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超常同人誌「UFO手帖5.0」掲載作品『超常現象のとらえにくさ』を公開 [その他]

 馬場秀和アーカイブに、超常同人誌「UFO手帖5.0」(2020年11月刊行)に掲載された作品を追加しました。

『超常現象のとらえにくさ』
http://www.aa.cyberhome.ne.jp/~babahide/bbarchive/SpBookInvitation06.html


 ちなみに「UFO手帖5.0」の紹介はこちら。

2021年02月09日の日記
『UFO手帖5.1』 雑誌「ムー」で紹介されました&重版・通販再開
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2021-02-09


 なお次号「UFO手帖6.0」は、2021年11月23日に開催される第33回文学フリマ東京にて頒布予定です。

UFO手帖6.0 予告
https://spfile.work/ut6/teaser6.0/





タグ:同人誌
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『SFマガジン2021年10月号 ハヤカワ文庫JA総解説PART2』 [読書(SF)]

 隔月刊SFマガジン2021年10月号は、ハヤカワ文庫JAが1500番を迎えた記念号ということで、前号にひきつづき総解説PART2が掲載されました。




『鎧う男』(平山瑞穂)
――――
 ライターを自称する男が言うには、その機器が何点か、隠然と業界内に出まわっているらしい。ある伝手でそれを入手した彼も半信半疑だったのだが、好奇心に抗えず、この町まで来て青点を追っていったら、たしかに本人と思われる人物と遭遇した。(中略)僕はその黒っぽい機器をためつすがめつせずにはいられなかった。話が本当だとして、いったい誰が、なんの目的でそんなものを作ったというのか。
――――
SFマガジン2021年10月号p.228

 有名な音楽プロデューサーが、業界から姿を消して秘かに郷里の町に戻っているらしい。彼の居場所を表示するという謎デバイスを手に入れた語り手は、真偽を確かめようと彼に接近するが……。謎めいた導入から悪夢めいた心理サスペンスにずぶずぶとはまってゆく作品。




『年年有魚』(S・チョウイー・ルウ、勝山海百合:翻訳)
――――
 私はもう魚を焦がさないし、常に余りがあることを確かめる。清明節にあなたのお墓を掃除するときに持っていくお供えには、塩サバも入れる。謝罪と、あなたを奪った魚に対する個人的な復讐のために。
――――
SFマガジン2021年10月号p.293

 年年有魚。毎年お金が残るゆとりのある生活ができるようにと願いを込めて、春節に魚料理を食べる中国の風習。だが文字通り毎年魚がやってくるとしたら……。とんでもない奇想を使って、米国で暮らす中華二世の文化的アイデンティティーの問題をあぶり出す作品。




『環の平和』(津久井五月)
――――
 交感の相手を特定の二人に固定すれば、全体ネットワークを環状にできる。ちょうど、両手を繋いで環をつくるように。人の環の中では全員が平等で、全員が間接的に繋がり、よって全員の思考が多様なままで調和する――。そんな考えを妄言と切り捨てなかった人々がいた。
――――
SFマガジン2021年10月号p.308

 〈環の平和〉、意識と意識を環状遠隔接続することで人類の調和が生まれるのではないか。壮大な理想を求める実験に参加した人々は、それぞれランダムに選ばれた二人の他人とテレパシー的な交感で意識をつなげる。結果として出来上がる巨大な意識の〈環〉は、世界を少しでも良い方向に変えることが出来るのだろうか。ネットワークの発展が皮肉なことに人々の分断を深刻化させている現代、新たなネットワーク構築の思考実験を扱った作品。




『時間の王』(宝樹、阿井幸作:翻訳)
――――
 俺は時間の王か、それとも時間の囚人かと自分に問い掛ける。取り戻した時間は俺の思うまま自由に飛び回れる空か、それとも俺を監禁する檻か。
 時間は果てしなく長く、年月は数え切れない。俺は時間の中で王になる、永久に。
 ある日、それまで思い出さなかった日付に到着し、事態に新たな変化が生じるまでは。
――――
SFマガジン2021年10月号p.336

