかけて息苦しくなってしまう。高地にまだ適応しきれていなかった私には、まさに命がけのランチタイム。でも、最高に楽しくて美味しかった。いったい私は今、どこにいるんだろう……治安も生活もとても厳しいこの地区で、何度も不思議な感じがした。だが、目の前にいる女性たちは、そのほとんどが高地のアイマラ先住民系で、夫の暴力から逃れたり、夫が突然家を出てしまったりと、大変な過去を生き抜いてきた。
 だからこそ、なのかもしれないが、大爆笑と共に安心して皆で美味しく食べられること――一日で唯一の食事になることも多い――が、本当に大事な時間だった。
――――
『命がけのランチタイム』(岩谷良恵)





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『ハルハトラム 6号』(現代詩の会:編、北爪満喜、白鳥信也、小川三郎、他) [読書(小説・詩)]

 「現代詩の会」メンバー有志により制作された詩誌『ハルハトラム 6号』(発行:2024年5月)をご紹介いたします。ちなみに既刊の紹介はこちら。


2023年04月21日の日記
『ハルハトラム 5号』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2023-04-21

2022年04月06日の日記
『ハルハトラム 4号』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2022-04-06

2021年08月02日の日記
『ハルハトラム 3号』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2021-08-02

2020年05月03日の日記
『ハルハトラム 2号』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2020-05-03

2019年07月02日の日記
『ハルハトラム 1号』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-07-02




[ハルハトラム 6号 目次]
――――――――――――――――――――――――――――
『翼果』(楼 ミュウ)
『山の上ホテル』(橘花 美香子)
『水瓶』(長尾 早苗)
『雪の日に』(水嶋 きょうこ)
『目ざめのこと』(来暁)
『豊饒の秋』(小川 三郎)
『朝露(映った影)』『ランプ』(北爪 満喜)
『火種』(恵矢)
『ここわ はいつてはいけない』(サトミ セキ)
『曲折』(佐峰 存)
『空の手あて』(島野 律子)
『ラストポエット』(白鳥 信也)
――――――――――――――――――――――――――――

 詩誌『ハルハトラム』に関するお問い合わせは、北爪満喜さんまで。

北爪満喜
kz-maki2@dream.jp




――――
大学生の私はここを
「あこがれ」
「高い場所」
「わたしにはいけない」
と決めて
「いつか、ね」って

大切な箱に入れて触れないようにしていた

記憶と時間にノイズがはいる
12時間のハーモニーを奏でつくりだされる珈琲
水滴はこの瞬間を忘れないように
ときをとめるようにぎゅっととじこめ
私の体内で花をひらいていく

ちくっと、ささる
――――
『山の上ホテル』(橘花 美香子)より




――――
花をながめば口元はほころぶ、そこに冷たさはない。温かい口元、それに驚いた目元から
嘲りが起こり口元へ渡される。受け取らない。目元に誠実を、誠実を供にして、暗い道を。
火を見つけても、あるがままに。あるがままに火を。何故そこに火があるのかなど問いか
ける必要はない。
――――
『目ざめのこと』(来暁)より




――――
ああ冬なのに
もう秋なのですね。

部屋のなかにまで
季節が入り込んできます。

宙に浮かんだ
あなたの身体よ。
私と入れ替わってくれないか。

床一面が
秋になったら
虫になって這いまわろうか。
それとも人の子をとって食らおうか。
――――
『豊饒の秋』(小川 三郎)より




――――
羽根を抜いて 羽根を抜いて
織るのではなく 書いた

この血から書き続ける紅い文字は
羽根を離すと黒くなった

朝ごとに地上に落下する閉じた睫毛に 朝露
うつす
――――
『朝露(映った影)』(北爪 満喜)より





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『プラスマイナス 183号』 [その他]

 『プラスマイナス』は、詩、短歌、小説、旅行記、身辺雑記など様々な文章を掲載する文芸同人誌です。配偶者が編集メンバーの一人ということで、宣伝を兼ねてご紹介いたします。


[プラスマイナス183号 目次]
――――――――――――――――――――――――――――
巻頭詩 『3月ウサギが飛んで行く より』(深雪)、イラスト(D.Zon)
俳句  『微熱帯 43』(内田水果)
エッセイ『黒白猫の権利拡張』(島野律子)
詩   『3月ウサギが飛んで行く』(深雪)
詩   『四季島』(琴似景)
詩   『川州へ』(多亜若)
詩   『傘を落とす』(島野律子)
川柳  『四、五色の山で』(島野律子)
小説  『一坪菜園生活 65』(山崎純)
エッセイ『香港映画は面白いぞ 183』(やましたみか)
イラストエッセイ 『脇道の話 122』(D.Zon)
編集後記
 「おべんとうのはなし」 その4 多亜若
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 盛りだくさんで定価300円の『プラスマイナス』、お問い合わせはX(Twitter) @shimanoritsukoまでDMでどうぞ。





