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『よくわかるフィギュアスケート』(ワールド・フィギュアスケート編) [読書(教養)]

 歴史、キーパーソン、採点方式、基本テクニックなど、フィギュアスケートに詳しくない方が競技を鑑賞するさいに、知っておいた方が楽しめるであろう基礎知識をまとめた一冊です。単行本(新書館)出版は2011年2月。

 ここ数週間、フィギュアスケートのTV放映ラッシュが続いています。先週末にようやく欧州選手権の放映が完了したかと思うと、まだ録画を見終わってないのに、明日と明後日には続けざまに全米選手権のペア、アイスダンス、エキシビションが放映され、さらに週末になるともう四大陸選手権の放映が始まるという勢い。見終わった頃には世界選手権が待っています。何とも慌ただしい季節です。

 しかしながら、なにぶん知識に乏しいもので、競技を観て、解説を聞いても、色々と疑問が浮かぶのです。「ルッツジャンプ」と「フリップジャンプ」の区別がつかないんですけど。アイスダンスだけ曲にボーカルが入るのはなぜ。世界ランキングってどういう規則で決まるの。そういえば各国の「出場枠」がどうやって決まるのかも実はよく分からない。

 他にも、演技構成点の内容がさっぱり。例えば「パフォーマンス」と「インタープリテーション」はどう違うのか。「コリオグラフィー」は振付師の仕事なのに選手の評価になるのはどうして。そもそもレベルとGOEはどういう違いなの。

 というわけで、悩める初心者のために「ワールド・フィギュアスケート」編集部がまとめてくれた分かりやすいハンドブック、それが本書です。本誌に掲載されたであろう美麗写真が満載です。

 全体をざっと見てみましょう。

 まず最初に「スケーターで読むフィギュアスケート史」です。19世紀の半ばから始まり、重要な大会(特にオリンピック)と歴史に名を残した名選手たちについて、時代順に解説されます。

 続いて「世界のコーチ」では、名選手を育てたコーチたちを紹介。続く「世界のコリオグラファー」では、名プログラムを作った振付師たちを紹介してくれます。

 そして「フィギュアスケートQ&A」では、前述のような素朴な疑問を取り上げて、一つ一つ解説してくれます。こんな感じ。

・ジャンプの種類の見分け方について教えて下さい。
・4回転はどうして難しいのですか。
・連続ジャンプは何回まで可能なのですか。
・連続ジャンプのとき、最初に着氷したあと一呼吸待ってから跳ぶ選手がいますが、あれはどうしてですか。
・よく「スケーティングがうまい」と言いますが、具体的にどういうことですか。

・演技構成点の内容について項目ごとに詳しく教えて下さい。
・「コリオグラフィックステップ」とは何ですか。
・レベル、GOE、それぞれどのように決まるのか教えて下さい。
・採点表(プロトコル)の見方を教えて下さい。

 ジャンプの種類についてはイラスト入りで解説されますし、点数の内訳については実際の採点表を見開きで掲載した上で、各項目について解説してくれます。

 そして「フィギュアスケート、ここが気になる」では、次のような疑問に答えてくれます。

・選手に定年はありますか。
・選手はスケート靴を何足もっていますか。
・選手の服装には制限や規則がありますか。
・審判は何人いるのですか。
・同点の場合はどうやって決着をつけるのですか。
・スケート選手になるためには、まず何をすればいいのですか。

 そして最後は付録という感じで、「華麗なるアイスショーの世界」、「フィギュアスケートがもっと楽しくなるDVD&CD」、冬季オリンピック全記録、世界選手権全記録、という具合になります。

 というわけで、これ一冊で基礎的なことは全て分かる便利なハンドブックです。

 お値段はちょっと高めですが、美しい写真が多数収録されているのでまあ納得できます。情報がシングル競技に偏っており、ペアとアイスダンスについてはほとんど解説されてないのが残念。ぜひペアとアイスダンスに焦点を当てた続編を出してほしいと思います。


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