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『店主は、猫 台湾の看板ニャンコたち』(猫夫人、天野健太郎・小栗山智:翻訳) [読書(随筆)]


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「台湾人は猫嫌い」ってよく言われていたけど、この数年台湾のいろんなところを歩きまわって、それが嘘だってことがわかった。どのお店でも、最初は「ネズミを捕る」という目的で飼い始めたのかもしれないけれど、いつしか猫とのあいだに情が芽生えて、その奥ゆかしいけど豊かな感情表現にノックアウトされ、最後はみんな猫ちゃんを家族の一員にしてしまうのだ。
 もっと感動的なのは、あるお店で猫を飼い始めると、どんどん隣近所にその猫愛が「伝染」していって、ついには商店街じゅうが猫だらけになることだ。最後はお客さんまで「陥落」して、猫好きになり、猫飼いになる。台湾って、なんてかわいい場所だろう。
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単行本p.3


 台北、新北、基降、花蓮。猫写真家、猫保護活動家として名高い簡佩玲こと「猫夫人」が台湾各地の店頭で撮影した看板猫写真集。単行本(WAVE出版)出版は2016年3月です。


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原著掲載作品だけでなく取材時のデータを猫夫人よりお預かりし、WAVE出版の設楽さんが写真をイチから選び直した。あいだでサポートした黄とともに、みなさんに感謝を申し上げる。この本は、台日コラボレーションの最良の形になったのではないかと思う。
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単行本p.173


 というわけで、わざわざ写真を選定しなおし増量したという、『台灣這裡猫當家』の日本語版です。

 漢方薬局、乾物屋、製麺屋、靴屋、果物屋、豆花屋、八百屋、書店、温泉旅館など、台湾各地にある店先で、のうのうと寝てたり、客に愛想を振りまいたり、喧嘩したり、かと思うと商品に手をつけたり、好き勝手に振る舞っている看板猫たちの愛らしい写真がぎっしり。

 写真には撮影時のエピソードを語るエッセイが添えられ、文章からは猫夫人の人柄が滲み出ているようです。


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かつてはみんな傷だらけで腹ペコのノラだったけど、今はそれぞれのお店で大事に飼われている。そう、猫をかわいがることが、いつのまにか流行となってストリート全体に広がり、みんなで猫情報をシェアしたり、必要なものを貸し借りしたり、里親探しに協力したりするようになったという。若い仲間たちがそれぞれ、店のスペースと営業時間を無駄にしてまで、猫たちの世話をしてくれている。
 だからほら、ここの猫ちゃんはみんな招き猫。
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単行本p.142


 「粉圓(タピオカ)」、「豆花猫(ドウファー)」、「小判(銭銭)」など、いかにも台湾らしい猫の名前にも魅了されます。

 もちろん猫が主役なのですが、背景として写っている店の様子が、これまたすごく素敵なのです。今すぐ台湾に行きたいっ、という衝動にかられます。ちなみに、個人的な話で恐縮ですが、読了後すぐに台湾旅行の予約を入れてしまいました。

 なお、掲載されているすべての店について店名、住所が明記されていますので、台湾旅行の際に立ち寄って実際に猫や店の人に会えます。(写真および掲載情報はすべて2011年当時のもの)



タグ:台湾
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