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『一番美しい女神の部屋(文藝2011年春号掲載)』(笙野頼子) [読書(小説・詩)]

 シリーズ“笙野頼子を読む!”第55回。

 「文藝」春号に、笙野頼子さんの最新作が掲載されました。全六部を予定している大作『神変理層夢経』の序章、その完結篇です。正式タイトルは『小説神変理層夢経・序 便所神受難品 完結篇 一番美しい女神の部屋』。

 いよいよ序章完結ということで、どきどきしながら読んでみました。

「上には生、下には死。上には天、下には海」

というクイズから始まる作品。反射的に「便所」と答えてしまいましたが、それであっていますでしょうか。

 境界としての便所、浄化としての排泄、便所神、といった序章のテーマを中心に、猫介護、一人称複数化、故郷と家族の問題、地神、古代宇佐国など、これまで登場してきた要素が重なり共鳴しあって、ついに様々な声と複数の一人称が同時に語り出す超絶的クライマックスへと盛り上がってゆきます。

 荒神様クイズで始まった序章は、様々な神の語りと千五百年の歴史を経て、ついに地神ちゃんクイズで完結。何とも充実感あふれる読書体験でした。これでまだ序章なのかと思うと、めまいがしそうです。

 今年は、この『神変理層夢経』の本篇第二部(ちなみに第一部『猫ダンジョン荒神』は昨年「すばる」誌上で発表済)の連載、および金毘羅三部作の残り二作の文庫化(ちなみに第一作『金毘羅』は河出文庫から出版済)が予定されているとのことなので、またもや笙野文学に鍛えられる一年になりそうです。楽しみです。


タグ:笙野頼子
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