『Down Beat 19号』(柴田千晶、小川三郎、他) [読書(小説・詩)]
詩誌『Down Beat』の19号を紹介いたします。
[Down Beat 19号 目次]
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『ドナルド』(今鹿仙)
『冬』『蝶』『夕方』(小川三郎)
『ぼくたちの言語』『ぼくたちの場所』(金井雄二)
『玩具の駅 scene18』(柴田千晶)
『四年一組』(谷口鳥子)
『曳舟書房』(廿楽順治)
『結論を急ごう』『買い物』(徳広康代)
『そっと』(中島悦子)
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詩誌Down Beat
https://www.facebook.com/DBPoets
――――
夕方は
ぜんぶが黒く
塗りつぶされる。
昨日は
繰り返されることなく
昨日はただ
降り積もっていく。
――――
『夕方』(小川三郎)より
――――
見たことも
聞いたこともない
函館
もう地名ではなくなった
京都
本当の恐怖は
枚方
にあり
もしくは誰にもわからない季節に飲み込まれている
恵那に挟まれ津和野に流され
いつしか熊本が自分の肌にならなければならない
手をのばせば
いつでも食べることのできる血のかたまりがある
まず最初に亘理で妹を殺し
次に仙台で妻を殺す
――――
『ぼくたちの場所』(金井雄二)より
――――
咳咳咳 咳 咳
ご主人は後からきてくださいね 帰りは送れませんから
咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳
耳を澄ませていた私達は 一睡もできず待った
明け方 車の音がして家族が帰ってきた
咳 咳 咳 咳 咳咳咳
咳咳咳 咳 咳
つけっぱなしの玄関の明かりが消えた時
やっと寝た
耳の奥で 咳は聞こえ続けた
息をするひまもないほどの咳
次の日は、晴れ 暑い青空
うしろの家の窓という窓は開け放たれ
私達は隣接するトイレの換気扇をビニールで覆った
そっと 悪いことでもするように
本当に そっと
――――
『そっと』(中島悦子)より
[Down Beat 19号 目次]
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『ドナルド』(今鹿仙)
『冬』『蝶』『夕方』(小川三郎)
『ぼくたちの言語』『ぼくたちの場所』(金井雄二)
『玩具の駅 scene18』(柴田千晶)
『四年一組』(谷口鳥子)
『曳舟書房』(廿楽順治)
『結論を急ごう』『買い物』(徳広康代)
『そっと』(中島悦子)
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夕方は
ぜんぶが黒く
塗りつぶされる。
昨日は
繰り返されることなく
昨日はただ
降り積もっていく。
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『夕方』(小川三郎)より
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見たことも
聞いたこともない
函館
もう地名ではなくなった
京都
本当の恐怖は
枚方
にあり
もしくは誰にもわからない季節に飲み込まれている
恵那に挟まれ津和野に流され
いつしか熊本が自分の肌にならなければならない
手をのばせば
いつでも食べることのできる血のかたまりがある
まず最初に亘理で妹を殺し
次に仙台で妻を殺す
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『ぼくたちの場所』(金井雄二)より
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咳咳咳 咳 咳
ご主人は後からきてくださいね 帰りは送れませんから
咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳 咳
耳を澄ませていた私達は 一睡もできず待った
明け方 車の音がして家族が帰ってきた
咳 咳 咳 咳 咳咳咳
咳咳咳 咳 咳
つけっぱなしの玄関の明かりが消えた時
やっと寝た
耳の奥で 咳は聞こえ続けた
息をするひまもないほどの咳
次の日は、晴れ 暑い青空
うしろの家の窓という窓は開け放たれ
私達は隣接するトイレの換気扇をビニールで覆った
そっと 悪いことでもするように
本当に そっと
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『そっと』(中島悦子)より
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