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『Down Beat 19号』(柴田千晶、小川三郎、他) [読書(小説・詩)]

 詩誌『Down Beat』の19号を紹介いたします。


[Down Beat 19号 目次]
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『ドナルド』(今鹿仙)
『冬』『蝶』『夕方』(小川三郎)
『ぼくたちの言語』『ぼくたちの場所』(金井雄二)
『玩具の駅 scene18』(柴田千晶)
『四年一組』(谷口鳥子)
『曳舟書房』(廿楽順治)
『結論を急ごう』『買い物』(徳広康代)
『そっと』(中島悦子)
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夕方は
ぜんぶが黒く
塗りつぶされる。

昨日は
繰り返されることなく
昨日はただ
降り積もっていく。
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『夕方』(小川三郎)より




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見たことも
聞いたこともない
函館
もう地名ではなくなった
京都
本当の恐怖は
枚方
にあり
もしくは誰にもわからない季節に飲み込まれている
恵那に挟まれ津和野に流され
いつしか熊本が自分の肌にならなければならない
手をのばせば
いつでも食べることのできる血のかたまりがある
まず最初に亘理で妹を殺し
次に仙台で妻を殺す
――――
『ぼくたちの場所』(金井雄二)より




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咳咳咳 咳 咳
ご主人は後からきてくださいね 帰りは送れませんから
咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳

耳を澄ませていた私達は 一睡もできず待った
明け方 車の音がして家族が帰ってきた
咳 咳 咳 咳 咳咳咳
咳咳咳 咳 咳
つけっぱなしの玄関の明かりが消えた時
やっと寝た

耳の奥で 咳は聞こえ続けた
息をするひまもないほどの咳

次の日は、晴れ 暑い青空
うしろの家の窓という窓は開け放たれ
私達は隣接するトイレの換気扇をビニールで覆った
そっと 悪いことでもするように
本当に そっと
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『そっと』(中島悦子)より





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