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『山の不可思議事件簿』(上村信太郎) [読書(オカルト)]

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いつの頃からか、山での不思議な出来事や事件に次第に強く興味を抱くようになり、それらに関する文献や新聞記事を調べるようになりました。それらを一冊にまとめたのが本書です。
 本書は、1991年に大陸書房から刊行した『山のふしぎと謎』をベースに加筆修正し、「死を呼ぶ山ミニヤ・コンカ」「ウペペサンケ山の怪異」「雪男を近くで観察したポーランド陸軍中尉」を今回あらたに書き加えました。
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Kindle版No.1743

 山で起きた不思議な出来事や謎の数々を集めた一冊。単行本(山と渓谷社)出版は2015年9月、Kindle版配信は2015年10月です。


 山と渓谷社から出版された山岳怪異集といえば、何と言っても『山怪 山人が語る不思議な話』(田中康弘)がお勧め。ちなみに紹介はこちらです。

  2015年06月15日の日記
  『山怪 山人が語る不思議な話』(田中康弘)
  http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2015-06-15


 『山怪』が著者による聞き取り調査の結果をまとめたものであるのに対して、本書は新聞や雑誌の記事から、山に関連した不思議な話題を集めたもの。四半世紀前に大陸書房から出版されたものの増補改訂版なので、当然ながら取り上げられているネタは古い、というか定番、というか懐かしい系のものばかり。

 懐かしいといえば、昨今のオカルト本や実話怪談本にはない、ある種のおおらかさ、大陸書房らしさ、そういうものが横溢していて、個人的には、そこにぐっときます。

 全体は4つの章から構成されています。


「第一章 奇妙な現象」
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1984年(昭和59)秋、驚くべきニュースが流された。なんと、エベレストの頂上に何者かの足跡が残されているのが発見されたのだ。チベット側からチョモランマ(エベレストのチベット名)に挑戦していたオーストラリアの登山隊(隊長ジョフ・バトラム)のティム・マッカートニー・スネイプ隊員とグレッグ・モーティマー隊員の2人が10月3日、頂上に立ったとき、そこに真新しい何者かの足跡を発見した。はじめは反対側のネパールから登った他の登山隊の足跡かと思ったが、このシーズンの登頂者は自分たちが最初だった
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Kindle版No.265

 ブロッケンの妖怪、セントエルモの火、「天狗倒し」の怪音、恐怖のリングワンデルング現象、富士山にまつわる様々な謎、山の頂上を目指す動物たちの不思議など、基礎教養的な不思議が紹介されます。さらに、いつの間にか移動した山小屋、大雪山に残された「SOS」という文字の謎、マロリーとアービンはエベレスト山頂に到達したのか問題、そして「奇跡の生還」実話の数々など。


「第二章 恐怖と神秘」
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インド測量局によって世界最高峰が発見されたのは1852年(嘉永5)。その後ずっと標高8848メートルのエベレストが世界最高峰とされてきた(中略)
 第二次大戦中、アメリカ軍の飛行機がインドから中国へ軍事物資を輸送中、アムネマチン付近を9000メートルの高度で飛行中、雲の上に突如、雪の山が現われてあやうく接触しそうになった。その山は飛行機よりも遥かに高かったので、高度計の故障かと調べてみたが、計器は正常だった。
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Kindle版No.962、971

 世界各地の名高い「魔の山」、アララト山と箱舟伝説、ナイル川の源流など、神秘的な伝説に包まれた山々が紹介されます。


「第三章 伝説と怪談」
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 日本列島には、全国各地に埋蔵金の伝承・伝説がある。黄金の国ジパングにふさわしく、北は北海道から南は沖縄まで100ヵ所も知られている。未発見の財宝は、時価1000兆円に達するとみられ、私財を投げ打って黙々と発掘している人たちもいる。
(中略)
 財宝の多くはほとんど見つかっていないにもかかわらず、人々を魅了してやまない。このようにたくさんの埋蔵金伝承・伝説が存在すること自体がおおいなる謎でもある。
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Kindle版No.1125

 山にまつわる伝説や伝承が紹介されます。猫又、ヒダル神、著名な埋蔵金伝説、そして山小屋を舞台とした怪談。


「第四章 謎の生きもの」
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 巳年の1989年(平成1)、ツチノコが頻繁に目撃されている広島県の上下町、奈良県の下北山村、岐阜県の東白川村の3ヵ村で、それぞれ賞金をかけたツチノコ捜しのイベントが開かれた。
(中略)
村長も出席しての前夜祭は公民館で催され、ツチノコ捜しの当日は、村のヘビ捕り名人のあとをゾロゾロとつづき、ヤブのなかをガサガサと約2時間捜しまわったが、ツチノコはやっぱり見つからなかった。
 ツチノコ捕獲作戦のあとは各種イベントが行なわれ、最後にツチノコ踊りとジャズの新曲「ツチノコ・コロコロ」が披露された。イベントに集まったマスコミは、テレビ局を含めて30社におよび、小学校の中庭の売店では様々なみやげ品が販売されていた。
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Kindle版No.1368、

 山で目撃される謎の生き物、いわゆるUMAが紹介されます。ヒマラヤの雪男、中国の野人、ギアナ高地の怪鳥、ニホンオオカミの目撃、カッパの正体、そしてむろんツチノコ。


 というわけで、懐かしい話題が続々と登場して、ちょっと頭が昔に戻ってしまいそうになります。大陸書房の謎本が大好きだった方々にお勧めします。



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