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『掃除婦のための手引き書』(ルシア・ベルリン、翻訳:岸本佐知子) [読書(小説・詩)]

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 たとえ時間はかかっても、最上の作家はいつかはきっとミルクのクリームのように表面に浮かびあがると――そして正当な評価を得て、広く世界に知られるようになるはずだと、私はずっと信じてきた。そうして彼らの作品は語られ、引用され、教えられ、演じられ、映画になり、曲をつけられ、アンソロジーに編まれるようになる、と。もしかしたらこの作品集によって、ルシア・ベルリンは今度こそ、本来得るべきだった多くの読者を獲得することになるかもしれない。

 ルシア・ベルリンの文章ならば、私はどの作品のどの箇所からでも無限に引用しつづけ、そしてしみじみと眺め、堪能しつづけていられる。
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リディア・デイヴィス「物語こそがすべて」より
単行本p.309


 死後10年を経て「発見」され、さらにそれから5年後に日本語になった、魂をゆさぶる作品の数々。翻訳者である岸本佐知子さんが選んだ24篇を収録したルシア・ベルリンの短編集。単行本(講談社)出版は2019年7月、Kindle版配信は2019年7月です。


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 母親が自分の寝室で酒を飲んでいる。祖父も自分の寝室で酒を飲んでいる。少女はポーチに寝て、瓶から酒がとくとく注がれる音を二つの部屋からべつべつに聞く。小説内のこと、だがおそらくそれは事実でもあり――いや、というより小説は誇張された事実であり、それがあまりに鋭く観察され、かつユーモラスであるために、読み手は痛みを感じている時ですら、同時に語りの巧みさが快くて、快感のほうが痛みを上回ってしまう。(中略)
 たしかに彼女の小説の中ではいろいろなことが起こる。口の中の歯は一度に全部抜かれる。少女は尼僧を殴ったかどで退学になる。老人は山頂の小屋で、山羊や犬たちと一つ寝床で死ぬ。カビくさいセーターを着た歴史の女教師は、共産党員だったために学校を追われる――〈だがそれで終わりだった。父に言った、たった三つの単語で。その週のうちに彼女はクビになり、二度とわたしたちの前に姿をあらわさなかった。〉
 それがルシア・ベルリンの小説をいったん読みだしたら途中でやめられない理由なのだろうか――出来事がつぎつぎ起こることが? あるいは魅力的で気のおけない語りのなせるわざでもあるだろうか? それと文章の無駄のなさや緩急、イメージやクリアさも? 彼女の小説を読んでいると、自分がそれまで何をしていたかも、どこにいるかも、自分が誰かさえ忘れてしまう。(中略)
 いったい彼女はどうやっているのだろう? とにかく読み手はつねに次に何が起こるかわからない状態に置かれつづける。先の展開がなに一つ読めない。それでいてすべては自然で、真実味があり、こちらの心理と感情の予想を裏切らない。
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リディア・デイヴィス「物語こそがすべて」より
単行本p.296、299、302


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 十数年前に初めてルシア・ベルリンを読んで以来ずっと、なぜ彼女の書くものはこんなにも心を揺さぶるのだろうと考えつづけてきた。今も考えている。だが結局のところ、説明の言葉は重ねるだけ虚しい。ルシア・ベルリンの書くものならどこからでも延々と引用しつづけられる、というリディア・デイヴィスの言葉に全面的に賛成だ。ルシア・ベルリンの小説は、読むことの快楽そのものだ。このむきだしの言葉、魂から直接つかみとってきたような言葉を、とにかく読んで、揺さぶられてください、けっきょく私に言えるのはそれだけなのかもしれない。
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岸本佐知子「訳者あとがき」より
単行本p.315




〔収録作品〕

「エンジェル・コインランドリー店」
「ドクターH.A.モイニハン」
「星と聖人」
「掃除婦のための手引き書」
「わたしの騎手」
「最初のデトックス」
「ファントム・ペイン」
「今を楽しめ」
「いいと悪い」
「どうにもならない」
「エルパソの電気自動車」
「セックス・アピール」
「ティーンエイジ・パンク」
「ステップ」
「バラ色の人生」
「マカダム」
「喪の仕事」
「苦しみの殿堂」
「ソー・ロング」
「ママ」
「沈黙」
「さあ土曜日だ」
「あとちょっとだけ」
「巣に帰る」
「物語こそがすべて」(リディア・デイヴィス)




