『モーアシビ 第43号』(白鳥信也:編集、小川三郎・北爪満喜・他) [読書(小説・詩)]
詩、エッセイ、翻訳小説などを掲載する文芸同人誌、『モーアシビ』第43号をご紹介いたします。
[モーアシビ 第43号 目次]
――――――――――――――――――――――――――――
詩
『小さな波立ち』『割れていても』(北爪満喜)
『さまよう 空』(森ミキエ)
『十字架』(小川三郎)
『水の穴』(島野律子)
『コースティクスの叫哭』(楼ミュウ)
『オニヤンマの日』(白鳥信也)
散文
『「霊場恐山」へ行く』(サトミセキ)
『夏草刈』(平井金司)
『風船乗りの汗汗歌日記 その42』(大橋弘)
『退職後の生活(その一)』(清水耕次)
翻訳
『幻想への挑戦 17』(ヴラジーミル・テンドリャコーフ/内山昭一:翻訳)
――――――――――――――――――――――――――――
お問い合わせは、編集発行人である白鳥信也さんまで。
白鳥信也
black.bird@nifty.com
――――
含まれずに
飲みくだされずに
ぽとんっ
雫のように落ちる
水面の
小さな波立ち
朝
水が
光の文字を書いているような波紋が
すべらかに音もなく揺れつづける
水辺へいき
限っている結び目をすこしゆるめてもいいのかもしれないと
爪先から目をあげる
――――
『小さな波立ち』(北爪満喜)より
――――
大勢の人を乗せて
旅客機は遠のいていく
どこまで行くのだろう
中空に
私の人さし指だけが取り残される
風は夏の方角から吹いてくる
――――
『さまよう 空』(森ミキエ)より
――――
あなたの横で
猫の毛にまみれている
大きな林檎を
かじっている
部屋がいくつも
連なっている
私たちの家
あなたは口を開き
言葉は煙となって
部屋に漂う
また
細い糸になって
私の身体に
まとわる
やわらかに
冬は
十字架が似合う
なのでどこへも
出掛けない
――――
『十字架』(小川三郎)
[モーアシビ 第43号 目次]
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詩
『小さな波立ち』『割れていても』(北爪満喜)
『さまよう 空』(森ミキエ)
『十字架』(小川三郎)
『水の穴』(島野律子)
『コースティクスの叫哭』(楼ミュウ)
『オニヤンマの日』(白鳥信也)
散文
『「霊場恐山」へ行く』(サトミセキ)
『夏草刈』(平井金司)
『風船乗りの汗汗歌日記 その42』(大橋弘)
『退職後の生活(その一)』(清水耕次)
翻訳
『幻想への挑戦 17』(ヴラジーミル・テンドリャコーフ/内山昭一:翻訳)
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お問い合わせは、編集発行人である白鳥信也さんまで。
白鳥信也
black.bird@nifty.com
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含まれずに
飲みくだされずに
ぽとんっ
雫のように落ちる
水面の
小さな波立ち
朝
水が
光の文字を書いているような波紋が
すべらかに音もなく揺れつづける
水辺へいき
限っている結び目をすこしゆるめてもいいのかもしれないと
爪先から目をあげる
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『小さな波立ち』(北爪満喜)より
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大勢の人を乗せて
旅客機は遠のいていく
どこまで行くのだろう
中空に
私の人さし指だけが取り残される
風は夏の方角から吹いてくる
――――
『さまよう 空』(森ミキエ)より
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あなたの横で
猫の毛にまみれている
大きな林檎を
かじっている
部屋がいくつも
連なっている
私たちの家
あなたは口を開き
言葉は煙となって
部屋に漂う
また
細い糸になって
私の身体に
まとわる
やわらかに
冬は
十字架が似合う
なのでどこへも
出掛けない
――――
『十字架』(小川三郎)