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『検証 陰謀論はどこまで真実か パーセントで判定』(ASIOS、奥菜秀次、水野俊平) [読書(オカルト)]

 ASIOS (Association for Skeptical Investigation of Supernatural : 超常現象の懐疑的調査のための会)が、『謎解き 超常現象』シリーズに続いて世に放つ最新作。今度は陰謀論の謎解きだ! 単行本(文芸社)出版は2011 年1月。

 地球温暖化否定論、ホロコースト否定論、911テロ自作自演説、アポロ月着陸捏造説、ダイアナ妃謀殺説、フリーメイソン陰謀論など、誰もがどこかで聞いたことのある定番。

 ケムトレイル、HAARP地震兵器説、MKウルトラ(CIAマインドコントロール実験)、チャレンジャー号爆破謀略、エシュロン脅威論、M資金など、映画や漫画や小説でネタに使われることが多い人気(?)陰謀論。

 そして、集団ストーカー被害、SARS生物兵器説、孝明天皇暗殺説、下山事件、さらにはロッキード事件謀略からブラジル勝ち組陰謀論まで。

 巷で、ネットで、よく話題にのぼる陰謀論を取り上げて、その真相を探る一冊です。『謎解き 超常現象』と同じく、個々の陰謀論について得意な著者が分担して執筆し、それぞれ「伝説」と「真相」に分けて解説してくれます。今回は、それに加えて「その陰謀論が真実である可能性」をパーセントで表示する、というのが特徴。

 ただし、ほとんどの項目が「0パーセント」という結論になっているし(そりゃ荒唐無稽ですから)、5パーセントと10パーセントの違いが定量的とも思えないし、なかには「0.000.....01パーセント」みたいなヤンチャもあるし、まあ、注目されるための「ウリ」が必要という判断でとってつけたものだと思って、あまりこだわらないほうがいいかも。

 ちなみに最高スコアは「CIAが世界に麻薬を蔓延させている:30パーセント」と「地球的通信傍受システム・エシュロンが私たちの生活を監視している:30パーセント」です。

 さて内容ですが、さすが、というべき面白さ。陰謀論が放つ怪しい魅力と、その正体をひっぺがす痛快さ、その両方を心ゆくまで楽しめます。ページ数が限られているため個々の論証や情報は不足気味ですが、さらに詳しく知りたい読者は各項目につけられた「参考資料」をチェックすればよいでしょう。

 個人的な収穫は、ブラジルの「勝ち組」について初めて知ってびっくりしたこと、「アポロが持ち帰った「月の石」はニセモノ」という某教授の馬鹿馬鹿しい発言について関係者に取材してきちんと調査する姿勢に感銘を受けたこと、そして噂の超兵器「HAARP(ハープ)」の実態について学んだこと、などです。

 巻末ではそれぞれの執筆者が陰謀論について語っています。かなり参考になるので、ぜひお読みください。この部分だけでもネットで公開するといいんじゃないでしょうか。

 陰謀論は、ハマると「陰謀論的思考回路」というべき悪しき習慣がついてしまい、分からないことや気に入らないことは全て陰謀で片づけてしまうとか、さらには意識しないうちに、民族差別主義者、排外主義者、歴史修正主義者、パラノイア、有害なクズ、不快なクズ、単なるクズ、などあまり望ましからぬ人物に育ってしまう恐れがあります。

 ですから陰謀論の流布はよろしくないのですが、かと言って規制するのは危険であるばかりか逆効果でしょう。本書のように陰謀論のウソを暴く本が読まれることで、他の陰謀論に対してもある程度の「免疫」が広まるとよいなあ、と思います。

 余談になりますが、長澤裕さんが

「“楽しい超常現象”の時代は終わってしまったのです。本来はそうした「夢のあるトンデモ」に流れるはずの人たちが、現代では陰謀論に流れ込んできているのではないか? と個人的には思っています。超常現象が“復活”しないかぎり、今後も陰謀論は廃れることはないでしょう」(単行本p.339)

と語っておられるのが印象的でした。そーか、陰謀論を抑えるために必要なのは「超常現象の復活」なんですね。

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タグ:ASIOS
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