「エンジェル・コインランドリー店」
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「おれは長だぞ! アパッチ族のチーフなんだ! くそったれめが!」
「くそったれはそっちだよ、チーフ」彼は黙って酒を飲みながら、鏡の中のわたしの手を見ていた。
「チーフ様が、なんだって洗濯なんかしてるのよ?」
 どうしてそんなことを言ってしまったのかわからない。こんなひどいこと、言うべきではなかった。彼が笑ってくれるとでも思ったんだろうか。たしかに彼は笑った。
「あんた、どこの部族だ、レッドスキン?」わたしの手が煙草を出すのを見ながら彼は言った。
「わたしが生まれてはじめて吸った煙草はね、さる王子様が火をつけてくれたのよ。信じる?」
「信じるよ。火、いるかい?」彼がわたしの煙草に火をつけ、そしてわたしたちは顔を見合わせて笑った。二人がうんと近づいた、と思ったら彼は気を失い、わたしは鏡の中で独りになった。
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単行本p.16


「掃除婦のための手引き書」
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 ターは絶対にバスに乗らなかった。乗ってる連中を見ると気が滅入ると言って。でもグレイハウンドバスの停車場は好きだった。よく二人でサンフランシスコやオークランドの停車場に出かけて行った。いちばん通ったのはオークランドのサンパブロ通りだった。サンパブロ通りに似ているからお前が好きだよと、前にターに言われたことがある。
 ターはバークレーのゴミ捨て場に似ていた。あのゴミ捨て場に行くバスがあればいいのに。ニューメキシコが恋しくなると、二人でよくあそこに行った。殺風景で吹きっさらしで、カモメが砂漠のヨタカみたいに舞っている。どっちを向いても、上を見ても、空がある。ゴミのトラックがもうもうと土埃をあげてごとごと過ぎる。灰色の恐竜だ。
 ター。あんたが死んでるなんて、耐えられない。でもあんただってきっとわかってるはずね。
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単行本p.56


「わたしの騎手」
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 通訳しているあいだ、ジョンソン先生がわたしのおでこを拭いてくれた。鎖骨はまちがいなく折れてます。それに肋骨がすくなくとも三本、脳震盪の可能性もあります。いやだ、とムニョスは言った。絶対に明日のレースに出る。レントゲンにつれていって、とジョンソン先生は言った。頑としてストレッチャーに乗ろうとしないので、わたしがキングコングみたいに抱えて廊下を運んでいった。彼はおびえて泣いて、涙でわたしの胸が濡れた。
 暗い部屋で二人きり、レントゲン技師が来るのを待った。わたしは馬にするみたいに彼をなだめた。「どうどう、いい子ね、どうどう。ゆっくり……ゆっくりよ……」彼はわたしの腕のなかで静かになり、ぶるっと小さく鼻から息を吐いた。その細い背中をわたしは撫でた。するとみごとな子馬のように、背中は細かく痙攣して光った。すばらしかった。
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単行本p.67


「ママ」
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 母は変なことを考える人だった。人間の膝が逆向きに曲がったら、椅子ってどんな形になるかしら。もしイエス・キリストが電気椅子にかけられてたら? そしたらみんな、十字架のかわりに椅子を鎖で首から下げて歩きまわるんでしょうね。(中略)
「愛は人を不幸にする」と母は言っていた。「愛のせいで人は枕を濡らして泣きながら寝たり、涙で電話ボックスのガラスを曇らせたり、泣き声につられて犬が遠吠えしたり、タバコをたてつづけに二箱吸ったりするのよ」
「パパもママを不幸にしたの?」わたしは母に訊いた。
「パパ? あの人は誰ひとり不幸にできなかったわ」
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単行本p.202、203


