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『Corps extrêmes - 身体の極限で』(ラシッド・ウランダン) [ダンス]

 2024年10月26日は、夫婦で彩の国さいたま芸術劇場に行ってフランスのラシッド・ウランダンの作品を鑑賞しました。

[キャスト他]

出演: タミラ・ドゥ・ナイヤール、ベラール・サン・ヴィサント、リザンドロ・ギャロ、ジョエル・アズー、ヴァレリアン・ムティエール、マキシム・セゲール、シャルリー・エシオン、ニコロ・マルツォーリ、カミーユ・ドゥマス、アントワーヌ・クレティノン
映像出演: ネイサン・ポーリン、ニナ・カプレツ
音楽: ジャン=バティスト・ジュリアン

 難易度の高いワザで観客を沸かせる現代サーカスというより、極限状態における身体と精神のありかたを探ってゆくダンス作品です。アクバット、ハイライン(高所つなわたり)、クライミング。エクストリームスポーツに挑む人々はそのとき何を考え、感じているのか。深い谷底の上に張られたロープに立つとき、腕だけで崖の壁面にぶら下がっているとき、アクロバットで着地に失敗した瞬間、人がどのような経験をするのかを、ハイラインやクライミングの衝撃的までにスリリングな映像とともにインタビュー音声として語り、出演者たちは舞台上で実際にアクロバットを行います。後半では舞台の背景となっている壁面に岸壁の映像が投影され、そこを登ってゆく出演者がまるで野外でクライミングに挑戦しているように見えたり。アクロバットとハイラインとボルダリングを組み合わせた演出は圧巻です。



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『エクリプス -月蝕』(勅使川原三郎、佐東利穂子) [ダンス]

 2024年10月21日は、夫婦でKARAS APPARATUSに行って勅使川原三郎さんと佐東利穂子さんのダンス公演を鑑賞しました。アップデイトダンスNo.106『エクリプス -月蝕』、月が地球の影に入って見えなくなる瞬間をとらえた作品です。

 これまでもアップデイトダンスでは何度か月がモチーフになっていますが、今作はいつもにも増して照明効果が素晴らしく、月や天体が照明だけで様々に表現されるのはちょっと驚異的です。ノイズの向こうから繰り返し聴こえるバッハの曲はどうしても映画『惑星ソラリス』を連想させ、うす暗い小さな舞台が宇宙空間へと変わってゆきます。

 佐東利穂子さんがゆっくりとした動きで月の満ち欠けや天体の運行を踊ります。勅使川原さんの動きは、おそらく天体と対比した地上をイメージしているのでしょうが、両手をこねまわして何かを飲み込む、太陽の明るさに顔を覆う、など意外に人間くさい仕種が印象的。ラストシーンは圧巻で、月を背景にシルエットとなった佐東利穂子さんの前を勅使川原さんがゆっくりと通りすぎる。月蝕の表現なのですが、身震いするほど美しい。それまでのダンスが積み重なって深い感動を覚える瞬間です。





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『まだここ通ってない』(Co.山田うん) [ダンス]

 2024年10月20日は、夫婦でKAAT神奈川芸術劇場に行って山田うんさんの新作公演を鑑賞しました。ドローン群体、即興音楽、そして5名のダンサーによる、それぞれの相互作用から創発される舞台です。上演時間は100分。

[キャスト他]

構成・演出・振付: 山田うん
構成・演出・コンセプト: 池上高志
ダンス: 川合ロン、飯森沙百合、黒田勇、猪俣グレイ玲奈、リエル・フィバック
ピアノ: 高橋悠治
サウンド、エレクトロニクス: 土井樹
VR/ドローン/デバイス設計開発: Alternative Machine

 個々の構成要素は非常に単純なルールに従って運動しているのに、その相互作用によって群れとしての「知性」や「記憶」のようなものが生じる。この現象をドローン群、サウンド、ダンサーにそれぞれ適用することでひとつの作品が創発される。そういうコンセプトの公演です。たとえば5名のダンサーたちは、半分くらいの時間は、最も近くにいる他ダンサーとの距離やタイムカウントに関する基本的なルールを守りながらインプロヴィゼーションで動いている(とアフタートークで山田さんがいってました)。

