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『PAP PA-LA PARK ぱっぱらぱーく』(かえるP) [ダンス]

 2020年12月5日は、夫婦で吉祥寺シアターに行ってかえるP(大園康司、橋本規靖)の公園/公演を鑑賞しました。

 劇場の1F座席を全部とっぱずして、床に色々と描いたり、滑り台や謎の木を置いたりして、そこに「公園」を作り出すというちからわざ。観客は自由に歩き回って好きなように楽しむ、だって公園だもの、というコンセプトです。

 ぱっぱら公園が開放されている時間は2時間。そのうち45分がかえるPによるダンス公演です。公園でいきなりパフォーマンス始める変なおっさん二人組、という感じですか。

 ベンチに腰掛けてスナック菓子をぽりぽり喰う人。競歩の訓練がんばる人。太極拳の型を練習する人。取っ組み合いの喧嘩をする子供たち。公園で見かける風景あるある、が展開します。

 せっかく真剣な顔つきで太極拳の演舞を練習していた二人が、かえるP名物とっくみあい喧嘩を始めるわけですが、ぜんぜん太極拳のスタイルを使わず、ばたばたガキノケンカをやるのが妙に可笑しい。

 公園ということで親子連れの姿が目立ち、終始ほのぼのとした雰囲気でした。でも親の多くはダンサーさんなんですよね。





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『UFO手帖5.0』(Spファイル友の会)2020年12月4日更新 [その他]

この記事は更新されました。以下を参照してください。

『UFO手帖5.0』(Spファイル友の会)2020年12月25日更新
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2020-12-25




タグ:同人誌
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『SFマガジン2020年12月号 中国SF特集― 科幻世界×SFマガジン』 [読書(SF)]

 隔月刊SFマガジン2020年12月号は、中国の〈科幻世界〉と、日本の〈SFマガジン〉という、両国を代表するSF雑誌のコラボレーション企画でした。


『生存実験』(王晋康、大久保洋子:翻訳)
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 わたしたちはみな、「外」に行くのが怖かった。考えるのもいやだった。でも、五歳になってから、誕生日以外は、毎日外に行かなければならなかった。まずは一分間、それから二分、三分……今は十五分に増えている。たった十五分だけど、それは百年にも千年にも感じられた。いつも、今度出ていったらもうもどってこられないような気がした――三人の子はほんとうにもどってこなかった。
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SFマガジン2020年12月号p.20

 どことも知れぬ森のなかにある「天堂」、巨大環境ドーム。その中で「ママ」と呼ばれるロボットに育てられている子供たち。毎日、外に出て生き延びる試練を受け、脱落した子供は死んでゆく……。昔懐かしいジュヴナイルSFのような作品。


『地下室の富豪』(査杉、及川茜:翻訳)
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 もちろん、成功には代償がつきものだ。だがこの新進の地下室の富豪にとっては、そんな代償は大きいものではなかった。感じ取れるのは、大気中の酸素が窒素より増えたくらいで、ときどき酸素酔いを感じることがあるくらいだった。それから重力定数が9.8から8.9になり、腕立て伏せがしやすくなった。マダガスカルの消失や火星にリングがひとつ増えたような些細なことは、はるか彼方の話で、目にも見えなければ触ることもできないのだし、誰が気にするものか……
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SFマガジン2020年12月号p.52

 破産して地下室に住むしかなくなったハッカーが、ネットのクイズ企画で一儲けをたくらむ。「世界最大のインターネット企業」が提供する検索エンジンとAIにより、クイズも回答もネット情報から自動生成されている。それなら、検索汚染テクニックを使って偽情報を「正解」にしてしまうことが出来るはずだ。だがネット情報のハッキングに合わせて現実の方がどんどん修正されてしまう……。「ネット上の真実」が現実より優先されてしまうご時世を皮肉ったショートショート。


『我らの科幻世界』(宝樹、阿井幸作:翻訳)
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 子どもの頃は、父親が作家だって知ってとても誇らしく思ったものだけど、しばらくして父が作家としても有名でもなければ作品も面白くないし、しかも書いてる内容は全然意味不明で、原稿料すらもらってないことを知ったの! 本屋を開いても儲からないし、売ってる本は誰も読まないものばかりで、特に〈科幻世界〉とかいう雑誌には宇宙船だの宇宙人だのタイムスリップだの幼稚な小説しか載ってないでしょ! あなたも父もそうだけど、どうしてこんなものにハマれるのか全然分かんない……。
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SFマガジン2020年12月号p.79

