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『ゴドーを待ちながら』(勅使川原三郎) [ダンス]

 2020年4月5日は、夫婦でKARAS APPARATUSに行って勅使川原三郎さんの公演を鑑賞しました。2015年12月にシアターχで観た『ゴドーを待ちながら』のアップデート版、サミュエル・ベケットの戯曲をベースとした上演時間1時間ほどのソロダンス作品です。

 来るはずもない「終結」を待ちながら息苦しく生きている私たち。流れてくるニュースは不条理劇そのもの。よくもまあこんなご時世にふさわしい演目を選んだものだ、という印象です。

 天井からいくつかオブジェクトがぶら下がっているだけの殺風景な舞台で、勅使川原さんが自分で吹き込んだ録音(二人の登場人物による掛け合いに微妙に不快なノイズを混ぜたもの)をバックに踊ります。動きと会話の関連は比較的強く、踊っているというより一人芝居をしているようでもあります。

 2015年版に比べて動きがやや大仰になっているような気がしましたが、それより旧版ではずっと背後に立っていた佐東利穂子さんがいない(少なくとも観客からは見えない)、というのが大きな違い。おかげで荒んだ雰囲気というか終末感が強まっています。

 旧版ではなかった(と思う)ソロダンス、モーツァルトとバッハを背景に踊る崇高なダンスシーンが最後に追加されており、これが衝撃的ともいうべき強い印象を与えます。これは作品のアップデートというより、リピートしつづける不条理劇のような現実を生きなければならない私たち観客に対するボーナスのようなものかも知れません。





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