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『おやすみ動物園』(たちばなれんじ) [読書(教養)]

 丸めた身体にくちばしを押しつけて白いボールになるアヒル、酔っぱらいのおっさんみたいに地面に手足を投げ出すカンガルー、日陰でそっと祈りを捧げているニホンザル。見ているだけで脱力してくる動物たちの寝相写真集。出版(河出書房新社)は2010年12月です。

 上野動物園、井の頭自然文化園、多摩動物公園など、身近な動物園で撮影された動物たちの寝姿を集めた一冊です。いぎたなく眠りほうけている、という描写がぴったり当てはまるだらしない姿に、見ている方も弛緩してゆきます。

 精悍な顔付きのまま、だら~っと伸びるトラ。一本足ですくっと立ったまま、背中の羽根に頭を突っ込んで何もかもなかったことにするフラミンゴ。唐突に横向きにばったり倒れてそのままのマレーバク。

 俺はもういいよどうでも、と言い残して首をのけぞらすシロクマ。やるべきことはやり終えたという満足感と共に前のめりに倒れるカピバラ。目覚まし時計をきちんとかけたかどうか気にしながら生真面目に熟睡するレッサーパンダ。

 もっとも、コアラは普段の通り(つまり木の枝にひっかけられた汚れ雑巾)だし、シロフクロウはその静かな佇まいに殺気をためているようだし、ハシビロコウは寝ているのか起きているのかさっぱり分かりません。

 うーん、何とも言えず愛らしい寝姿です。あまりに無防備。あまりに気持ち良さそう。何だかこの暑いのに仕事して電力消費量を増やすのがアホらしくなってきます。出勤時ではなく、暑い昼間に風通しのよい日陰で眠るときに眺めたい脱力必至のだらけ本。


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