 大きなススキがあちこちに生えていて、床には謎印(位置認識のためのマークだが、怪しい呪術符に見える)が散りばめられた舞台。そこでダンサーたちが踊ります。自身の顔が印刷されたTシャツから不思議柄(ストレンジアトラクタ?)の着物など衣装デザインが良くてシビれる。動きはやはり山田うん、なのでクライマックスの大旋回や暴風もかっこいい。二人のダンサーがそれぞれVRゴーグルをつけて動くシーンがあるのですが、あの「周囲が見えないままナニカを避けたりナニカを飛び越えたりしてそろそろうろつくあの動き」がダンスになっていることに感激しました。





タグ:山田うん
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『D'après une histoire vraie - 本当にあった話から』(クリスチャン・リゾー) [ダンス]

 2024年10月19日は、夫婦で彩の国さいたま芸術劇場に行ってフランスのクリスチャン・リゾーの作品を鑑賞しました。

[キャスト他]

振付・美術・衣裳: クリスチャン・リゾー
出演: ユネス・アブラクル、ファビアン・アルマキエヴィッチ、ヤイル・バレリ、マッシモ・フスコ、ペップ・ガリゲス、ケレム・ゲレベック、フィリペ・ロウレンソ、ロベルト・マルティネス
音楽、演奏(ドラム): ディディエ・アンバクト&キングQ4

 8名の男性ダンサーがフォークダンスっぽい舞踊を踊ります。似たシーンを繰り返すうちに少しずつ関係性が改善されてゆくところが印象的で、例えば最初の方では床に倒れた(社会から脱落した)奴をみんなガン無視していたのが、次第に倒れた者がいれば助け起こして一緒に踊るようになってゆく、という具合です。最後はみんなで肩を組んだり手をつないだり、寛容で楽しげに踊るようになります。男のなれあいキモチワルッだけにならないのは、リズムのみの強烈なパーカッションがぐいぐい押してくるから。音楽パワーはすさまじく、途中ダンサーが誰もいない照明効果だけの舞台に大音量でドラムほとばしるシーンなど忘れがたいものがありました。


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『モリンネ』(関かおり PUNCTUMUN) [ダンス]

 2024年10月13日は夫婦で吉祥寺シアターに行って関かおりさんの新作公演を鑑賞しました。岩渕貞太さんを含む11名が出演する規模が大きい作品で、ただし関かおりさん自身は出演していません。


[キャスト他]

振付・演出: 関かおり
出演: 内海正考、北村思綺、倉島聡、小池陽香、佐藤桃子、髙宮梢、真壁遥、根本和歌菜、岩渕貞太、有明歩、吉田卓央
声の出演: 林眞暎(メゾ・ソプラノ)
指導協力: 月村萌華(ソプラノ)


 どうも人間の身体とは異なる動作原理で動いているらしい謎の生き物が意味のよく分からない動作を唐突にしたかと思うと長時間にわたってじっとしていたりする、一度観ると割と癖になる、関かおりさんの新作です。決して奇矯な動きではなくむしろこの生物種にとってはごく普通のありふれた行動なんだろうなということは伝わってくるけどわたしが見たのははじめてと感じる不思議なモーションのショーケース、みたいな。

 今作はオペラ『利口な女狐の物語』に着想を得た作品とのことですが、いつものPUNCTUMUN公演に「声」が混入されたという印象。これまでの作品のような微生物や植物、節足動物ではなく、四足歩行するなど明らかに哺乳類(女狐含む)を連想させる動きがメインとなっています。ふしぎないきもの観察タイム。ナミブ砂漠の水飲み場をライブカメラでじっと観察しているような気持ち。ただし緑の紗で囲まれた空間で踊っているので、砂漠ではなく森の中です。

 緑の紗ごしにぼんやり見える動きとその組み合わせ、気のせいなのかどうか微妙なレベルのかすかな物音、香り、そして唐突に発せられる声(たぶん鳴き声)、それらが渾然一体となって作り出す「なんかへんなもんみた」という気持ちは素晴らしく心地よく。毎回、謎めいた高揚感を覚えるのです。





タグ:関かおり
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