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『Red Bull Flying Bach』(ヴァータン・ベイジル振付、Flying Steps、川口ゆい) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 2012年11月09日(金)は、夫婦で渋谷Bunkamuraオーチャードホールに行って、ブレイクダンスとコンテンポラリーダンスの融合が大きな話題となっているフライングステップスの公演を鑑賞しました。

 ピアノとチェンバロによるヨハン・セバスティアン・バッハの楽曲(平均律クラヴィーア曲集、他)生演奏に乗って、総勢七名のチームによるブレイクダンスの超絶技巧が炸裂、そこに川口ゆいさんの鞭のようにしなやかで激しいコンテンポラリーダンスがからむ。見応えたっぷり爽快な90分ほどの舞台です。

 バッハの楽譜を分析しその構成要素を取り出して、ブレイクダンスの動きにひとつひとつ「翻訳」していったというヴァータン・ベイジルの大胆にして緻密な振付がまず素晴らしく、ダンサーたちが曲に合わせて踊っているというより、楽譜そのものを視覚的にダンスで表現しているという印象を受けます。

 そして腕自慢のダンサーたちが次々と繰り出す難易度の高いワザ、もうこれが超絶的で。軽快なエントリ、豪快なパワームーブ、胸のすくようなフリーズ、観ているだけで鼻血が出そうな興奮に包まれます。

 しかし、何といっても個人的に気に入ったのは川口ゆいさん。バッハとヒップホップ系の相性がいい、というのはある意味想像通りでしたが、バレエ・モダンダンス系のどちらかと言えば伝統的なコンテンポラリーダンスがあそこまで見事に調和するというのは、想像をはるかに超えていました。

 しなやかで鋭い川口さんのダンス、手足を大きく使った旋回、跳躍。そのリズムがブレイクダンスとぶつかって、あるときはダンスバトルになり、またあるときはパ・ド・ドゥ(デュエット)のように響き合う。

 コンテンポラリーダンスとブレイクダンスが古典の礎の上で出会い、交流し、ときに対立し、和解し、調和してゆく様をエンターティメント性たっぷりに描いた舞台。実に感動的でした。

[キャスト]

振付: ヴァータン・ベイジル
出演: 川口ゆい、ベニー・キモト、パニッシャー、マイケル、リル・ツェンリル・チェン、KC-1、リル・ロック、スパイダー


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『ブルグミュラー25』(近藤良平、斉藤美音子、森下真樹) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 2012年11月04日(日)は、夫婦で神楽坂セッションハウスに行って、近藤良平さんの新作公演を鑑賞しました。日本ではピアノ教則本としてよく知られているブルグミュラー「25の練習曲」をダンス化するというものです。

 広沢麻美さんのピアノ演奏に乗せて、近藤良平さんを含む6名のダンサーたちが踊ります。一つ一つの曲のイメージを再解釈、再構築して、寸劇に仕立てたという演目が次々と。なお、各演目が始まる前に、背景に作品名と原題を投影することで、状況設定(見立て)が理解しやすいように工夫してありました。

 コントめいた演目、ありがちな情景描写の演目、指人形演目、そして素直に踊りを楽しむダンス演目など、様々な内容の演目が27個(曲は25個ですが、同じ曲が二つの演目に使われるケースがあるのです)。演技や仕草、踊りはいずれも大仰で滑稽。誰にでも楽しめるようになっています。

 作品名と原題はあまり関係ありません。純粋に曲を聞いて近藤さんが思い描いたイメージを寸劇にしたのでしょう。例えば、原題が「バラード」であっても、作品名は「露出狂」。原題が「やさしい花」でも作品名は「不眠と受験生」という具合。もちろん演目の内容は作品名の通りです。

 出演者は豪華。森下真樹さんと斉藤美音子さんが出演しているのが個人的には非常に嬉しかった。

 近藤さんの配役がこれがまた巧みで、目を合わせると危険そうな森下真樹さんの恐ろしい迫力、目を逸らすと危険そうな斉藤美音子さんの怖い気配、いずれも演目に思う存分に活かされています。

 黙って立ってるだけでも抜群の存在感がある森下真樹さん、ちょっと目には普通のお姉さんなのに踊り始めると人外魔境の斉藤美音子さん。二人の直接対決という「地上最大の決戦」的演目まであって、近藤さんグッジョブ!だと思います。

 入門用ピアノ練習曲(ヤマハ音楽教室8歳から10歳向け)の舞台ということで、観客席には子供たちの姿もかなり見られました。それを想定したと思しきシモネタ演目も多く、子供たち大喜び。ダンサーたちが大真面目におどけたダンスを踊るシーンも子供たちにウケていて、良かった良かった。

[キャスト]

振付・演出: 近藤良平
出演: 近藤良平、斉藤美音子、森下真樹、中村理、中村蓉、堀菜穂
ピアノ演奏: 広沢麻美


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『That’s が~まるSHOW!』(が~まるちょば(ケッチ!/HIRO-PON)) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 2012年11月01日(木)は、夫婦で八王子のいちょうホールに行って、二人組の人気パントマイムチーム「が~まるちょば」の公演を鑑賞しました。

