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2020年を振り返る(3)[小説] [年頭回顧]

 笙野頼子さんの新作、および復刊が大きな話題となった年でした。改めて読み比べてみることで、私小説の可能性が大きく広がっていったことがよく分かります。


2020年06月19日の日記
『会いに行って 静流藤娘紀行』(笙野頼子)
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2020年08月27日の日記
『水晶内制度』(笙野頼子)(エトセトラブックス)
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2020年11月17日の日記
『海獣・呼ぶ植物・夢の死体 初期幻視小説集』(笙野頼子)
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 アイデンティティ、記憶、映像の暴力性。高山羽根子さんはSF的な視点を活かした作品で大活躍してくれました。


2020年11月13日の日記
『暗闇にレンズ』(高山羽根子)
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2020年10月05日の日記
『首里の馬』(高山羽根子)
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2020年02月05日の日記
『如何様』(高山羽根子)
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 松田青子さんの新作が多くの読者の共感を呼び、また海外でも旧作の翻訳版が話題となった年でした。津村記久子さんのお仕事小説、矢崎存美さんのぶたぶたシリーズも好調でした。


2020年05月27日の日記
『持続可能な魂の利用』(松田青子)
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2020年08月13日の日記
『サキの忘れ物』(津村記久子)
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2020年06月10日の日記
『出張料理人ぶたぶた』(矢崎存美)
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2020年01月09日の日記
『ぶたぶたのシェアハウス』(矢崎存美)
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 町田康さんは短篇、宮内悠介さんは中篇を読んだだけで、ちょっと寂しい年になりました。今年に期待。


2020年10月28日の日記
『令和の雑駁なマルスの歌』(町田康)
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2020年09月08日の日記
『黄色い夜』(宮内悠介)
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 文芸アンソロジーとしては、自己ベストセレクションの企画が面白く、また一年前に完結した『たべるのがおそい』の番外編が素晴らしかった。


2020年01月21日の日記
『深淵と浮遊 現代作家自己ベストセレクション』(伊藤比呂美、穂村弘、町田康、他、高原英理:編集)
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2020年03月17日の日記
『たべるのがおそい Little 8』(西崎憲:編集)
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 海外小説では、マコーマックの長編『雲』が翻訳されたのが嬉しかった。アイアマンガー三部作が衝撃的だったエドワード・ケアリーの長編『おちび』も、どきどきしながら読みました。ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』は完璧な短編集で、どの作品も心をつかんで離しません。他にはマーガレット・アトウッドのデビュー作が翻訳されたのが印象に残っています。


2020年02月03日の日記
『雲』(エリック・マコーマック、柴田元幸:翻訳)
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2020年06月29日の日記
『おちび』(エドワード・ケアリー、古屋美登里:翻訳)
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2020年01月15日の日記
『掃除婦のための手引き書』(ルシア・ベルリン、翻訳:岸本佐知子)
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2020年06月09日の日記
『サークル・ゲーム』(マーガレット・アトウッド:著、出口菜摘:翻訳)
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 最後に、人間社会にちゃっかり居場所を確保した野生動物たちの姿をえがくショーン・タンの絵本が見事な出来ばえでした。


2020年09月09日の日記
『内なる町から来た話』(ショーン・タン、岸本佐知子:翻訳)
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2020年を振り返る(2)[ダンス公演] [年頭回顧]

年頭回顧
2020年を振り返る(2)[ダンス公演]

 コロナ禍により公演中止が相次いだ年でした。そんななかで、独立拠点を持っている勅使川原三郎さんが新作を提供し続けてくれたことに感謝します。感染防止につとめたスタッフの方々もお疲れさまでした。


2020年11月26日の日記
『ビリティスの歌』
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2020年11月03日の日記
『ピアニスト』
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2020年10月12日の日記
『END 終わりから始まる』
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2020年09月23日の日記
『銀河鉄道の夜』
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2020年08月31日の日記
『妖精族の娘』
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2020年08月11日の日記
『タルホ 稲垣足穂の破片』
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2020年07月06日の日記
『空気上層』
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2020年06月22日の日記
『永遠の気晴らし』
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2020年04月06日の日記
『ゴドーを待ちながら』
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2020年03月30日の日記
『トリスタンとイゾルデ』
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2020年02月10日の日記
『オフィーリア』
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2020年01月20日の日記
『音楽の捧げもの』
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 小野寺修二さんが振付演出を担当した作品はそもそも傑作ぞろいですが、昨年の公演もさすがの安定した面白さでした。