「あとちょっとだけ」
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 世間の人が幽霊の存在を信じたり、降霊会で死者を呼ぶ気持ちがわたしにはわかる。何か月も生きている人のことだけ考えて暮らして、でもある日ふと一曲のタンゴや一杯のスイカ水に誘われて、バディがあらわれて冗談を言ったり、すぐ目の前にあなたが活き活きと立っていたりする。あなたと話せたらどんなにいいか。あなたは耳の聞こえない猫よりわるい。
 つい二、三日前、ブリザードの後にもあなたはやって来た。地面はまだ雪と氷に覆われていたけれど、ひょっこり一日だけ暖かな日があった。リスやカササギがおしゃべりし、スズメとフィンチが裸の木の枝で歌った。わたしは家じゅうのドアと窓を開けはなった。背中に太陽を受けながら、キッチンの食卓で紅茶を飲んだ。正面ポーチに作った巣からスズメバチが入ってきて、家の中を眠たげに飛びまわり、ぶんぶんうなりながらキッチンでゆるく輪を描いた。ちょうどそのとき煙探知機の電池が切れて、夏のコオロギみたいにピッピッと鳴きだした。陽の光がティーポットや、小麦粉のジャーや、ストックを挿した銀の花瓶の上できらめいた。
 メキシコのあなたの部屋の、夕方のあののどかな光輝のようだった。あなたの顔を照らす日の光が見えた。
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単行本p.268





タグ:岸本佐知子
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『NIPPON・CHA!CHA!CHA!』(Co.山田うん) [ダンス]

 2020年1月12日は、夫婦でKAAT 神奈川芸術劇場に行って山田うんさんの公演を鑑賞しました。一つの題材を演劇とダンスの二本立てで表現してみせる165分(途中休憩10分を含む)の舞台です。


[キャスト他]

振付・演出: 山田うん
出演(ダンスパート): 前田旺志郎、飯森沙百合、伊藤壮太郎、黒田勇、長谷川暢、山口将太朗、山根海音、吉﨑裕哉


 戯曲「NIPPON・CHA!CHA!CHA!」(如月小春)を元に、高度成長期(舞台上)、バブル期(脚本が想定している観客席)、そして衰退期(現在の観客席)という、各時代における日本人の「空気」や「気分」を、多分に皮肉を込めて描きます。ちなみに演劇パートにも昭和なダンスシーンがいくつか含まれていますが、山田うん本人がセンターとって目立ちまくるのが素晴らしい。素敵。

 演劇パートで全体像を見せておいてから、ダンスパートに突入。白い衣装を着用した8名のダンサーが踊ります。舞台上を大旋回して走り回るような群舞、次々と流れるように登場するペアダンスやソロダンス、全体的に勢いがすごい。山田うんさんの振付はとにかく盛り上がる。

 もちろん抽象ダンスではあるのですが、演劇パートを観たばかりなので、だいたいどういう気分を表現しているのか伝わってきます。演劇パートで活躍していた出演者が実はダンサーで、ダンスパートでも同じキャラクターで踊るのが妙に可笑しい。





タグ:山田うん
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『ぶたぶたのシェアハウス』(矢崎存美) [読書(小説・詩)]

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 どこへ行ったらいいのかわからなかった智世に、別の世界もあると教えてくれたのがぶたぶただったのだ。そこでは、ぬいぐるみが傷ついた人たちを笑顔にしてくれたり、おいしいものを食べさせてくれたりする。(中略)
 人間、今が幸せだと、過去を忘れるのも少し容易になるのかもしれない、と智世は思った。昔も確かに幸せだったんだろうけど、今の方がずっといい。幸せは過去を上書きしてくれる。たとえそれがささやかな幸せであっても。
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文庫版p.153、158


 見た目は可愛いぶたのぬいぐるみ、中身は頼りになる中年男。そんな山崎ぶたぶた氏に出会った人々に、ほんの少しの勇気と幸福が訪れる。大好評「ぶたぶたシリーズ」は、そんなハートウォーミングな奇跡の物語。

 最新作は「響子さんに負けず劣らずかわいい、ぶたぶたの管理人さん」(作者談)が活躍する、女性専用シェアハウスを舞台にした五つの物語を収録した連作短編集。離婚や虐待など重い背景を持った話ばかりですが、そこは癒しの名手ぶたぶた、何とかなります。NNNシリーズとのクロスオーバー、ぶたぶたの家庭事情の一端など、ファン向けサービスも充実。文庫版(光文社)出版は2020年01月です。


