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『ハルハトラム 5号』(現代詩の会:編、北爪満喜、白鳥信也、小川三郎、他) [読書(小説・詩)]

 「現代詩の会」メンバー有志により制作された詩誌『ハルハトラム 5号』(発行:2023年4月)をご紹介いたします。ちなみに既刊の紹介はこちら。


2022年04月06日の日記
『ハルハトラム 4号』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2022-04-06

2021年08月02日の日記
『ハルハトラム 3号』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2021-08-02

2020年05月03日の日記
『ハルハトラム 2号』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2020-05-03

2019年07月02日の日記
『ハルハトラム 1号』
https://babahide.blog.ss-blog.jp/2019-07-02




[ハルハトラム 5号 目次]
――――――――――――――――――――――――――――
『秋光』(橘花 美香子)
『サイコロの目をふるピクニック』(長尾 早苗)
『冬薔薇』(水嶋 きょうこ)
『地面に投げる』『小さな光』(来暁)
『春の電車』(小川 三郎)
『川岸』(北爪 満喜)
『空を焼く』(小野 恵美)
『赤道でバスに乗る』(サトミ セキ)
『名刺』(佐峰 存)
『石を磨く人』(沢木 遥香)
『日から出る足』(島野 律子)
『対話している』(白鳥 信也)
『ヒカリ蜥蜴』(楼 ミュウ)
――――――――――――――――――――――――――――

 詩誌『ハルハトラム』に関するお問い合わせは、北爪満喜さんまで。

北爪満喜
kz-maki2@dream.jp




――――
サイコロを振って出た目のマスの数だけ来た電車で進んでください
使う電車は東急田園都市線です
3人1チームで進んでください
最初に偶数が出たら二子新地方面、奇数が出たら中央林間方面
二子新地か中央林間以降に停まる場合には折り返して数えてください
――――
『サイコロの目をふるピクニック』(長尾 早苗)より




――――
春の電車というものは
いかにもよくある出来事なのだ。

この世が終わる気配もなく
次の季節がくる予感もなく
消えゆく景色をただ眺めていた
いかにもよくある私たちは
やはりすぐに済んでしまった。

傾いていく
憧憬と
春の電車はよく似ている
――――
『春の電車』(小川 三郎)より




――――
枯れた木々の間を抜ける声のゆらぎの破れる波を
弧を描いて白いボールが
飛ぶ
流線のうつくしさに
木々の枝を背景に ボールそのものが
音もなく浮かんでいるようで
ボールが蹴られて飛んだことを忘れていた

木陰へシャボン玉が流れてきた
フェンスの網にかかってしまったものは消え
網の上を乗り越えられたものは川岸へと流れていく
寒風が走らせるシャボン玉を誰も追おうとしない
強まる風は
眺めるいとまさえ与えずに
光を引く無数のシャボン玉を
すばやく飛び去らせてしまう
――――
『川岸』(北爪 満喜)より




――――
西の空に飛行機雲が伸びていく
あの飛行機はどこへ向かうのだろう
雲が流れて
街灯が道を照らしていく
何度生まれ直しても
夜は鈍く、痛い
それが私であることの唯一の標となって
私は次の生へと向かう
――――
『石を磨く人』(沢木 遥香)より




――――
森の奥へと分け入って分け入ってシミュラクラ現象にくららんらん

正しい場所に立てば正しい行き先が見える、はず
(問題はどうやって正しい場所を見つけるかなんだ)

不確かさと確かさとが極光みたいに揺らめく境界線

自尊感情低空飛行でも大丈夫なポトスとサンスベリア

幾多の星は放物線を描き幾星霜の骸の上に立つ

光と影 ひかりとかげ ヒカリ蜥蜴
――――
『ヒカリ蜥蜴』(楼 ミュウ)より





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