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『第2の秋』(勅使川原三郎、佐東利穂子) [ダンス]

 2013年09月07日(土)は、夫婦で東京芸術劇場プレイハウスに行って、勅使川原三郎さんの新作公演を鑑賞しました。勅使川原三郎さんと佐東利穂子さんが、がっつり踊ってくれる60分の舞台です。

 演出に使われる大道具は垂れ幕一枚。それに映像が投影されます。

 例えば、舞台前方、観客の前に下ろされた半透明の垂れ幕に、東欧の暗い森の情景が投影されます。その向こう側で踊ると、まるで森の奥深くで踊っている妖精か天使(繰り返し投影される「光の輪」がそのイメージを強めます)を見ているような幻想的な雰囲気に。

 また下端が舞台奥に向かって巻き上げられると、垂れ幕は舞台を覆うU字型の天井となり、そこに秋の空が投影される。薄暗い舞台に差し込まれる照明が床に光のスリットを作り、あるいは(またもや)光の輪を作ると、がらんとした舞台が宗教的な空間に変貌を遂げます。

 こうして、垂れ幕、映像、照明、音楽だけで、さえざえと美しい幻想的空間を作り出してしまう演出の冴えは、もうさすがとしか言いようがなく。勅使川原さんの舞台演出を観るたびに、これは魔術だと、そう感じてしまうのです。

 肝心のダンスですが、勅使川原三郎さんと佐東利穂子さんが、基本的に交代で舞台に登場して踊ります。拳法めいた流れるような動き、ぎくしゃくした痙攣のような動き、水中のような浮遊感のある動き、張りつめているような緊張感あふれる動き。様々な身体の動きを自在に組み合わせてゆく独創的なダンスは、こちらもやっぱり魔術めいています。思わず見入ってしまいます。

 公演時間の大半を使ってひたすら踊ってくれたので、大満足です。

[キャスト]

演出・振付: 勅使川原三郎
出演: 勅使川原三郎、佐東利穂子


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