[収録作品]

『ワケアリの家』
『自分のことは』
『行かなかった道』
『優しくされたい』
『るーちゃん』




『ワケアリの家』
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「あの」
 実里は思い切ってぶたぶたに訊いてみた。
「ここはワケアリの人が多いと聞いたんですが」
 弓花がここを教えてくれた時、チラッと言っていたのだ。
「いや、そこまでじゃないと思いますよ」
 ぶたぶたは言う。
「問題があるにしても、それは人なら大なり小なり持つものです。ワケアリになんてなりたくてなるもんじゃないと思いますし(中略)それに『ワケアリ』って言ったら、わたしが一番かもしれないですからね!」
 そう言って、なんとなくだが胸を張ったように見えた。
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文庫版p.35


 いわゆる毒親である母親の支配から逃れて自立するために「シェアハウス&キッチンY」で一人暮らしをはじめた語り手。ところが母親に居場所を突き止められて……。舞台となるシェアハウスとシェアキッチン、そして管理人ぶたぶたを紹介する導入話。


『自分のことは』
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 うつむいたまま、家に帰る。冷たくほこりっぽい臭いのする家に。なんだか、また泣けてきた。
 宗昭は靴も脱がず、玄関に座り込んだ。誰も出迎えてくれない。善美は家を出るまで、出迎えてくれた。それはどうしてだろう。離婚をしたいくらい嫌っていたはずだ。突然嫌いになるわけはなかろう。
 でも、妻は家を出るまでちゃんと掃除をして、食事も作ってくれた。自分の生活は、宗昭自身で整えられていたわけではなかったのだ。
 しばらく座り込み、涙が止まったところで家に上がった。ひらりと持っていたチラシが落ちる。
 あのキッチンのイベントカレンダーか……。月に一度の手作り市、平日には昼食会、週末には料理教室――ほぼ毎日イベントが行われている。
 その中で宗昭の目を引いたのは、「家事初心者講座」というものだった。
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文庫版p.98


 家事を奥さんに丸投げしてきた夫が、熟年離婚を切り出される。妻が出て行った家はどんどん荒んでゆく。傲慢で無神経なだけで何も出来ない自分にようやく気づいた夫は、何とかしようと、山崎ぶたぶた氏による「家事初心者講座」に参加してみたが……。典型的なダメ中年男性でも、自分で自分の人生を救おうと決意すれば、そこにぶたぶたとの出会いが待っている、かも知れない。

 社会の分断に対する危機感からか、本書に限らず近作には、不愉快な人、共感できない人、友達になりたくない人、そういった「嫌な人」をあえて視点人物にして、それでもその人なりに人生があり悩みがあり、許容はともかく共存はできるのだ、ということを書くのに挑戦した話が増えているような気がします。


『行かなかった道』
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 彼がぬいぐるみであることをあまり考えないように対応するうちに、相談されたシェアハウスに興味を持った。
「DVや虐待で行き場を失った人のシェルターとしても利用してもらいたいんです。一時的な安息の場所として、セキュリティもしっかりしたい」
 そういう人たちを支援しているNPOとも連携すると言っていた。もちろん、それ以外の人も入れる予定だという。その場合は紹介や面接などで「ここが必要」と判断した人だけに絞りたい、とも。
「理想論ですけどね」
 ぶたぶたはそう言って笑った。
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文庫版p.152


 好きなミュージシャンの話で盛り上がり、年上の女性と友達になった高校生。チケットが手に入ったというので一緒にライブに行こうと思ったのに、彼女は行けないという。実は辛い過去があったのだ。傷ついた女性を保護するシェルターでもある「シェアハウス&キッチンY」の由来が明らかになる作品。


『優しくされたい』
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 こんなに悲しいのなら、もう猫なんて飼わないと思っていた。両親の死とは違う悲しみだった。いや、最後の家族を失ったことでまひるはより打ちひしがれてしまったのだ。このままずっと一人でいることばかり考えていた。
 だから、あのシェアハウスに入りたかった。暖かな輪に混ざりたかった。ぶたぶたに優しくしてもらいたかった。
 でも、小さな毛玉のような子猫を抱えた時、自分は優しくしてもらいたかったのではなく、誰かに優しくしたかった、とわかったのだ。
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文庫版p.195


