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『だまし絵練習帖 基本の錯視図形からリバースペクティブまで』(竹内龍人) [読書(サイエンス)]

 代表的な錯視図形を取り上げ、その錯視が起きる原理を明らかにし、自分でそれらの錯視図形をデザインできるようにしてくれる一冊。様々な変化により錯視効果がどうなるかを試す練習問題つきで、錯視を応用したイラストの基本が身につく。単行本(誠文堂新光社)出版は2010年2月。

 見方によって二通りの解釈ができる形、描かれてない輪郭線や斑点や旋回する光が「見えて」しまうイラスト、同心円なのに螺旋としか思えない図形、静止画なのにちらちらと動いて見える構図、そして移動しながら見るとこちらを追いかけて動いてくる絵。

 こういった錯視図形を集めた本は沢山あるのですが、その多くが単なるコレクションで終わっていて、原理や錯視が生ずる理屈の解説にまで踏み込んでくれるものは意外に少ないように思います。

 そういった類書と比べた本書の特徴は、錯視の原理、メカニズムをきちんと解説してくれると共に、では円ではなく不規則な形にしても錯視は起きるか、線の太さを変えると錯視効果は強まるか弱まるか、色調の影響は、背景のパターンは錯視効果に関係しているか、といった応用にまで踏み込んでゆくところ。

 それぞれの錯視図形に対して「TRY やってみましょう」という練習問題が付いていて、メカニズムを理解した上で、自分で錯視図形をデザインしてみることが出来ます。

 「ハーマン格子の交差点の角を丸くしてみよう。錯視効果は強まるだろうか? また錯視に色をつけるにはどうすればいいだろうか?」、あるいは「主観的輪郭線を使って以下のパターンを立体的に見せなさい」といった具合です。

 自分で錯視図形を描いてみるというだけでも面白そうなので、錯視図形についてはよく知っている、ネットでいっぱい見たよ、という方も、練習問題に目を通してみて下さい。また直接イラストに応用できそうな技法も多く、イラストレータ志願の方にもお勧めです。


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