 あんまり売れてないSF作家が郷里に戻って、懐かしい書店があった場所に立ち寄る。中学生の頃そこでSFに出会い、SF専門誌〈科幻世界〉を欠かさず読み、やがてSF作家になった。いわばここが心の故郷。だが書店はすでにない。やがて書店主の娘と再会した作家は、意外な秘密を知らされる。SF作家大好き内輪ネタ満載の「世間では馬鹿にされてるけどSFって凄いよね、だよねだよね」テーマの作品。中学生のとき偏屈な店主のいる近所の小さな書店でSFマガジンをどきどきしながら立ち読みしていた私にとっては、なにこれまったく同じやん、という衝撃。


『人生』(劉慈欣、泊功:翻訳)
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胎児 ここはほんとに素敵なところだね。ぼく、ずっとここにいたい。
母親 そんなことできるわけないでしょう。赤ちゃん、ママはこれからあなたを産むのよ!
胎児 生まれたくないよ! 生まれたくないよ! 生まれたくないよ! そとが怖いんだ!
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SFマガジン2020年12月号p.111

 母親の記憶を遺伝的に受け継ぐ子どもを作る実験。だがそこには思わぬ副作用があった。母親と胎児の会話という異様なシチュエーション、最初から最後まで会話だけで書かれた短篇。





タグ:SFマガジン
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『あるときはぶかぶかの靴を、あるときは窮屈な靴をはけ(2)』(河野聡子) [読書(教養)]

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 私が「面白い」と思うだろう本を木原先生が先回りして翻訳してくれているのではないかと考えてしまうほど、木原先生が翻訳した本は私の好みなのです。そのため私は新聞書評に取り上げる本を選ぶ時、意識せず木原先生の翻訳になる小説を頻繁に候補にあげる傾向があり、2019年から2020年にかけては3冊も取り上げてしまいました。外国文学との出会い方にもいろいろあると思いますが、自分の好みにあう翻訳者をみつけるととても幸福になれますので、これぞと思う翻訳者に出会いましたら、その名前で検索をかけて読んでいく、というのはぜひおすすめしたいと思います。
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コラム〔翻訳者で選ぶ本〕より


 西日本新聞に寄稿された書評から外国文学を中心に再録した『あるときはぶかぶかの靴を、あるときは窮屈な靴をはけ』の第二弾。通販サイト、および前作の紹介は次のとおりです。


あるときはぶかぶかの靴を、あるときは窮屈な靴をはけ(2)
https://tolta.stores.jp/items/5f9a626b8a457205f8668246


2018年11月27日の日記
『あるときはぶかぶかの靴を、あるときは窮屈な靴をはけ』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2018-11-27


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 家にいながらにして、ときに思いもよらない奇跡的な出会いがあるのもまた読書という行為です。2020年は多くの人が「家にいる」ことになった年ですが、書物による旅はおわることがなく、これからも続いていくでしょう。
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「まえがき」より



ウィリアム・ギャディス『JR』
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 特異な文体で書かれた二十世紀の奇書がついに翻訳された。あらかじめ断っておかなければならない。本書はものすごく読みにくい小説である。下手や難解というわけではなく読みにくいのだ。にもかかわらずものすごく面白い、つまり異常な小説である。
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「二十世紀の偉業、もっとも異常な小説から」より


デイヴィッド・マークソン『ウィトゲンシュタインの愛人』
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 本書では主人公がおかれた絶対的な孤独のなかで、意識がさまようままに言葉が紡がれる。一文ごとに改行された文章は平易だが、たまに「二階の存在しない家の二階にあるトイレは何階にあるのかという疑問」といったフレーズがあらわれ、立ち止まってその意味を考えこんでしまう。
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「世界で最後のひとりになって」より


ヴィンス・ヴォーター『コピーボーイ』
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 丁寧な翻訳もあいまって、ひとつひとつの言葉をじっくり読みたいという気分にさせられる。映画やドラマを見るように、小説を読むことで未知の時代と場所の風景を知る経験を、海外文学に不慣れな人にもぜひ味わってほしい、そういいたくなる一冊である。
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「感情を育てる経験について」より





タグ:河野聡子
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