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『SFが読みたい! 2011年版』 [読書(SF)]

 今年もまた昨年のベストSFが発表される時期がやってまいりました。「ベストSF2010国内篇・海外篇」の発表です。 さっそく、自分が読んでいた作品数を数えてみました。

 まず国内篇ですが、ベスト20のうち読んでいたのは8冊でした。例年に比べると昨年はまあまあ読んだ方かな、と思いつつも、アンソロジーのおかげで冊数を稼いだだけ、という気がしないでもありません。

第1位:『華竜の宮』(上田早夕里)
  2010年12月28日の日記参照

第5位:『去年はいい年になるだろう』(山本弘)
  2010年04月16日の日記参照

第7位:『歪み真珠』(山尾悠子)
  2010年12月16日の日記参照

第8位:『ゼロ年代日本SFベスト集成』(大森望 編)
  2010年11月02日の日記参照
  2010年11月01日の日記参照

第9位:『NOVA 2』(大森望 編)
  2010年07月08日の日記参照

第11位:『ペンギン・ハイウェイ』(森見登美彦)
  2010年06月03日の日記参照

第15位:『量子回廊 年刊日本SF傑作選』(大森望、日下三蔵)
  2010年08月03日の日記参照

第20位:『アリスへの決別』(山本弘)
  2010年08月10日の日記参照

 第1位の『華竜の宮』(上田早夕里)は予想通りというか、結果を見ると第2位(北野勇作さんの『どろんころんど』)の二倍以上の票を獲得しており、まさに一人勝ち、圧勝と言ってよいでしょう。他に本命がなかったという面もありますが、やはり作品としての出来が素晴らしかったと思います。今月発売のSFマガジンにスピンオフ短篇が掲載されるという噂もあるので、大いに期待したいところ。

 続いて海外篇。ベスト20のうち読んでいたのは、あー、4冊でした。あきまへん。翻訳SFを避けていたのが露骨にバレる結果になりました。

第5位:『ここがウィネトカなら、きみはジュディ』(大森望 編)
  2010年10月04日の日記参照

第6位:『ワイオミング生まれの宇宙飛行士』(中村融 編)
  2010年08月09日の日記参照

第14位:『創世の島』(バーナード・ベケット)
  2010年07月01日の日記参照

第20位:『ラウィーニア』(アーシュラ・K・ル=グウィン)
  2009年12月03日の日記参照

 せめて第1位『異星人の郷』(マイクル・フリン)といった話題作くらいきちんと読んでおけばよかった。第4位と第17位に選ばれた『WORLD WAR Z』や『高慢と偏見とゾンビ』といった作品を、ゾンビだから、という理由で避けなければよかった。第12位の『逆光』(トマス・ピンチョン)を書店でみかけたときに、その分厚さに怯えて、すっと通りすぎたりせず、思い切って買えばよかった。後悔ばかりが残ります。

 というわけで、これから本書を参考に、昨年のベストSFを少しずつ読んでゆくことにします。


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『猫自慢展12』(坂田恵美子) [その他]

 地元、福生の喫茶「アルルカン」でやっている『猫自慢展12』。毎年、この時期に開催される、猫をモチーフとした作品展です。今年も知り合いの坂田恵美子さん(マイミクのメイポッチさん)の猫写真を見るために夫婦で行ってきました。

 どかどか雪が降っていたのですが、幸いにしてまだ積もっておらず、特に問題なくアルルカンまで到着しました。坂田さんが店内にいたので、チャイなど飲みつつ猫トーク。ほっとする温かいひとときを過ごさせて頂きました。

 坂田さんの写真は4、5枚展示されていました。個人的には、ジオット君のふてぶてしそうに見える顔がお気に入り。他には、小橋八重子さん(陶房こばし)の陶芸品、猫をモチーフにしたカップ(いわゆる猫足つき)とか猫絵皿とかが印象に残りました。

