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『家電のように解り合えない』(岡田利規、森山開次) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 昨日(2011年09月25日)は、コンテンポラリーダンスの森山開次さんがチェルフィッチュの岡田利規さんと組んで作った新作公演を観るために、夫婦で池袋の「あうるすぽっと」に行ってきました。

 まず、舞台に置かれた金氏徹平さんの作品に圧倒されます。ところせましと並べられているのは、洗濯機、掃除機、テレビ、冷蔵庫など、家電をテーマにしたオブジェの数々。オモチャのような派手な色合い、誇張された奇妙な造形、その巨大さ。観ているだけで楽しめます。

 この雑多な異界家電の巣窟を背景に、役者2名とダンサー1名の奇妙な「ダンスワークショップ」が行われます。森山開次さんの振付・指導のもと懸命に踊り続ける役者たち。役者が踊ってみることで、ダンスと演劇の垣根が取り払われ、互いに解り合えるようになるのではないか、という試みです。たぶん。

 「この(森山開次さんの)ダンスのどこがいいのか、私にはわかりません」

 「彼女たちのダンスは確かにぎこちないけど、それでいいという意見もあるでしょう」

 まあタイトルの通り演劇とダンスは互いに解り合えないわけですが、そういう分かり切った結論を二時間かけていじくり回すというのがいかにもチェルフィッチュの岡田利規さんらしいと思います。

 さて、森山開次さんはかなり長時間(合計すると上演時間の半分くらい?)踊り続けてくれて、コンテンポラリーダンス公演として観にきた客にとっては望外の喜び。

 先日(2011年9月15日)のNHK BS 「エル・ムンド」という番組で森山開次さんが取り上げられたとき、森山さんはスタジオで「電子レンジ」というダンスを踊って見せましたが、あれはこの作品の一部だったようです。あの「電子レンジ」を舞台で観ることが出来て嬉しい。

 ゔぃーん、という音と共にゆっくり回転してゆく森山開次さんを観ていると、かつてNHK教育「からだであそぼ」のレギュラーとして毎週踊っていた「カイジくん」を思い出したり。

 他にも「春の祭典」を踊ったり、ロック音楽に乗ってカッチョよく踊ったり、とにかくがんがん踊ります。踊れば踊るほど「これは違ういきものだから人間とは解り合えない」という雰囲気が高まってゆくのが見事。というか舞台上で踊っている森山開次さんはいつもそうだという気もしますが。

 というわけで、コンテンポラリーダンスというものが「どこがいいのかさっぱりわからない」と思っている方を、「それでいいのだ」と納得させる二時間の公演でした。

[キャスト]

演出: 岡田利規
美術: 金氏徹平
出演: 森山開次、安藤真理、青柳いづみ


タグ:森山開次
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