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『あの大鴉、さえも』(小野寺修二) [ダンス]

 2016年10月15日は、夫婦で東京芸術劇場シアターイーストに行って小野寺修二さんの最新作を鑑賞しました。3名の出演者が踊る80分の公演です。

 『あの大鴉、さえも』は劇作家・竹内銃一郎さんの代表作の一つで、1981年に岸田賞を受賞した名作なのだそうですが、すいません、何の予備知識もなしに観てしまいました。


[キャスト他]

振付・演出: 小野寺修二
原作: 竹内銃一郎
上演台本: ノゾエ征爾
出演: 小林聡美、片桐はいり、藤田桃子


 大きなガラス板を運ぶ三人の男、という設定で最後まで突っ走ります。といっても実際に三人の「男」は存在しませんし、もちろん大ガラスも。てか、タイトルの「大鴉」って、このことだったのか!

 特に明確なストーリーがあるわけではなく、重いガラス板を運ぶ三人がひたすら愚痴をこぼしながら、見つからない届け先を探してさまようという展開。お届け先はたぶんゴドーさんちだろうと観客は予想するわけですが、実はそうではありません。

 「三人の男」を演じるのは小林聡美、片桐はいり、藤田桃子という個性の強い女優さんたち。男言葉でぶつくさ愚痴りながら、「何人かでガラス板を運んでいる、という設定のよくあるパントマイム」に登場する、あの「存在しないガラス板」を運びます。

 何しろパントマイムなので、小野寺修二さんの演出が冴えまくります。非存在のガラスに押されてよろけたり、重すぎて落としそうになって必死にこらえたり、交替で手を離して休憩するうちに誰も支えてないことに気づいたり、片手でひょいひょい扱ったり、パントマイムで観客を笑わせる基本的な演出が次々と。

 大仰な動きが多いフィジカルシアターですが、ダンスシーンは少なめ。とはいえ、いくつかある三人が大真面目な顔でキテレツなダンスを踊るシーンは忘れがたい印象を残してくれます。個人的には、床にチェス盤を投影して、唐突にチェスのルールをフィジカルに解説するシーンがお気に入りです。



タグ:小野寺修二
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