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2010年を振り返る(3) [年頭回顧]

2010年を振り返る[SF/ファンタジー]

 2010年に読んだSFやファンタジー小説のうち、印象に残ったものについてまとめてみます。なお、あくまで「2010年に私が読んだ」という意味であって、出版時期とは必ずしも関係ありません。

 まず、昨年はとにかくSFアンソロジーの出版ラッシュでした。私が読んだだけでも十冊を超えており、何だか「月刊SF傑作選」を講読したような一年でした。なかでもお勧めは、次のシリーズです。

海外SF短篇傑作選
『ワイオミング生まれの宇宙飛行士 宇宙開発SF傑作選』(中村融 編)
『ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選』(大森望 編)
『スティーヴ・フィーヴァー ポストヒューマンSF傑作選』(山岸真 編)
『きょうも上天気 SF短編傑作選』(訳:浅倉久志、編:大森望)

国内SF短篇傑作選
『ぼくの、マシン ゼロ年代日本SFベスト集成〈S〉』(大森望 編)
『逃げゆく物語の話 ゼロ年代日本SFベスト集成〈F〉』(大森望 編)
『量子回廊 年刊日本SF傑作選』(大森望、日下三蔵)

 その他、『NOVA 書き下ろし日本SFコレクション』(大森望 責任編集)の2巻と3巻、『原色の想像力 創元SF短編賞アンソロジー』(編集:大森望、日下三蔵、山田正紀)、『日本SF全集2 1972-1977』(日下三蔵 編)が出版され、いずれも読みごたえがありました。昨年の出版ではありませんが、『時の娘 ロマンティック時間SF傑作選』(中村融 編)を読んだのも昨年です。今年もこの波がそれなりに続くことを期待したいと思います。

 さて、昨年活躍した作家というと、個人的には上田早夕里さんが印象に残っています。一昨年に出版された短篇集『魚舟・獣舟』を遅ればせながら読んで大いなる感銘を受け、年末には堂々たる本格海洋SF長篇『華竜の宮』でノックアウトされました。今年も楽しみです。

 その他、長谷敏司さんの『あなたのための物語』、山本弘さんの『去年はいい年になるだろう』が良かったと思います。

 海外作品では、何といってもトマス・M・ディッシュの『歌の翼に』が素晴らしかった。ニューウェーブという印象が強くて何となく敬遠していたディッシュですが、きちんと読んでみようかと思います。

 他には、ジョン・スコルジーの『ゾーイの物語(老人と宇宙4)』の相変わらずの楽しさ、ジョー・ホールドマンの『ヘミングウェイごっこ』がその奇妙な味わいで、それぞれ印象に残っています。

 ファンタジーはほとんど読まない一年でした。春にナオミ・ノヴィクの『テメレア戦記III 黒雲の彼方へ』と、フィリップ・リーヴ『氷上都市の秘宝』を読んで両方とも大いに気に入ったものの、その後は何となく読む機会がなく。そう言えば両シリーズともそろそろ続編が翻訳されてもいい頃ですが、どうなっているんでしょうか。

 というわけで、アンソロジーにかまけていて、意外にSFやファンタジーを読まなかった一年でした。ファンタジーが全滅に近いのは仕方ないとしても、海外翻訳SFが弱いのは問題。そろそろ出版される『SFが読みたい!2011年版』を参考に、せめて世評の高い作品だけでも、きちんと追いかけて読もうと思います。


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