 二時間ほどおしゃべりして、絵はがき数点などを購入して帰宅しました。今月いっぱい開催されているので、また行ってみようと思います。

【猫自慢展12】

2011年2月10(木)~27日(日)
月曜日定休(21日)
11:00~19:00
エスニックカフェ アルルカン

 詳しくは坂田さんのブログで確認して下さい。

    しっぽのきもち(2011年02月06日)
    http://blog.livedoor.jp/mei5555/archives/1361497.html


タグ:坂田恵美子
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『ポテチを異常に食べる人たち  ソフトドラッグ化する食品の真実』(幕内秀夫) [読書(教養)]

 どうしてもポテトチップがやめられない。夜中に食べたい衝動で気がくるいそうになる。栄養管理士である著者が見た「スナック菓子依存症」に苦しむ人々の姿を通じて、スナック菓子の危険性に警鐘を鳴らす一冊。単行本(WAVE出版)出版は2010年5月です。

 二袋でも三袋でも一人でむさぼってしまう。一刻も早く食べたくて家に着くまでガマンできず歩きながら袋を開けて食べる。真夜中なのにスナック菓子を飲むようにガーッと口の中に流し込む。ストレス発散のつもりで食べても、結局は食べた後にすごい罪悪感だけが残る。それがまたストレスになる。どうしてもスナック菓子が止められなくて、太るのを避けるために食事を抜いて食べ続ける。

 本書に登場する「スナック菓子依存症」の方々の生々しい証言です。本書を読めば、スナック菓子には依存性の危険がある、ということがよく分かります。その味つけに、人間の本能は抵抗できないのです。

 ただし本書は、スナック菓子を食べると健康を害しますよ、病気になりますよ、死にますよ、太陽が超新星化しますよ、などと読者を脅しつけるようなことはしません。どちらかと言えば、成人のスナック菓子依存には同情的で、たとえ無理に止めさせても他のものに依存するようになるだけ、でなければ心の病気の患者さんを増やしてしまう結果になる、そもそもはストレス社会に根本的な原因があるのだから、という立場です。

 その一方で、子供にむやみとスナック菓子を与えることについては強く否定します。栄養問題よりも先に、スナック菓子の強烈な味が子供の味覚を破壊し、普通の食事の味が分からない、まともな食事がとれない、という習慣をつけてしまう危険性があるためです。

 スナック菓子がやめられなくて苦しんでいる方、スナック菓子をもりもり食べた後にカロリーが気になって食事を抜いたりしている方、幼い子供にスナック菓子をどんどん与えている方など、スナック菓子との付き合い方を再考するきっかけとして、本書の一読をお勧めします。


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『最後の吐息』(星野智幸) [読書(小説・詩)]

 星野智幸さんの著作を順番に読んでゆくシリーズ“星野智幸を読む!”。その第2回として、第34回文藝賞を受賞したデビュー作を読んでみました。単行本(河出書房新社)出版は1998年1月、私が読んだ文庫版(河出書房新社)は2005年11月に出版されています。

 「まだ読んだこともない作家が死んだ」という印象的な一文で始まる『最後の吐息』。メキシコにいる語り手は、新聞でその作家の訃報を読んで、ハチドリ、ブーゲンビリアの花、タラベラ焼きの陶器、何でもいいから自分以外のものになりたいと願います。

 「そうすると、いま味わっているような、自分が架空の人物であるような気分は、跡形もなく消えて、輪郭のくっきりした世界に生きられるだろう」(文庫版p.10)

 しかし、ハチドリやブーゲンビリアになることは出来ないので、その代わりに彼は自分の恋人にあてた手紙として小説を書き始めます。メキシコを舞台とし、蜜を吸うハチドリ、咲き乱れるブーゲンビリアの花、タラベラ焼きの陶器が出てくる小説を。

