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『Sleeping Water』(勅使川原三郎、佐東利穂子、鰐川枝里、他) [ダンス]

 2017年10月27日は、夫婦でKARAS APPARATUSに行って『Sleeping Water』のニューヨーク公演の記録映像を鑑賞しました。パリ・オペラ座バレエ団引退後、芸術監督に就任したオーレリー・デュポン、東京バレエ団の岡崎隼也、など豪華ゲストを含む七名が踊る60分の作品です。


[キャスト他]

振付・演出: 勅使川原三郎
出演: 勅使川原三郎、佐東利穂子、鰐川枝里、加藤梨花、岡崎隼也、
マリア・キアラ・メツァトリ(Maria Chiara Mezzadri)
スペシャルゲスト: オーレリー・デュポン


・2017年2月、フランスのマルティーグにあるTeatro Salins劇場でヨーロッパ初演。

・2017年7月、ニューヨークのリンカーンセンターフェスティバルの一環としてローズシアターで上演。


 というわけで日本ではまだ上演されていない『Sleeping Water』ですが、KARAS APPARATUSにてニューヨーク公演の記録映像を上映してくれました。

 KARAS APPARATUSのホール、奥の壁をスクリーンとして映像が投影されます。映像に映っている舞台と、いつも勅使川原さんや佐東さんが踊っている舞台が繋がって、まるで実際に奥の方で踊っているような錯覚を起こします。さらに、上映されている画像が舞台の床にぼんやり反射している様子がまるで水面のようで、これらは映画館で上映しても得られない効果でしょう。

 映像はさほど高画質ではありません。素早い腕の動きに画像処理が追いつかず、コマ送りのような残像が出るシーンが散見されます。勅使川原さんの腕の動きときたら、等間隔に並ぶ残像までもが美しい。

 作品としては、2014年8月の『睡眠 -Sleep-』をベースに、2015年9月の『水と祈り(water angel)』を加えた構成になっているようで、そう思うと『Sleeping Water』というのは分かりやすいタイトルです。

 天井から吊られたアクリル製の椅子やテーブル、格子などが静かに降りてくるシーンは印象的。たったこれだけの仕掛けで、舞台は水中になったり、水面になったり、氷の結晶に閉じ込められたり。

 勅使川原さんや佐東さんのダンスが凄いのは当然ながら、オーレリー・デュポンも巧みに溶け込んで違和感なく踊ってみせるのはさすが。『睡眠 -Sleep-』日本初演のときより余裕のようなものを感じました。

 個人的には、鰐川枝里さんが頑張って踊っているのが嬉しい。勅使川原さんが、佐東さんが、あるいはデュポンが、隣で踊っていても、切実な自分のダンスをひたすら懸命に踊り続ける姿に感動します。


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