 両親に続いて飼い猫まで亡くなり、天涯孤独になってしまった語り手。一人は寂しい、誰かに優しくされたい。念願かなってぶたぶたのシェアハウスに入居するチャンスが来たとき、まさかのタイミングで子猫を拾ってしまう……。ぶたぶたとミケさん夢の共演、NNNシリーズとのクロスオーバー作品。


『るーちゃん』
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「知らないおじさんに声かけられた!」
 とあたしが言うと、みんな「ええっ!?」と叫んで、あわててお父さんを呼んでくれた。
 お父さんの姿を見て、あたしは泣き出してしまう。
「お父さん、お父さんはお父さんだけだよね!?」
 怖かったのもあるけど、それが一番のショックだった。あたしのお父さんは、ぬいぐるみのお父さんだけだ!
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文庫版p.208


 ご存じの通り、ぶたぶたには奥さんと二人の娘がいます。姉が語り手となる話はありましたが、妹が語り手となるのはおそらくはじめて。その妹さんが、友達と一緒に歩いているときに、知らないおじさんから「パパだよ」と声をかけられる。これまでの作品でも、うちは再婚だとぶたぶたが語っていたので、子連れの女性と結婚したのだろうとは思っていましたが、実のところ山崎家の家庭事情について真面目に考えたことはなかった……。





タグ:矢崎存美
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2019年を振り返る(8)[サイエンス・テクノロジー] [年頭回顧]

 自律型兵器、電動航空機、マイクロプラスチック汚染。急激なテクノロジーの発展が社会に与える影響をテーマとした本がたくさん出ました。


2019年06月12日の日記
『空飛ぶクルマ 電動航空機がもたらすMaaS革命』(根津禎)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-06-12

2019年08月14日の日記
『地球をめぐる不都合な物質 拡散する化学物質がもたらすもの』(日本環境化学会)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-08-14

2019年10月10日の日記
『無人の兵団 AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争』(ポール・シャーレ:著、伏見威蕃:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-10-10


 合成生物学、マルチバース、巨大数。エッジな研究分野がどれほど刺激的、というかマッドであるかを活き活きと伝えてくれる本が好きです。


2019年05月08日の日記
『不自然な宇宙 宇宙はひとつだけなのか?』(須藤靖)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-05-08

2019年10月31日の日記
『我々は生命を創れるのか 合成生物学が生みだしつつあるもの』(藤崎慎吾)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-10-31

2019年12月11日の日記
『現代思想2019年12月号 特集「巨大数の世界 アルキメデスからグーゴロジーまで」 』(鈴木真治、フィッシュ、小林銅蟲、他)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-12-11


 サイエンス/テクノロジーの歴史を扱った本では、精密工学をテーマとした『精密への果てなき道』が抜群に面白いと思います。


2019年03月04日の日記
『ブロックチェーン 相互不信が実現する新しいセキュリティ』(岡嶋裕史)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-03-04

2019年09月19日の日記
『科学史ひらめき図鑑 世界を変えた科学者70人のブレイクスルー』(スペースタイム:著、杉山滋郎:監修)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-09-19

2019年11月28日の日記
『精密への果てなき道 シリンダーからナノメートルEUVチップへ』(サイモン・ウィンチェスター:著、梶山あゆみ:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-11-28


 タコを崇めよタコと和解せよ『タコの心身問題』、性進化の新理論『動物たちのセックスアピール』、自然保護が引き起こす種の絶滅というジレンマ『絶滅できない動物たち』など、先入観を強く揺さぶってくる動物本をたくさん読めて嬉しい。


2019年03月14日の日記
『タコの心身問題 頭足類から考える意識の起源』(ピーター・ゴドフリー=スミス、夏目大:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-03-14

2019年04月18日の日記
『動物たちのセックスアピール 性的魅力の進化論』(マイケル・J・ライアン、東郷えりか:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-04-18

2019年01月17日の日記
『絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ』(M・R・オコナー、大下英津子:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-01-17

