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『あるときはぶかぶかの靴を、あるときは窮屈な靴をはけ(2)』(河野聡子) [読書(教養)]

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 私が「面白い」と思うだろう本を木原先生が先回りして翻訳してくれているのではないかと考えてしまうほど、木原先生が翻訳した本は私の好みなのです。そのため私は新聞書評に取り上げる本を選ぶ時、意識せず木原先生の翻訳になる小説を頻繁に候補にあげる傾向があり、2019年から2020年にかけては3冊も取り上げてしまいました。外国文学との出会い方にもいろいろあると思いますが、自分の好みにあう翻訳者をみつけるととても幸福になれますので、これぞと思う翻訳者に出会いましたら、その名前で検索をかけて読んでいく、というのはぜひおすすめしたいと思います。
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コラム〔翻訳者で選ぶ本〕より


 西日本新聞に寄稿された書評から外国文学を中心に再録した『あるときはぶかぶかの靴を、あるときは窮屈な靴をはけ』の第二弾。通販サイト、および前作の紹介は次のとおりです。


あるときはぶかぶかの靴を、あるときは窮屈な靴をはけ(2)
https://tolta.stores.jp/items/5f9a626b8a457205f8668246


2018年11月27日の日記
『あるときはぶかぶかの靴を、あるときは窮屈な靴をはけ』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2018-11-27


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 家にいながらにして、ときに思いもよらない奇跡的な出会いがあるのもまた読書という行為です。2020年は多くの人が「家にいる」ことになった年ですが、書物による旅はおわることがなく、これからも続いていくでしょう。
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「まえがき」より



ウィリアム・ギャディス『JR』
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 特異な文体で書かれた二十世紀の奇書がついに翻訳された。あらかじめ断っておかなければならない。本書はものすごく読みにくい小説である。下手や難解というわけではなく読みにくいのだ。にもかかわらずものすごく面白い、つまり異常な小説である。
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「二十世紀の偉業、もっとも異常な小説から」より


デイヴィッド・マークソン『ウィトゲンシュタインの愛人』
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 本書では主人公がおかれた絶対的な孤独のなかで、意識がさまようままに言葉が紡がれる。一文ごとに改行された文章は平易だが、たまに「二階の存在しない家の二階にあるトイレは何階にあるのかという疑問」といったフレーズがあらわれ、立ち止まってその意味を考えこんでしまう。
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「世界で最後のひとりになって」より


ヴィンス・ヴォーター『コピーボーイ』
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 丁寧な翻訳もあいまって、ひとつひとつの言葉をじっくり読みたいという気分にさせられる。映画やドラマを見るように、小説を読むことで未知の時代と場所の風景を知る経験を、海外文学に不慣れな人にもぜひ味わってほしい、そういいたくなる一冊である。
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「感情を育てる経験について」より





タグ:河野聡子
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