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『超常創作同人誌 PLAN9 FROM OUTER SpFILE』(SpF9)(Spファイル友の会) [その他]

 「超常現象は「もしかしたら本当に起こったことかも知れない」という、いわば虚実のあわいに位置するところが魅力なのであって、100パーセント創作、はじめっから虚構ですよ、とうたった話が面白いはずがない、なめんなよ、とお考えの読者もきっといらっしゃることでしょう。しかし、自分たちで言うのも何ですが、これがけっこう面白いものになったのですよ」(「はじめに」より)

 調査レポートや論考を中心とした超常同人誌『Spファイル』から生まれた新しい創作同人誌、それが『PLAN9』です。私も参加していますので、宣伝も兼ねて内容を紹介させて頂きます。ちなみに売上は全て東日本大震災の被災地復興のための義援金として寄付されます。

 なお、通信販売については期限付き(現時点では9月29日まで)です。通販申し込み、および最新情報については、以下のページを参照して下さい。

    Spファイル友の会
    http://sp-file.oops.jp/

 さて、イラストレーター星野勝之氏による、机「9」文字事件をモチーフとした印象的なカバーアートを含めて、九つの創作作品が収録されています。


 「おばちゃん、これひょっとして卑弥呼の金印とちゃうか」
 (『金印』 馬場秀和)

 私が手に入れた「親魏倭王の金印」は、紀元前一万二千年頃の時代錯誤遺物だった・・・。オーパーツに始まり、オーパーツに終わる、それが青春。超常現象で頭がいっぱいだった若き日の思い出をえがいた自伝的作品。


 「やつらのセキュリティは穴だらけだ。人間様をあなどっているんだよ。あるいはあまり理解していないかのどちらかだな」
 (『エリア・TVスター名鑑2011』 新田五郎)

 謎の「エリア」で殺された林家三平。坂本九は渡辺徹を連れて事件の調査を開始する。怪しいのは、あいつ。いつもアイスホッケーマスクをかぶっている、あの男だ。なぜかTVスター総出演の探偵小説。どこで超常ネタにつながるのかというと・・・。


 「なんというか、カンブリア期の生物に良く似ている」
 (『怪誕蟲』 近衛秀一)

 ひさしぶりに故郷にかえった杉山は、不思議な幻覚に襲われる。円盤、黒犬、銀色の宇宙人。これは夢なのか、それとも、うつつこそが夢なのか。オカルト現象に巻き込まれたときの現実喪失感覚をえがいた伝奇小説。怪談と奇譚とオカルトの境界にいるものとは。


 「あった イッエーイ」(キュッワ~ッ)
 「アンモ! アンモッ」
 「かっぱちゃんドリル~~」(ドルルルル ドル)
 (かっぱちゃん漫画『アンモ』 窪田まみ)

 アンモナイトの化石を探して洞窟に出かけたかっぱちゃん達ご一行。ほのぼのメルヘン調の楽しいコミック作品。でも、じわじわ正気度が削られていたことに後になって気づく。もう手遅れ。ヒングリィ君(仮名)に代わって「Spファイル友の会」のマスコットキャラになる気配に満ち満ちたかっぱちゃん、大活躍。


 「奇妙奇態な話をしているが、二人の男はいたって生真面目な顔つきであった」
 (『柳田國男円盤談義』 小山田浩史)

 神田須田町の甘味処「竹むら」で空飛ぶ円盤の話をする老人と青年。博識豊かな二人の洞察は、時代に先駆け、円盤現象に対する民俗学的アプローチへと進んでゆく。『パリから来た紳士』(ジョン・ディクスン・カー)にも似た趣向が仕掛けられているので、細部まで注意しながら読むべし。


 「この話はフィクションとノンフィクションが混在している。その比率は日常における虚構と真実のそれに近い」
 (『マン・デービー・インターフェイス』 神林玉一)

 第二次世界大戦前夜に飛行士が目撃した飛行物体の謎。だが、文献調査を続ける著者に、様々な圧力がかかってくる。なぜこの証言は検閲されたのか。そもそも、ここはどこだろう。虚実いり混じる「黒服の男たち」テーマの奇妙な現実改変小説。


 「膨らみの先端は薄桃色に色づいていて、堅く尖っているようでした。はぁ。小さく佳奈ちゃんが息を吐きます。「お、おっぱい、の少し下」掠れた声で佳奈ちゃんが告げます」
 (『あおる/かたる/つげる/みせる』 渚のいん)

 円盤と女の子、どちらを選ぶべきか。思春期前の少年が必ず悩む人生の大問題。しかし著者の世界では、UFOマニアの少女が家にやってきて、少年に向かってこう言うのです。「見たい?」
 これこそまぎれもない超常現象。円盤と少女を扱ったショートショート四篇収録。


 「なんでもいいですが、とにかくもう一度やったら、あなたはいろんな意味でオシマイです。いい年してやめなさいこんなこと」
 (『世界の終わりについてのマジメな話』 ペンパル募集)

 東日本大震災後、「あの災害を前に、XXに何が出来るのだろうか」という問いがさかんに口にされた。XXには、「文学」、「詩歌」、「言葉」、「芸術」などが入る。しかし、最も真剣に問われるべきなのは、超常現象ではないだろうか。あの「黒い水」や「白い煙」を見た私たちにとって、超常現象とは何なのか。

 この困難な問いに対して、「Spファイル友の会」代表でもある著者は真正面から切り込んでゆく。搭乗員コンタクト、ハイストレンジ事象、異界との邂逅、そして祈り。スタイリッシュな9つの断片から構成される物語が、ポスト311パラノーマル文学の出発点となるだろう。


 最後に、本書全体を読み解くためのヒントを一つ。2011.03.11。この日付を構成する数字を合計すると、答えは、そう、「9」になる。

[収録作品]

PLAN9ノ1. 『表紙イラスト』(星野勝之)
PLAN9ノ2. 『金印』(馬場秀和)
PLAN9ノ3. 『エリア・TVスター名鑑2011』(新田五郎)
PLAN9ノ6. 『怪誕蟲』(近衛秀一)
PLAN9ノ4. 『かっぱちゃん漫画アンモ』(窪田まみ)
PLAN9ノ5. 『柳田國男円盤談義』(小山田浩史)
PLAN9ノ7. 『マン・デービー・インターフェイス』(神林玉一)
PLAN9ノ8. 『あおる/かたる/つげる/みせる』(渚のいん)
PLAN9ノ9. 『世界の終わりについてのマジメな話』(ペンパル募集)


タグ:同人誌
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