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『東京防災』(東京都総務局総合防災部防災管理課) [読書(教養)]

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東京が一瞬にして姿を変えるその瞬間、あなたはどうする?
今想像しよう。今正しい知識を得よう。今備蓄しよう。今家族や近所の人たちと話そう。
一つひとつの小さな備えが、あなたを守る盾になる。人は、災害と戦える。
今やろう。災害から身を守る全てを。
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 東京都の各世帯に無料配布された、今すぐできる具体的な防災アクションを集約した防災手引き。配布は2015年9月です。

 黄色に黒で「東京防災」と書かれた、目立つ防災手引きです。薄い冊子ではなく、300ページを超える分厚さ。イメージとしてはハンディサイズの電話帳です。ちなみに表紙を始めとして頻出しているキャラクターの名前は、防サイくん。好きなアクションは「机の下に隠れる」、口ぐせは「今やろう」、だそうです。

 全体は大きく5つの章から構成されています。


01 大震災シミュレーション
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東日本大震災では19,225人(2015年3月1日現在・総務省消防庁)、阪神・淡路大地震では6,434人(2006年5月19日確定報・総務省消防庁)が亡くなり、多くの方々が「死」と向き合いました。首都直下地震が発生した場合には、約11,000人の死者、約210,000人もの負傷者が出ることが想定されています。
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単行本p.68

 30年以内に70パーセントの確率で発生すると予測されている首都直下地震。そのとき、どう行動すればいいのか。自宅、オフィス、繁華街、学校、電車内、車で移動中、百貨店、劇場、地下街、空港など、状況ごとの行動指針を示し、そしてその後の避難所生活における留意点をまとめます。


02 今やろう 防災アクション
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阪神・淡路大地震の死者の約8割が建物倒壊による圧死です。今から30年以上前の1981年5月31日の建築基準法施行令改正以前に建築された建物は大地震への安全性が低いと言われています。
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単行本p.106

 日常備蓄、非常用持ち出し袋、家具の転送落下防止、防震防火、防災ネットワーク、安否確認と情報収集用のための情報元確認など、普段から対策しておくべき事柄をまとめます。


03 そのほかの災害と対策
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核爆発には、遮蔽物の陰に身を隠し、地下施設や頑丈な建物の中へ避難しましょう。また、ダーティボムと呼ばれる爆弾は、着弾後に放射能汚染を引き起こすので、行政機関の指示などに従い医師の診断を受けましょう。
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単行本p.167

 本書のメインテーマは首都直下地震ですが、その他の災害として、暴風、豪雨、土砂災害、落雷、竜巻、大雪、噴火、感染症流行、さらにはテロや武力攻撃まで、幅広く災害を取り上げて、とっさのときの行動指針をまとめます。


04 もしもマニュアル
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床にブルーシートを敷き、段ボールと発泡スチロールを重ねます。断熱効果とクッション性のあるベッドができ、床からの冷えを防ぐことができます。上掛けには、新聞紙を利用します。(中略)ボールと一緒に保管されている空気入れをボールの穴に差し込みます。好みの高さになるまで、ボールから空気を抜いて、枕として利用します。
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単行本p.214、215

 応急手当、消火、体調管理など、様々なノウハウをまとめます。水道水の保存法、断水時のトイレ、おむつやナプキンや食器の作り方、ロープの結び方など、サバイバルマニュアルとして活用できる情報が集められています。


05 知っておきたい災害知識
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被災した年の所得金額が1,000万円以下で、住宅や家財の損失額が時価の50%以上の場合には、所得税の減免を受けられます。ただし、所得税の雑損控除を受けない場合に限ります。
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単行本p.267

 災害や気象に関する基礎知識、生活再建支援制度などの法律まわりの知識、応急処置など医療知識、緊急連絡先、災害危険度マップ、非常時のための英会話、など様々な情報をまとめます。また、居住エリアごとに専用の防災マップが付属。


 おまけとして、かわぐちかいじ氏によるコミック14P、様々な(世帯別、場所別、用語解説など)インデックス、メモ用紙など。最後に「実際の災害時には、必ずしも本冊子記載の通りになるとは限りません」(単行本p.323)などと、おそらく炎上対策のお断りもたくさん書かれていて、本書自体の「防災」もばっちり。

 というわけで、防災に必要な情報をまとめた非常に便利な冊子です。人によって防災知識に大きな差があったり、特に年齢によって常識がまちまちだったりするので、地域で防災について話し合うときなど共通認識を持つ上で役立ちそうです。「今やろう」の掛け声に合わせて、日常備蓄や家具の転倒落下防止など、すぐ出来ることから始めたいと思います。

 なお、本書の内容は以下のページで公開されています。掲載されている防災知識の多くは東京都民に限らず一般的に役立つものなので、冊子を手に入れることが出来ない方はこちらでご確認ください。

  東京防災(東京都防災ホームページ)
  http://www.bousai.metro.tokyo.jp/book/


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