 事故により意識不明の重体となった語り手は、自分の人生における様々な瞬間に意識が跳ぶ『スローターハウス5』のような時間体験をすることになった。記憶と異なる行動をとることで一時的な“歴史改変”は可能なのだが、別の瞬間に意識が跳んだ後で戻ってくると、改変した結果は消えてしまう。人生の様々な瞬間をあちこち跳び回るうちに語り手はある女性を愛するようになるのだが……。時間SFとロマンスという王道的メロドラマ、と読者を油断させておいて意外な結末にもってゆく作品。





タグ:SFマガジン
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『モーアシビ 第41号』(白鳥信也:編集、小川三郎・北爪満喜・他) [読書(小説・詩)]

 詩、エッセイ、翻訳小説などを掲載する文芸同人誌、『モーアシビ』第41号をご紹介いたします。


[モーアシビ 第41号 目次]
――――――――――――――――――――――――――――


 『季節を待って』(島野律子)
 『鼓動』(北爪満喜)
 『雲』(小川三郎)
 『PUMA』(森ミキエ)
 『斑の朝』『関数夜』(森岡美喜)
 『さっぴらい』(白鳥信也)

散文

 『北爪満喜詩集『Bridge』 嘘を〈まこと〉にする愛の歳月』(阿部日奈子)
 『バルトの歪んだ大きな真珠~ラトビア・首都リガ』(サトミセキ)
 『送電線下伐採』(平井金司)
 『わが青春の日記(その一)』(清水耕次)
 『風船乗りの汗汗歌日記 その40』(大橋弘)
 
翻訳

 『幻想への挑戦 15』(ヴラジーミル・テンドリャコーフ/内山昭一:翻訳)
――――――――――――――――――――――――――――

 お問い合わせは、編集発行人である白鳥信也さんまで。

白鳥信也
black.bird@nifty.com




――――
眠れなくてぐにゃりとした視界に
小さな苺が実っている
ここでは暮らせない蛇の苺は
誰にも食べられずに
夢の後ろのテールランプ 灯す
ぐにゃりとして
苦しみはにゅるっと
握りしめられずに
指のあいだから逃げていく
しゃがみこんでしまった膝に
草には朝露が輝いて
まだ蕾の仏の座が教えを説く
道には
これから花開くものがいっぱいさ
――――
『鼓動』(北爪満喜)より




――――
蜘蛛の想いというものが
わかってしまうときがある。
家のなかや家の外で
音もさせずに暮す蜘蛛の
ただひとつだけの真実が
私の胸で膨れ上がって
そのまま破裂させてしまうような
そんなときが時折あって
めちゃくちゃになって気が付くと
遠くをながめていたりする。
今まで何を想っていたのか
すっかり判らなくなっていて
きっとまた私はずっと
ここに座って
雲をながめていたのだと思いだす。
――――
『雲』(小川三郎)より




――――
私はPUMA上昇気流に乗る
宇宙から見下ろす地球 大気圏 一層目は皮膚 潤いを取り戻し 二層目は布 汗と熱を吸い込んで 三層目は空気 広大なものへ溶け込んでいく 生から死へ流れる時間 私はまだここにいる PUMA私は疾駆する 骨格と血と筋肉を獲得して この大空は故郷の大陸へと続く Tシャツでは覆いきれない肉体の森林へ つややかな毛並の草原へ シシャモやメザシに未練はない 四肢に力をためると痩せた薄っぺらなカラダに精気が甦ってくる 太陽に向かってジャンプした
――――
『PUMA』(森ミキエ)より