2019年09月03日の日記
『数をかぞえるクマ サーフィンするヤギ 動物の知性と感情をめぐる驚くべき物語』(べリンダ・レシオ:著、中尾ゆかり:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-09-03


 数学の歴史を扱った本としては、『数学の真理をつかんだ25人の天才たち』が面白かったと思います。


2019年01月22日の日記
『組合せ数学』(ロビン・ウィルソン、川辺治之:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-01-22

2019年03月27日の日記
『数学の真理をつかんだ25人の天才たち』(イアン・スチュアート、水谷淳:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-03-27


 図鑑としては、リアルサイズ古生物図鑑シリーズが素敵だと思います。無事に完結してほしい。


2019年08月01日の日記
『古生物のサイズが実感できる! リアルサイズ古生物図鑑 中生代編』(土屋健:著、群馬県立自然史博物館:監修)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-08-01





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2019年を振り返る(7)[教養・ノンフィクション] [年頭回顧]

 まずはオカルト関連本から。「ディアトロフ峠事件」本でありながら、むしろ紀行文として読みごたえのある『死に山』。有名な怪談をめぐる背景事情を探る『死の海』。証拠を残さないサイ現象に挑む研究者たちの言葉が生々しい『超常現象のとらえにくさ』。そしてASIOSの『昭和・平成オカルト研究読本』は、オカルト基礎教養として大切なのでぜひお読みください。


2019年01月16日の日記
『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』(ドニー・アイカー、安原和見:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-01-16

2019年07月03日の日記
『昭和・平成オカルト研究読本』(ASIOS)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-07-03

2019年07月23日の日記
『超常現象のとらえにくさ』(笠原敏雄:編)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-07-23

2019年10月23日の日記
『死の海 「中河原海岸水難事故」の真相と漂泊の亡霊たち』(後藤宏行)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-10-23


 妖怪本では、日本ではあまり知られていない南米妖怪をイラストつきでたくさん紹介してくれる『南米妖怪図鑑』が素晴らしい。


2019年07月24日の日記
『南米妖怪図鑑』(ホセ・サナルディ:著、セーサル・サナルディ:イラスト、寺井広樹:企画)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-07-24


 理系・文系という分類をその由来から探ってゆく『文系と理系はなぜ分かれたのか』、その境界を鮮やかに突破してゆく研究者たちの姿をえがいた『「研究室」に行ってみた。』が感動的でした。両方の見識がないと踏み込めないような研究領域を扱った本も充実していました。


2019年04月11日の日記
『文系と理系はなぜ分かれたのか』(隠岐さや香)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-04-11

2019年05月09日の日記
『9つの脳の不思議な物語』(ヘレン・トムスン:著、仁木めぐみ:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-05-09

2019年09月02日の日記
『「研究室」に行ってみた。』(川端裕人)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-09-02

2019年09月10日の日記
『結局,ウナギは食べていいのか問題』(海部健三)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-09-10


 文化、歴史、法律、宗教などいわゆる文系領域についても、とても分かりやすい解説書、入門書がたくさん出ました。


2019年03月13日の日記
『『サトコとナダ』から考えるイスラム入門 ムスリムの生活・文化・歴史』(椿原敦子、黒田賢治)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-03-13

2019年09月11日の日記
『とてつもない失敗の世界史』(トム・フィリップス:著、禰冝田亜希:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-09-11

2019年09月25日の日記
『こども六法』(山崎聡一郎)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-09-25

2019年11月13日の日記
『起請文の精神史 中世の神仏世界』(佐藤弘夫)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-11-13


 あまり実態が知られていない職業についての本も興味深く読みました。

2019年01月29日の日記
『職業、女流棋士』(香川愛生)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-01-29

2019年02月19日の日記
『シドロモドロ工作所のはじめてのお彫刻教室』(田島享央己)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-02-19


 「ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ」が開催され、大きな話題となりました。


2019年05月21日の日記
『セミ』(ショーン・タン:著、岸本佐知子:翻訳)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-05-21

2019年05月28日の日記
『ショーン・タンの世界』(ショーン・タン、岸本佐知子、金原瑞人、他)
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-05-28





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