タグ:同人誌
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『国歌を作った男』(宮内悠介) [読書(小説・詩)]

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 自分が半端者だという意識が常にある。だから変わりたくて、短編ごとにいろいろな工夫をやっている。でも今回、七年くらいにわたって散発的に書いたミステリやらSFやら純文やらを眺めてみて、「あんまり変わってないな」という印象を受けた。
 三つ子の魂なんとやら、というやつだろうか。
 それとも、ぼくが自覚していないだけで、少しずつ上達しているのか。できればそうあってほしい。これからも、たくさん小説を書いていきたいので。
――――
「あとがき」より


 ユーモアミステリから奇想小説、長編『ラウリ・クークスを探して』の原型まで、13篇を収録した短編集。単行本(講談社)出版は2024年2月です。




収録作品

『ジャンク』
『料理魔事件』
『PS41』
『パニック ―― 一九六五年のSNS』
『国歌を作った男』
『死と割り算』
『国境の子』
『南極に咲く花へ』
『夢・を・殺す』
『三つの月』
『囲いを越えろ』
『最後の役』
『十九路の地図』




『料理魔事件』
――――
 わたしたちが追っているのは、通称“料理魔”事件――もう少しお堅い言いかたをするなら、T市連続家宅侵入事件だった。犯行がなされるのは、たいていお昼どき。犯人は家主の不在時に部屋に侵入し、冷蔵庫の食材で勝手に料理をして帰っていく。(中略)
 料理は各家庭の冷蔵庫にあるもので作られる。だから基本的にメニューは一定しない。魚かもしれないし、肉かもしれない。“本日の定食”というやつだ。
――――

 留守宅に侵入しては勝手に料理を作って去る謎の犯人、通称“料理魔”。いったいなぜそんなことをするのか。ユーモアミステリの傑作。




『国歌を作った男』
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 人一人が生きた軌跡は要約できない。要約可能なもの以外は存在しない世界にあっては。それにしたがうなら、ジョンはどこにもいなかったということになる。あるいは、国歌というフレーズだけがある。
 要約された世界において、ジョンは十一年生のときに『ヴィハーラ3』を開発し、そしてユダヤ人少年が入手難のソフト目当てに殺され、それも含めて社会現象となった。要約された世界において、「ヴィハーラ」のさまざまなモチーフが下位文化に染み出て、電子耽美主義(Digital Aestheticism)と呼ばれる文化圏を作るに至った。要約された世界において、ジョンという高校生プログラマの姿が、新たな時代の精神のアイコンとなった。
――――

 コンピュータゲームとその音楽によって時代のアイコンとなった一人の若者の姿をえがく力作。長編『ラウリ・クークスを探して』の原型となる作品。




『夢・を・殺す』
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 納期まで一ヶ月を切った。
 ぼくは、本格的に夢を殺す作業にとりかかった。(中略)
 最初は一進一退だった。
 ある幽霊を隠すと、今度は別の場所に幽霊が現れる。けれど、ぼくは力ずくでのプログラミングを進めていった。彼らは一人ひとり……いや、一つずつ姿を消し、ひょんなタイミングで現れたりしながらも、総体としては、徐々に数を減らしていった。
 昔、手のなかで新たな宇宙が生まれてくるそのことが、ただ純粋に楽しかったいっとき。そのころ作ったキャラクタたちは、声もなく姿を消していった。
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 かつて純粋にプログラミングが楽しかったあの頃の夢。だが小さな会社で納期に追われてソフト開発を進めている今、その夢の欠片がどこからともなく幽霊のようにバグとして混入してくる。仕事のために、納期のために、生活のために、若き日の夢を殺し続けるうちに語り手の心には大きな負担がかかってゆく。プログラム開発の喜びと苦しみが切実にえがかれる。




『三つの月』
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 それからもわたしは足繁く香月のもとへ通いつづけた。半分は、無視できない事実として、心身の調子がよくなっていくから。残りの半分に、見極めてやりたいという気持ちがあった。つまりは、自分がなんらかの奇術めいたものにかけられているのか、それとも、本当にこれまで知らずにいた、見えていなかった世界があるのかを。(中略)わたしにとって香月の施術は、いや、ことによると香月という存在そのものが、刃の切っ先のようにわたしに問いをつきつけてくるのだった。
 おまえは真の意味で患者を治療しているのか、と。
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 メンタルクリニックの医師である語り手は、あるとき中国整体の店で施術を受け、とてもプラセボ効果とは思えないほどの効果に驚く。エビデンス重視の西洋医学とは異なる治療に興味を持つとともに、自分が行っている治療が本当に病気を治しているのかという迷いも生まれるのだった。心身を癒すという行為をテーマとした作品。





タグ:宮内悠介
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