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2018年を振り返る(4)[SF・ミステリ] [年頭回顧]

 SFアンソロジーが次々と出版された年でした。東京創元社からは、恒例の年刊日本SF傑作選『プロジェクト:シャーロック』に加えて、新たに書き下ろし日本SFアンソロジーシリーズ『Genesis』がスタートしました。三年ぶりの『NOVA』復活と並んでめでたいことです。


2018年07月05日の日記
『プロジェクト:シャーロック 年刊日本SF傑作選』(大森望、日下三蔵、上田早夕里、宮内悠介、小田雅久仁、山尾悠子)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-07-05

2018年12月18日の日記
『NOVA 2019年春号』(大森望:編集)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-12-18

2018年12月26日の日記
『Genesis 一万年の午後』(宮内悠介、高山羽根子、宮澤伊織、他)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-12-26


 「百合SF特集」と銘打ったSFマガジン2019年2月号は何と予約殺到で出版前に在庫全滅。発売前重版を二度も繰り返したのは創刊以来初の快挙だそうで、今年は各社競って「百合SFアンソロジー」を出す予感がします。そんなブーム(なのか?)を牽引してきた宮澤伊織さんの人気シリーズ「裏世界ピクニック」も第三巻が出版されました。


2018年12月27日の日記
『SFマガジン2019年2月号 百合特集』(宮澤伊織、他)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-12-27

2018年12月17日の日記
『裏世界ピクニック3 ヤマノケハイ』(宮澤伊織)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-12-17


 テクノロジーの明るい側面に目を向け続ける藤井太洋さんは、今年も技術者の姿をリアルに描いたSFを出してくれました。個人が開発したプログラム、というかアルゴリズムが世界を変えてゆく『ハロー・ワールド』と『おうむの夢と操り人形』です。


2018年11月07日の日記
『ハロー・ワールド』(藤井太洋)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-11-07

2018年11月06日の日記
『おうむの夢と操り人形』(藤井太洋)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-11-06


 SFと純文学の境界にある作品も印象的でした。お気に入りは高山羽根子『オブジェクタム』ですが、倉田タカシ『うなぎばか』のシリアスなんだかふざけてるんだかよくわからない奇妙な味わいも素敵でした。さらに『ディレイ・エフェクト』『超動く家にて』という宮内悠介さんの二冊は、SFとかミステリとか分類してもしょうがない傑作揃い。


2018年11月19日の日記
『オブジェクタム』(高山羽根子)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-11-19

2018年07月26日の日記
『うなぎばか』(倉田タカシ)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-07-26

2018年04月23日の日記
『ディレイ・エフェクト』(宮内悠介)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-04-23

2018年03月08日の日記
『超動く家にて 宮内悠介短編集』(宮内悠介)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-03-08


 海外SFアンソロジーも豊作。とりあえず猫SFアンソロジー『猫は宇宙で丸くなる』がお気に入りですが、話題になったのはもちろんケン・リュウが編集と翻訳を担当した『折りたたみ北京』で、必読の一冊です。なお、映画話題作にからめて企画されたと思しきゲームSFアンソロジー『スタートボタンを押してください』も面白かった。


2018年02月01日の日記
『猫は宇宙で丸くなる 猫SF傑作選』(中村融:編集・翻訳)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-02-01

2018年06月21日の日記
『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』(ケン・リュウ:編集・英訳、中原尚哉・他:翻訳)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-06-21

2018年04月19日の日記
『スタートボタンを押してください ゲームSF傑作選』(桜坂洋、チャールズ・ユウ、アンディ・ウィアー、ケン・リュウ、他)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-04-19


 アダム・ロバーツの『ジャック・グラス伝』は想像を超えるトンデモな一冊で、面白いのだけど、お勧めする最適な方法が分からない。アルフレッド・ベスターの傑作選『イヴのいないアダム』が出たり、J.G.バラード短編全集が全5巻で完結したのも昨年でした。


2018年04月25日の日記
『ジャック・グラス伝 宇宙的殺人者』(アダム・ロバーツ、内田昌之:翻訳)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-04-25

2018年01月29日の日記
『イヴのいないアダム』(アルフレッド・ベスター、中村融:編)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-01-29

2018年01月11日の日記
『J・G・バラード短編全集3 終着の浜辺』(J.G.バラード、柳下毅一郎:監修、浅倉久志他:翻訳)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-01-11

2018年05月17日の日記
『J・G・バラード短編全集4 下り坂カーレースにみたてたジョン・フィッツジェラルド・ケネディ暗殺事件』(J.G.バラード、柳下毅一郎:監修、浅倉久志他:翻訳)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-05-17

2018年08月30日の日記
『J・G・バラード短編全集5 近未来の神話』(J.G.バラード、柳下毅一郎:監修、浅倉久志他:翻訳)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-08-30


 ミステリはあまり読まないのですが、不可能犯罪担当と不可解事件担当の二人の探偵が組んで活躍する青崎有吾『ノッキンオン・ロックドドア』、出版業界を舞台に奇人変人作家たちが引き起こすトラブルを扱う両角長彦『困った作家たち 編集者桜木由子の事件簿』、この二冊の連作短篇集は、いずれも巧みなユーモアで大いに楽しめました。


2018年08月02日の日記
『ノッキンオン・ロックドドア』(青崎有吾)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-08-02

2018年03月12日の日記
『困った作家たち 編集者桜木由子の事件簿』(両角長彦)
https://babahide.blog.so-net.ne.jp/2018-03-12



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