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『タルホ 稲垣足穂の破片』(勅使川原三郎、佐東利穂子) [ダンス]

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お月様でいっぱいで
お月様の光でいっぱいで
それはそれはいっぱいで……
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一千一秒物語(稲垣足穂)より「A CHILDREN'S SONG」


 2020年8月7日は、夫婦でKARAS APPARATUSに行って勅使川原三郎さんの公演を鑑賞しました。勅使川原さんと佐東さんが踊る上演時間一時間ほどの作品です。

 紗幕をフルに活用した演出がクールです。最初から最後まで(終演後の挨拶のときも)観客席と舞台の間には紗幕がかかっており、これが幻想的な空間をつくりあげます。シンプルな舞台装置と基本技法だけでここまでの効果が出せるのか、という驚異を感じる演出です。

 特に佐東利穂子さんが斜め上からの(月光を強く連想させる)照明にてらされながら紗幕に近づき、姿が見えなくなり、その影だけがいきもののように動くさま。その影も消えたと思うと、背後に照明が当てられ、いきなり勅使川原三郎さんが出現したり。映像投影も含めて、稲垣足穂の世界を巧みに再現してみせます。

 勅使川原三郎さんの子供のような玩具のような奇妙な動きが印象的で、歩く姿勢だけで小さく見えるのはすごい。佐東利穂子さんの動きもこの世のものとは思えない。ダンスと演出が一体となって異世界をつくりあげた驚くべき作品だと思います。





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