 言葉を使わず、身振り手振りとマイムだけで観客を大いに沸かす90分の舞台。観客いじりで笑わせるシーンが多いのですが、見どころはやはりマイムのテクニック。

 見えないロープを引っ張る、透明な扉を開け閉めして出入り、存在しない階段(エスカレータ)を降りてゆく、衝立の裏に腕を延ばすと離れた反対側から手のひらが出てくる。その他、いんちき手品の数々。

 いずれも基本的なマイムですが、二人の愉快な掛け合いで観客を爆笑させながらやるので、これが実に可笑しい。個人的には、存在しないロープによる綱引きマイムがお気に入り。しまいには二人の動きが同期するだけでもう笑いが込み上げてきます。

 言葉を使わず身体の動きで何かを表現するという意味で、ダンスとマイムには似たところがあると思えますし、観ていて感じる興奮にも似たものがあります。ただ、子供からお年寄りまで年齢問わず楽しませてしまうところはさすがマイムのパワー。ダンス公演だとなかなかそうはいかないからなあ。


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『日々の暮し方』(振付・演出:小野寺修二) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 2012年10月28日(日)は、夫婦であうるすぽっとに行って、小野寺修二さんの新作公演を鑑賞しました。小野寺修二さんを含む男女六名が出演する、演劇とダンスとマイムが融合したような作品です。

 自ら失踪を予告して姿を消した男。捜索願いを出しに警察署にやってきた女をめぐって様々な混乱が起きる。断片的なプロットはいかにもサスペンス・ミステリー調ですが、もちろん、結末に向かってストーリーが論理的に展開してゆく、といったようなことはありません。

 緻密に組み立てられたマイムが生み出す驚き(複数人物がばらばらに動いているように見えて実は全体として時計仕掛けのように整然としたシステムになっていることに気づく)、思いっきり間を外すことで観客の予想を裏切る変なセリフ、戸惑いを生む場違いなリアクション。次の瞬間に何が起きるか分からないスリルあふれる舞台です。

 いかにも小野寺修二さんらしいと思ったのは、小道具の巧みな使い方。大きな本棚を横倒しにしてアパート、アクセサリをつけて元に戻すとマンション。舞台上を走り回るソファ。逃げるテーブル。光る水槽(亀付き)。暗い背景の前で白い伸縮性のロープを使って様々な図形(家具の形)を作ってみせるシーンは特に印象的。

 純粋なダンスの場面は(マイムを別にするなら)一つだけでしたが、ここは素晴らしかった。感動した。やっぱり私はダンスを観たい人。

 というわけで、全体的な印象としては、『空白に落ちた男』とよく似ているというか、もしかしたらリメイクを意図しているのかも知れません。

[キャスト]

 演出・振付: 小野寺修二
 出演: 南果歩、川合ロン、藤田桃子、矢沢誠、吉村和顕、小野寺修二


タグ:小野寺修二
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『DEDICATED 2012 IMAGE』(中村恩恵、首藤康之) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 2012年10月20日(土)は、夫婦でKAAT神奈川芸術劇場に行って、中村恩恵さんの新作公演を鑑賞しました。映像とダンスのコラボレーション作品で、映像は操上和美さん、共演は首藤康之さんです。

 首藤康之さんのソロ『Between Today and Tomorrow』と映像作品『The Afternoon of a Faun ~ニジンスキーへのオマージュ~』の後、いよいよ始まる中村恩恵さんの振付作品『WHITE ROOM』(世界初演)。

 TV画面に映る10年前の『ブラックバード』(世界的に有名なコレオグラファ、イリ・キリアンが中村恩恵さんのために振り付けた名作)の映像。その前で、現在の中村さんが卵を片手に踊ります。

 『ブラックバード』を踊ったとき懐妊していた中村さん、卵を抱えて踊る今の中村さん。この二人の「共演」により、過去と現在が鮮やかに結びつけられます。その姿、まるでかつて自分に託された『ブラックバード』から、新たな作品を産み出そうと苦しんでいるかのよう。

 しかし、ここまではすべて映像の中。舞台背景として投影されたこの映像を前に、さらに首藤康之さんが踊るのです。その後も、映像と実演を交差させながら、ブラックバードを越えるための苦悶は続きます。

 細密にして高密度、異常に解像度の高い(情報量の多い)中村さんのダンスを観ていると、背中に戦慄が走ります。内へ内へと向かうようなこの抑制のきいた中村さんのダンスと、力強く華のある首藤さんのダンス、これが実に相性抜群。たとえていうなら、焼肉にポン酢、煮込肉にシャンツァイ(パクチー)。いや、そのたとえはどうだろう。

 中村恩恵さんと首藤康之さんの共演で話題になった『Shakespeare THE SONNETS』から1年、中村恩恵さんが『ブラックバード』を踊ってから10年。この節目の年に、この二つを合わせて発展させた作品がこの世に産まれ落ちました。その場に立ち会えて良かった。

[キャスト]

『Between Today and Tomorrow』

  振付: 中村恩恵
  出演: 首藤康之

『The Afternoon of a Faun ~ニジンスキーへのオマージュ~』(映像作品)

  映像: 操上和美
  出演: 首藤康之

『WHITE ROOM』

  振付: 中村恩恵
  アドバイザー・振付: イリ・キリアン
  映像: 操上和美
  出演: 中村恩恵、首藤康之


タグ:中村恩恵
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