2020年12月08日の日記
『Knife』
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2020年03月03日の日記
『どこまでも世界』
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 高橋萌登さんはダンサーとしても振付家としても大きく成長しているようで、信頼感があります。今後が本当に楽しみです。


2020年11月02日の日記
『楽園はまぼろし、もしくはモキュメント』(MWMW、高橋萌登)
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 ひとつの作品を演劇とダンスという二つの手法で別々に再構成した上で連続上演する『NIPPON・CHA!CHA!CHA!』(山田うん)、公園でダンスをするのではなく舞台を公園にして観客に散策させる『PAP PA-LA PARK ぱっぱらぱーく』(かえるP)、見たことのないような動きを観察させる『むくめく む』(関かおり)、声という道具を研ぎ澄まして使った『Gold Experience』(岩渕貞太)など、意欲的な試みに感心した公演も記憶に残っています。


2020年01月14日の日記
『NIPPON・CHA!CHA!CHA!』(Co.山田うん)
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2020年12月07日の日記
『PAP PA-LA PARK ぱっぱらぱーく』(かえるP)
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2020年03月02日の日記
『むくめく む』(関かおり、PUNCTUMUN)
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2020年11月25日の日記
『Gold Experience』(岩渕貞太)
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 海外カンパニーの来日公演が次々と中止になった一年でした。さいたま芸術劇場で一夜かぎりの公演を実現したフランソワ・シェニョーの舞台はもう奇跡。おそらく伝説になるでしょう。


2020年12月21日の日記
『不確かなロマンス ―もう一人のオーランドー』(フランソワ・シェニョー、ニノ・レネ)
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2020年を振り返る(1)[総括] [年頭回顧]

 2020年に読んだ本は94冊でした。はじめて100冊を切ってしまいました。過去の推移を並べてみると、次のようになります。


2006年: 124冊
2007年: 145冊
2008年: 202冊
2009年: 206冊
2010年: 185冊
2011年: 208冊
2012年: 199冊
2013年: 214冊
2014年: 203冊
2015年: 200冊
2016年: 155冊
2017年: 152冊
2018年: 147冊
2019年: 130冊
2020年:  94冊


 一方、ダンス公演を観るために劇場に足を運んだ回数は20回。過去の推移は次の通りです。


2006年: 26公演
2007年: 18公演
2008年: 21公演
2009年: 28公演
2010年: 22公演
2011年: 14公演
2012年: 36公演
2013年: 22公演
2014年: 32公演
2015年: 28公演
2016年: 29公演
2017年: 37公演
2018年: 37公演
2019年: 27公演
2020年: 20公演





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2019年を振り返る(8)[サイエンス・テクノロジー] [年頭回顧]

 自律型兵器、電動航空機、マイクロプラスチック汚染。急激なテクノロジーの発展が社会に与える影響をテーマとした本がたくさん出ました。


2019年06月12日の日記
『空飛ぶクルマ 電動航空機がもたらすMaaS革命』(根津禎)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-06-12

2019年08月14日の日記
『地球をめぐる不都合な物質 拡散する化学物質がもたらすもの』(日本環境化学会)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-08-14

2019年10月10日の日記
『無人の兵団 AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争』(ポール・シャーレ:著、伏見威蕃:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-10-10


 合成生物学、マルチバース、巨大数。エッジな研究分野がどれほど刺激的、というかマッドであるかを活き活きと伝えてくれる本が好きです。


2019年05月08日の日記
『不自然な宇宙 宇宙はひとつだけなのか?』(須藤靖)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-05-08

2019年10月31日の日記
『我々は生命を創れるのか 合成生物学が生みだしつつあるもの』(藤崎慎吾)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-10-31

2019年12月11日の日記
『現代思想2019年12月号 特集「巨大数の世界 アルキメデスからグーゴロジーまで」 』(鈴木真治、フィッシュ、小林銅蟲、他)
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 サイエンス/テクノロジーの歴史を扱った本では、精密工学をテーマとした『精密への果てなき道』が抜群に面白いと思います。


2019年03月04日の日記
『ブロックチェーン 相互不信が実現する新しいセキュリティ』(岡嶋裕史)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-03-04

2019年09月19日の日記
『科学史ひらめき図鑑 世界を変えた科学者70人のブレイクスルー』(スペースタイム:著、杉山滋郎:監修)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-09-19

2019年11月28日の日記
『精密への果てなき道 シリンダーからナノメートルEUVチップへ』(サイモン・ウィンチェスター:著、梶山あゆみ:翻訳)
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 タコを崇めよタコと和解せよ『タコの心身問題』、性進化の新理論『動物たちのセックスアピール』、自然保護が引き起こす種の絶滅というジレンマ『絶滅できない動物たち』など、先入観を強く揺さぶってくる動物本をたくさん読めて嬉しい。