――――
茫々と冷たい風が吹きすさぶそのなかを
沢水をけって狼が走る
木々を猿が飛ぶ
小石の多い乾いた川の
ずっと見えない底を流れる
蝦夷の言葉の記憶だろうか

農道は舗装され
オオバコやスカンポが刈り払われてもなお
呼吸し生きている
さっぴらい
おいのざわ
どこまでも走るがいい
口から口へ
耳から耳へ
流れ続ける響きの川となって
――――
『さっぴらい』(白鳥信也)より





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『ブルグミュラー25』(近藤良平、斉藤美音子、森下真樹、中村理、中村蓉、堀菜穂) [ダンス]

 2021年9月12日は、夫婦で彩の国さいたま芸術劇場に行って公演を鑑賞しました。芸術監督に就任した近藤良平さんがいろいろ仕掛ける、彩の国さいたま芸術劇場オープンシアター「ダンスのある星に生まれて2021」、その一部として上演された『ブルグミュラー25』です。日本ではピアノの教則本としても知られているブルグミュラー作曲「25の練習曲」を踊る作品です。上演時間は70分ほど。

 2012年11月に神楽坂セッションハウスで初演され、その豪華メンバーで話題となった作品の、なんと初演メンバーが再集結した再演です。あれから十年近く経った今、よくこれだけの人をまた集めたなーと感心します。さいたま芸術劇場の芸術監督というのはやっぱりすごいんだな。


〔キャスト他〕
構成・演出・振付: 近藤良平
ピアノ演奏: 廣澤麻美
出演: 斉藤美音子、森下真樹、中村理、中村蓉、堀菜穂、近藤良平


 ごく短いブルグミュラーの練習曲ひとつひとつに、曲のイメージに合わせたショートコントみたいなダンスを合わせてゆきます。化粧とか買い物とか部活とか、ありがちな日常風景をダンスによって描写する楽しい作品。オチがある作品もあればない作品も、ときには人形劇(スクリーンにリアルタイム撮影映像が投影されたりしてコンドルズ風味)もあり。なお、一部の作品は初演時とはオチが少し変更されています。

 とにかくみんなすごいダンサーさんなので動きは鋭く、流れるように場面転換してゆき、飽きさせません。斉藤美音子さんの正体不明というかある種の妖怪感はさらに研ぎ澄まされているし、森下真樹さんの迫力と謎めいたキュートさもパワーアップしていて、めちゃめちゃ嬉しい。この十年という歳月を、とりあえず棚置きして心から楽しめる貴重な時間でした。





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『ネコは言っている、ここで死ぬ定めではないと』(春日武彦、穂村弘、ニコ・ニコルソン:イラスト) [読書(随筆)]

――――
穂村
 そういえば、街角のキリスト教系の看板に「神は言っている、ここで死ぬ定めではないと」って言葉があるらしいのね。経緯はわからないけど、それがゲームの台詞とかTシャツの文言になったりして、ある種のパロディのようにひろまってるんだって。その流れで、「神」という字の一部分がかすれて「ネコ」になっていた、みたいな面白画像も目にしたよ。

春日
 「ネコは言っている、ここで死ぬ定めではないと」か。一見すると、パチンコ屋のネオンサインが1文字切れて、まったく違う意味になってしまった系の笑い話だけど、今の俺たちには、ちょっとした啓示の言葉のように響かなくもないね。
――――
単行本p.239


 精神科医と歌人が様々な観点から「死」について語り合った対談集。単行本(イースト・プレス)出版は2021年7月です。


〔目次〕

序章 俺たちはどう死ぬのか?
第1章 俺たちは死をどのように経験するのか?
第2章 俺たちは「死に方」に何を見るのか?
第3章 俺たちは「自殺」に何を見るのか?
第4章 俺たちは死を前に後悔するのか?
第5章 俺たちは死にどう備えるのか?
第6章 俺たちは「晩節」を汚すのか?
第7章 俺たちは「変化」を恐れずに死ねるのか?
第8章 俺たちは死を前に「わだかまり」から逃げられるのか?
第9章 俺たちは「死後の世界」に何を見るのか?
第10章 俺たちにとって死は「救い」になるのか?
第11章 俺たちは「他人の死」に何を見るのか?
第12章 俺たちは「動物の死」に何を見るのか?
第13章 俺たちは一生の大半を費やすことになる「仕事」に何を見るか?
第14章 俺たちは、死にどんな「幸福」の形を見るか?




