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『ポテチを異常に食べる人たち  ソフトドラッグ化する食品の真実』(幕内秀夫) [読書(教養)]

 どうしてもポテトチップがやめられない。夜中に食べたい衝動で気がくるいそうになる。栄養管理士である著者が見た「スナック菓子依存症」に苦しむ人々の姿を通じて、スナック菓子の危険性に警鐘を鳴らす一冊。単行本(WAVE出版)出版は2010年5月です。

 二袋でも三袋でも一人でむさぼってしまう。一刻も早く食べたくて家に着くまでガマンできず歩きながら袋を開けて食べる。真夜中なのにスナック菓子を飲むようにガーッと口の中に流し込む。ストレス発散のつもりで食べても、結局は食べた後にすごい罪悪感だけが残る。それがまたストレスになる。どうしてもスナック菓子が止められなくて、太るのを避けるために食事を抜いて食べ続ける。

 本書に登場する「スナック菓子依存症」の方々の生々しい証言です。本書を読めば、スナック菓子には依存性の危険がある、ということがよく分かります。その味つけに、人間の本能は抵抗できないのです。

 ただし本書は、スナック菓子を食べると健康を害しますよ、病気になりますよ、死にますよ、太陽が超新星化しますよ、などと読者を脅しつけるようなことはしません。どちらかと言えば、成人のスナック菓子依存には同情的で、たとえ無理に止めさせても他のものに依存するようになるだけ、でなければ心の病気の患者さんを増やしてしまう結果になる、そもそもはストレス社会に根本的な原因があるのだから、という立場です。

 その一方で、子供にむやみとスナック菓子を与えることについては強く否定します。栄養問題よりも先に、スナック菓子の強烈な味が子供の味覚を破壊し、普通の食事の味が分からない、まともな食事がとれない、という習慣をつけてしまう危険性があるためです。

 スナック菓子がやめられなくて苦しんでいる方、スナック菓子をもりもり食べた後にカロリーが気になって食事を抜いたりしている方、幼い子供にスナック菓子をどんどん与えている方など、スナック菓子との付き合い方を再考するきっかけとして、本書の一読をお勧めします。


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