2019年03月14日の日記
『タコの心身問題 頭足類から考える意識の起源』(ピーター・ゴドフリー=スミス、夏目大:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-03-14

2019年04月18日の日記
『動物たちのセックスアピール 性的魅力の進化論』(マイケル・J・ライアン、東郷えりか:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-04-18

2019年01月17日の日記
『絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ』(M・R・オコナー、大下英津子:翻訳)
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2019年09月03日の日記
『数をかぞえるクマ サーフィンするヤギ 動物の知性と感情をめぐる驚くべき物語』(べリンダ・レシオ:著、中尾ゆかり:翻訳)
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 数学の歴史を扱った本としては、『数学の真理をつかんだ25人の天才たち』が面白かったと思います。


2019年01月22日の日記
『組合せ数学』(ロビン・ウィルソン、川辺治之:翻訳)
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2019年03月27日の日記
『数学の真理をつかんだ25人の天才たち』(イアン・スチュアート、水谷淳:翻訳)
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 図鑑としては、リアルサイズ古生物図鑑シリーズが素敵だと思います。無事に完結してほしい。


2019年08月01日の日記
『古生物のサイズが実感できる! リアルサイズ古生物図鑑 中生代編』(土屋健:著、群馬県立自然史博物館:監修)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-08-01





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2019年を振り返る(7)[教養・ノンフィクション] [年頭回顧]

 まずはオカルト関連本から。「ディアトロフ峠事件」本でありながら、むしろ紀行文として読みごたえのある『死に山』。有名な怪談をめぐる背景事情を探る『死の海』。証拠を残さないサイ現象に挑む研究者たちの言葉が生々しい『超常現象のとらえにくさ』。そしてASIOSの『昭和・平成オカルト研究読本』は、オカルト基礎教養として大切なのでぜひお読みください。


2019年01月16日の日記
『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』(ドニー・アイカー、安原和見:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-01-16

2019年07月03日の日記
『昭和・平成オカルト研究読本』(ASIOS)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-07-03

2019年07月23日の日記
『超常現象のとらえにくさ』(笠原敏雄:編)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-07-23

2019年10月23日の日記
『死の海 「中河原海岸水難事故」の真相と漂泊の亡霊たち』(後藤宏行)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-10-23


 妖怪本では、日本ではあまり知られていない南米妖怪をイラストつきでたくさん紹介してくれる『南米妖怪図鑑』が素晴らしい。


2019年07月24日の日記
『南米妖怪図鑑』(ホセ・サナルディ:著、セーサル・サナルディ:イラスト、寺井広樹:企画)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-07-24


 理系・文系という分類をその由来から探ってゆく『文系と理系はなぜ分かれたのか』、その境界を鮮やかに突破してゆく研究者たちの姿をえがいた『「研究室」に行ってみた。』が感動的でした。両方の見識がないと踏み込めないような研究領域を扱った本も充実していました。


2019年04月11日の日記
『文系と理系はなぜ分かれたのか』(隠岐さや香)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-04-11

2019年05月09日の日記
『9つの脳の不思議な物語』(ヘレン・トムスン:著、仁木めぐみ:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-05-09

2019年09月02日の日記
『「研究室」に行ってみた。』(川端裕人)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-09-02

2019年09月10日の日記
『結局,ウナギは食べていいのか問題』(海部健三)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-09-10


 文化、歴史、法律、宗教などいわゆる文系領域についても、とても分かりやすい解説書、入門書がたくさん出ました。


2019年03月13日の日記
『『サトコとナダ』から考えるイスラム入門 ムスリムの生活・文化・歴史』(椿原敦子、黒田賢治)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-03-13

2019年09月11日の日記
『とてつもない失敗の世界史』(トム・フィリップス:著、禰冝田亜希:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-09-11

2019年09月25日の日記
『こども六法』(山崎聡一郎)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-09-25

2019年11月13日の日記
『起請文の精神史 中世の神仏世界』(佐藤弘夫)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-11-13


 あまり実態が知られていない職業についての本も興味深く読みました。

2019年01月29日の日記
『職業、女流棋士』(香川愛生)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-01-29

2019年02月19日の日記
『シドロモドロ工作所のはじめてのお彫刻教室』(田島享央己)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-02-19


 「ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ」が開催され、大きな話題となりました。


2019年05月21日の日記
『セミ』(ショーン・タン:著、岸本佐知子:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-05-21

2019年05月28日の日記
『ショーン・タンの世界』(ショーン・タン、岸本佐知子、金原瑞人、他)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-05-28





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