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『組合せ数学』(ロビン・ウィルソン、川辺治之:翻訳) [読書(サイエンス)]

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 この分野は深く多岐にわたって発展し,数学の主流を構成する一部になりつつある.フィールズ賞やアーベル賞のような権威ある数学賞がこの分野への画期的な寄与をした研究者に与えられ,その一方で,国内外のメディアでいくつもの注目に値する組合せ論の進展が取り上げられている.
 近年この分野が重要になってきている理由の一つが,計算機科学の発展と,実世界の実用的な問題を解くためにアルゴリズム的手法の使用が増えていることであるのは間違いない.このことによって,ネットワーク解析,符号理論,確率論,ウイルス学,実験計画法,時間割編成,オペレーションズ・リサーチなど,数学の内外における幅広い分野での組合せ論の適用につながっている.
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単行本p.6


 ある条件を満たす解が存在するか、何通りあるか、どれが最適か。敷き詰め、一筆書き、地図の塗り分け、順列組合せ、経路最適化など、様々な問題を扱う離散数学の分野、組合せ論に関する興味深いトピックを集めた一冊。単行本(岩波書店)出版は2018年12月です。


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 これらの問題は広範囲に及び無関係なようにも見えるかもしれないが,主として,さまざまな種類の対象を選んだり,並べたり,数えたりすることに関係している.とくに,これらの問題はすべて,次のように表現することができる.

 しかじかのものが存在するか.もしそれが存在するなら,どのようにして構成することができるか.また,それは何通りあるか.そして,そのうちのどれが「もっともよい」か.

 組合せ解析,あるいは,組合せ論では,このような問いに関心がある.大雑把には,組合せ論は,ものごとを選んだり,並べたり,構成したり,分類したり,数えたり,列挙したりすることに関する数学の分野といってもよいだろう.
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単行本p.2


 全体は9つの章から構成されており、古典的パズルから現代の未解決問題まで様々な話題が取り上げられます。順列組合せ、並べ方、分割、割り当て方、敷き詰め、巡歴問題、一筆書き、魔方陣、交差しないように線を引く問題、地図の塗り分け、迷路、ハノイの塔、フィボナッチ数、パスカルの三角形、最小全域木問題、巡回セールスマン問題など。


 文章も構成も教科書のようにそっけないのですが、数学的内容そのものに興味がある読者なら、問題なく楽しめると思います。



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