『ガラス細工の至宝』(笙野頼子)(『私にとっての憲法』(岩波書店編集部:編)収録) [読書(随筆)]
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ネオリベラリズムの、自由貿易推進を建前にして、国家主権を侵す人喰い条約。憲法は民草を人間と見做すけれど、人喰いは資材、数字、搾取の対象としか思っていない。まさに根本的な対立である。そして憲法は、暴力団のようなIMFと使い走りのような日本の裁判官(中村みのり)から、笑って蹴り殺せるレベルにされてしまうだろう。それでも、このひどい国で生きる者のお守り本尊、国宝と言える。それは多数決が正義で人柱頼みの人喰い国家日本において、家庭や社会さえ守ってくれない人間を守る、最後の命綱だ。
(中略)
憲法が理想に過ぎないなどと言ってはならない。本質論よりも、理想を守りにして、すべて今あるものを少しでも守るのだ。
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単行本p.135、136
シリーズ“笙野頼子を読む!”第111回。
家庭や社会さえ守ってくれない人間を守る、最後の命綱。それが人喰い条約によって喰われようとしている。『私にとっての憲法』(岩波書店編集部:編)に収録された危機感ほとばしる4ページの訴え。単行本(岩波書店)出版は2017年4月です。
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TPP交渉差止・違憲訴訟の会に入っている。この一月、七回目の口頭弁論が終結した。審議は、まったく尽くされていない。裁判官も急に変わっている。国はリセットのつもりでしたのだろう? このような、……。
悪魔の、地獄の、国民奴隷化の植民人喰い条約、それを批准してしまった場合に起きる憲法上の問題点、むろん、そこを、会は糺しているのである。
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単行本p.134
憲法をテーマに、学者、俳優、芸術家、作家、経済人など53人が書いた文章を集めた一冊、『私にとっての憲法』(岩波書店編集部:編)。多くの論者が、現実味を帯びてきた憲法改正について論ずるなか、『ひょうすべの国』の著者である笙野頼子さんは、TPPおよびその類の条約による「事実上の憲法停止」の危機について警鐘を鳴らします。
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憲法、それはTPPによって、或いはまた今後いくらでも襲ってくるいくつもの人喰い条約によって、底を抜かれる桶のようなものに「過ぎない」のだ。いくらたがを嵌めても、水を汲めなくなる。
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単行本p.135
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世界銀行に突っ込んでいるお金だけは世界第二位、女性の地位にかんしては百十何位? そういう国において、内閣は今から民のお金を、否、お金ばかりか、人権、福祉、雇用条件、家族、児童、つまりは憲法の人間性を丸ごと喰っていく。放置すれば日本の支配者は多国籍企業の、「無名」の「会社員」がつとめる事になる。
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単行本p.137
改憲に前のめりになっている政府も恐ろしいのですが、むしろ改憲論議に気を取られている間に、国際条約による「事実上の憲法停止」の準備が着々と進められていることの方がずっと恐ろしい。
「TPPって流れたんじゃなかったっけ?」、「なんで貿易条約が憲法と関係するの?」、「そもそもどうしてこんなに危機感を持ってるの?」などと思った方は、ぜひ笙野頼子さんの小説『ひょうすべの国』をお読みください。紹介はこちら。
2016年11月29日の日記
『植民人喰い条約 ひょうすべの国』
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-11-29
ネオリベラリズムの、自由貿易推進を建前にして、国家主権を侵す人喰い条約。憲法は民草を人間と見做すけれど、人喰いは資材、数字、搾取の対象としか思っていない。まさに根本的な対立である。そして憲法は、暴力団のようなIMFと使い走りのような日本の裁判官(中村みのり)から、笑って蹴り殺せるレベルにされてしまうだろう。それでも、このひどい国で生きる者のお守り本尊、国宝と言える。それは多数決が正義で人柱頼みの人喰い国家日本において、家庭や社会さえ守ってくれない人間を守る、最後の命綱だ。
(中略)
憲法が理想に過ぎないなどと言ってはならない。本質論よりも、理想を守りにして、すべて今あるものを少しでも守るのだ。
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単行本p.135、136
シリーズ“笙野頼子を読む!”第111回。
家庭や社会さえ守ってくれない人間を守る、最後の命綱。それが人喰い条約によって喰われようとしている。『私にとっての憲法』(岩波書店編集部:編)に収録された危機感ほとばしる4ページの訴え。単行本(岩波書店)出版は2017年4月です。
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TPP交渉差止・違憲訴訟の会に入っている。この一月、七回目の口頭弁論が終結した。審議は、まったく尽くされていない。裁判官も急に変わっている。国はリセットのつもりでしたのだろう? このような、……。
悪魔の、地獄の、国民奴隷化の植民人喰い条約、それを批准してしまった場合に起きる憲法上の問題点、むろん、そこを、会は糺しているのである。
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単行本p.134
憲法をテーマに、学者、俳優、芸術家、作家、経済人など53人が書いた文章を集めた一冊、『私にとっての憲法』(岩波書店編集部:編)。多くの論者が、現実味を帯びてきた憲法改正について論ずるなか、『ひょうすべの国』の著者である笙野頼子さんは、TPPおよびその類の条約による「事実上の憲法停止」の危機について警鐘を鳴らします。
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憲法、それはTPPによって、或いはまた今後いくらでも襲ってくるいくつもの人喰い条約によって、底を抜かれる桶のようなものに「過ぎない」のだ。いくらたがを嵌めても、水を汲めなくなる。
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単行本p.135
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世界銀行に突っ込んでいるお金だけは世界第二位、女性の地位にかんしては百十何位? そういう国において、内閣は今から民のお金を、否、お金ばかりか、人権、福祉、雇用条件、家族、児童、つまりは憲法の人間性を丸ごと喰っていく。放置すれば日本の支配者は多国籍企業の、「無名」の「会社員」がつとめる事になる。
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単行本p.137
改憲に前のめりになっている政府も恐ろしいのですが、むしろ改憲論議に気を取られている間に、国際条約による「事実上の憲法停止」の準備が着々と進められていることの方がずっと恐ろしい。
「TPPって流れたんじゃなかったっけ?」、「なんで貿易条約が憲法と関係するの?」、「そもそもどうしてこんなに危機感を持ってるの?」などと思った方は、ぜひ笙野頼子さんの小説『ひょうすべの国』をお読みください。紹介はこちら。
2016年11月29日の日記
『植民人喰い条約 ひょうすべの国』
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2016-11-29
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