 鮮やかな色彩、むせかえるような濃厚な芳香、焼けつくような日差し、中指の甘皮をなめた味。五感を執拗に刺激して陶酔感に酔わせるような作中作が、こうしてはじまります。

 個々の情景はリアルで官能的ですが、なぜか主人公が反政府ゲリラの英雄に祭り上げられてしまったりと、全体的には極めて非現実的に展開してゆきます。いかにもラテンアメリカ文学っぽい。

 途中で語り手は、読者である恋人から激しい批判をあびます。

 「二人が交わったように見えるのは、書かれた文字だからで、最後にその役得にすがるなんて、何のためにこれまでの手紙は書かれてしまい、読まれてしまったのでしょう」(文庫版p.87)

 そこで作中作のラストは取り消され、途中から書き直されることになります。他の作家の真似ではなく、自分の作品として完成させるために。

 なぜ自分は小説を書くのか。どのような小説を自分は書くのか。それを小説として追求するという、しかも作中で批判と修正までやるという、いかにも真っ直ぐで、いろいろな意味で若さあふれる作品。これでデビューするというのは、そのあまりの正しさに、むしろ苦笑してしまいそうです。

 書き下ろし作品『紅茶時代』は、いきなりポットに吸い込まれて濃厚な紅茶のなかを泳ぐというシーンから始まって、想像力の限りを尽くして、超現実的な情景を次々とつなげてみせた作品。『最後の吐息』と違って余裕があるというか、妙なユーモア感もあり、個人的にはこちらの方が好みです。

[収録作]

『最後の吐息』
『紅茶時代』


タグ:星野智幸
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『大人の超ネットマナー講座』(石原壮一郎) [読書(教養)]

 同僚や友人からネット関連の話題が出たとき、どう対応すればよいのか。一歩間違えればとかく波風が立ってしまいがちなあのシーンこのシュチエーション、デキるオトナはこういう態度をとるべし。ダイヤモンドオンラインの人気連載が単行本(ダイヤモンド社)化されました。出版は2010年12月です。

 『大人養成講座』や『大人力検定』など一連のシリーズにて、腰を低く保ち、世間に波風立てず、何事も丸くおさめる、「オトナの態度」を追求してきた著者。

 その割に「アベする」炎上事件を起こし、「絶対に謝るもんか」とオトナげない態度を貫いて後の「アサヒる」問題へとつなげるという、ネット上で波風立てまくったことでも有名な著者。本件については、「今だから語れる、アベする事件の真相」(本書p.123)に詳しいです。

 その著者がオトナらしくソツのない「超ネットマナー」を教えてくれます。超ネットマナーとは何か。

・まだやってない他人にさりげなくツイッターを勧めて優越感を感じたい
・うっとうしいツイッター信者がその良さを熱く語ってきたときにどうかわすか
・何でも実況しはじめるツイッター野郎にどう対処するか
・ブログ見て見てとうるさいかまってちゃんブロガーとの付き合い方
・いまだにmixiやってる人に対してとるべき態度
・というか今さらmixiを始めた知り合いがいたらどうすればいいのか

 こんなとき、「コイツ、根の深い寂しさを紛らしてるだけじゃん」などと表情で語ってしまったり、「まだやってんの?」という呆れた気持ちを声に乗せてしまったり、「ネットの流行りモノにふり回されるだけの軽薄なヤツはどうもね」という苦手意識を見せてしまったり、そういった態度はオトナとして避けなければなりません。

 というわけで本書は、様々な想定シチュエーションのもとに、その場を適当にうまく取り繕い、腹も波風もたてず、傷つけず傷つかず、へらへら笑顔で、明るい上辺だけの付き合いを維持するという、現代人にとっての必須スキルを解説してくれるのです。

 まあ、基本的にはお笑いネタです。実用性はかなり疑問ではあるのですが、知らないうちにとっている自らの「イヤな態度」を振り返るきっかけにはなるかも知れません。

 しかし、ここまで気苦労しながらコミュニケーションについてのコミュニケーションについてのコミュニケーション(例.ツイッターでmixiの悪口つぶやく奴ってどうよ?)をとらなければならないネット社会について、あなたどう思いますか。


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