 テーマは重いのですが、あまり深刻な会話にはなりません。両名とも自分の得意ネタを駆使して読者を面白がらせようとしてくれます。例えば、穂村さんの発言は次のようなもの。


――――
穂村
 うーん……僕は家でどら焼きとか食べながらコーヒー飲んで、諸星大二郎とか読んでるような生活ができるなら、それでいいかな(笑)。別にダイヤモンド要らない。でも前に、そうしたマインドを作家の友だちに怒られたことがあるよ。「世界には飢えている人もいれば、性的少数者として苦しんでいる人もいる。そういう現実がある中で、諸星大二郎読んでどら焼き食ってれば自分はいいんです、って言っちゃう人は物書きとしてダメ」って(苦笑)。自分はここでちまちま遊んでいられれば、それ以上は望みません――みたいなのは、やっぱりダメなのかな?
――――
単行本p.228


――――
穂村
 僕が嫌だと思う死に方は苦しいの全般なんだけど、そうじゃない死に方ってないのかな? 例えば、猫が可愛すぎて死んじゃうとか、そういうメカニズムはないのかしら。「可愛い!」という気持ちがある一定量を超えて、幸せのまま死に至る、みたいなの。それなら僕も「まあいっか」と思えそうなんだけど。
――――
単行本p.50


 春日さんの発言はこんな感じ。


――――
 例えば、ホテイのやきとりの缶詰があるじゃない? あれ、今は違うんだけど、昔は缶にプラスチックのキャップが掛かってて、そこに爪楊枝が2本入ってたんだよね。つまり今ここにあったら、穂村さんと俺とであれを順ぐりにつまみながらカップ酒かなんかを飲むわけ。そういう情景を具体的にイメージさせるところに、すごく感動する。1本じゃなくて2本ある爪楊枝に、いわば人間の善なるものを感じて嬉しくなるの。そういうものの方が、俺にとっては宝くじが当たった! とかより遥かに重要なの。
――――
単行本p.231


――――
春日
 産婦人科に勤めていた頃、当直してたら、急に具合が悪くなったという飛び込みの患者があって。急いで病室を用意したんだけど、そしたら突然ベッドのまわりをぐるぐる回り出してさ。とりあえず横にならせたんだけど、その後、突然鬼瓦みたいな、まるで映画『エクソシスト』(1973年)のリンダ・ブレアみたいな凄まじい表情になって、同時にうんち漏らして死んでた。
――――
単行本p.51


 こういう二人が、こういう風に盛り上がるわけです。


――――
春日
 本当は生きているうちに苦痛の原因が取り除かれたり、「負の呪縛」から逃れられたらいいんだけど、仮に問題が魔法のように解消されたとしても、面倒なことに「そんなわけがない、これは例外だ」とかも思いそうな気がするんだよね。

穂村
 ああ、にわかに信じがたい、と。

春日
 そうそう。「おかしい、罠だ!」って。

穂村
 「俺を油断させといて、何をする気なんだ!?」と思ってしまうわけね。じゃあさ、先生の本がベストセラーになって、本屋の棚一つが丸っと自著で埋まるようなことがあっても喜べない?

春日
 うん、相当に悪辣な策略が仕掛けられていると思うだろうな。

穂村
 俺をベストセラー作家にしようとする陰謀が! みたいな(笑)。

春日
 で、俺が「サインでもしましょうか」と出てきたら、上からバケツに入った豚の血が降ってくる(笑)。
――――
単行本p.161





タグ:穂村弘
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