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2018年を振り返る(5)[詩歌] [年頭回顧]

 詩人の川上亜紀さんが亡くなった年でした。詩集『あなたとわたしと無数の人々』が出版され、また遺作となった作品が文芸同人誌『モーアシビ』第34号に掲載されました。ちなみに第35号では追悼特集が組まれました。


2018年06月19日の日記
『あなたとわたしと無数の人々』(川上亜紀)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-06-19

2018年01月24日の日記
『モーアシビ 第34号』(白鳥信也:編集、川上亜紀・小川三郎・他)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-01-24

2018年07月11日の日記
『モーアシビ 第35号』(白鳥信也:編集、川上亜紀・小川三郎・川口晴美・他)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-07-11


 謎めいた物語を感じさせる情景描写、足もとにぽっかり開いた無窮と永遠。想像力を刺激する静かな凄味に衝撃を受けた二冊が、中本道代『接吻』と西元直子『くりかえしあらわれる火』。昨年、最も記憶に残った詩集でした。


2018年10月02日の日記
『接吻』(中本道代)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-10-02

2018年06月25日の日記
『くりかえしあらわれる火』(西元直子)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-06-25


 かつて読みふけった少女漫画の感覚がありありと蘇ってくる中村梨々『青挿し』、他人と同じように生きることのしんどさを描く和田まさ子『軸足をずらす』、怒り祈り憧憬などの感情がしみこんでくるタケイ・リエ『ルーネベリと雪』など、日常生活や身近なものを題材にしながら油断していると途方もないところに連れてゆかれる詩集たち。


2018年05月31日の日記
『青挿し』(中村梨々)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-05-31

2018年10月31日の日記
『軸足をずらす』(和田まさ子)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-10-31

2018年10月10日の日記
『ルーネベリと雪』(タケイ・リエ)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-10-10


 フランス装(アンカット)、ポップアップ、立体展開図など、読者が自ら手を加えることで世界に一冊しか存在しない自分だけの詩集を完成させるという、カニエ・ナハ装幀/制作によるペーパークラフト詩集シリーズにも多大なインパクトがありました。驚異の立体詩集・大崎清夏『目に見えるものはやさしい』、無限にめくれる折り紙詩集・タケイ・リエ『夏の周波数』、そしてクラフト度ひかえめなご本人の詩集『なりたての寡婦』。


2018年05月15日の日記
『目に見えるものはやさしい』(大崎清夏、装幀/制作:カニエ・ナハ)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-05-15

2018年07月17日の日記
『夏の周波数』(タケイ・リエ、装幀/制作:カニエ・ナハ)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-07-17

2018年11月26日の日記
『なりたての寡婦』(カニエ・ナハ)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-11-26


 SF詩である時里二郎『名井島』、紀行詩というべき松岡政則『あるくことば』と暁方ミセイ『紫雲天気、嗅ぎ回る 岩手歩行詩篇』、そして分担作業により多少の偶然性を持って作り出されたTOLTA(河野聡子、他)『この宇宙以外の場所』など、言葉の使い方をあらためて教えてくれるような詩集がお気に入りです。


2018年11月21日の日記
『名井島』(時里二郎)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-11-21

2018年09月03日の日記
『あるくことば』(松岡政則)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-09-03

2018年11月29日の日記
『紫雲天気、嗅ぎ回る 岩手歩行詩篇』(暁方ミセイ)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-11-29

2018年11月20日の日記
『この宇宙以外の場所』(TOLTA 河野聡子、佐次田哲、関口文子、山田亮太)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-11-20


 短歌では、何といっても服部真里子さんの作品に感銘を受けました。『行け広野へと』を読んでびっくり、急いで最新作『遠くの敵や硝子を』を読み、いずれも驚嘆しました。


2018年09月13日の日記
『行け広野へと』(服部真里子)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-09-13

2018年10月24日の日記
『遠くの敵や硝子を』(服部真里子)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-10-24


 世相を反映しているのか、仕事のつらさというか不条理というか、大げさにいうなら労働疎外をテーマとした歌が目についたような気がします。


2018年10月30日の日記
『冒険者たち』(ユキノ進)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-10-30

2018年05月29日の日記
『猫は踏まずに』(本多真弓)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-05-29

2018年10月01日の日記
『ちるとしふと』(千原こはぎ)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-10-01


 理系の研究生活、南の島の暮らし、妄想、黒歴史、BL。短歌の題材がどんどん広がっているのを目の当たりにして感激した年でもありました。


2018年02月20日の日記
『眠れる海』(野口あや子)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-02-20

2018年03月28日の日記
『S坂』(森尻理恵)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-03-28

2018年03月07日の日記
『耳ふたひら』(松村由利子)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-03-07

2018年03月14日の日記
『風のアンダースタディ』(鈴木美紀子)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-03-14

2018年04月04日の日記
『去年マリエンバートで』(林和清)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-04-04

2018年04月24日の日記
『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』(木下龍也、岡野大嗣)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-04-24

2018年06月14日の日記
『水中翼船炎上中』(穂村弘)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-06-14

2018年08月08日の日記
『たどり着けない地平線』(池田行謙)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-08-08

2018年10月03日の日記
『みずからの火』(嵯峨直樹)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-10-03


 短歌アンソロジーとしては、スタンダードな傑作選『短歌タイムカプセル』も良かったのですが、やはり倉阪鬼一郎『怖い短歌』の歪みまくったセレクションに心を動かされました。また、企画を台無しにする勢いで著者の個性が前面に出たライブ感あふれる『短歌と俳句の五十番勝負』も忘れがたい。


2018年02月19日の日記
『短歌タイムカプセル』(東直子、佐藤弓生、千葉聡)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-02-19

2018年12月04日の日記
『怖い短歌』(倉阪鬼一郎)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-12-04

2018年05月30日の日記
『短歌と俳句の五十番勝負』(穂村弘、堀本裕樹)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-05-30


 川柳はあまり読んでないのですが、「言葉を蕩尽する文芸」という言葉に思わず興奮しました。言葉を蕩尽する贅沢。


2018年05月22日の日記
『水牛の余波』(小池正博)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-05-22

2018年08月07日の日記
『スロー・リバー』(川合大祐)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-08-07

2018年12月19日の日記
『hibi』(八上桐子)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-12-19



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