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『BSベスト・オブ・ベスト ハイビジョン特集 「輝く女 吉田都」』(NHK BShi) [映像(バレエ)]

 今年、英国ロイヤルバレエ団を引退した吉田都さん。彼女をテーマとした二時間近いドキュメンタリー番組(初回放送は2005年5月31日、 NHK BShi)が、さる12月14日に再放送されました。実は私、この番組を見たことがなかったもので、録画しておいてじっくり鑑賞させて頂きました。

 英国ロイヤルバレエ公演『オンディーヌ』(2005年)に向けたレッスン風景を中心に、吉田都さんの生活のあれこれを、関係者へのインタビューも交えて追ってゆきます。

 硬派というか禁欲的というか、そういう印象を受けるドキュメンタリー番組です。陳腐なドラマやらストーリーやら作り込まず、ナレーションすら入れず、解説は最小限、余計なご託は省いてひたすら吉田都さんに語らせる、という方針らしく、すごく好感が持てます。

 中心となるのは『オンディーヌ』の練習シーンなので、あらかじめ市販映像(後述)を観て演目の感じをつかんでおいた方がよく理解できるでしょう。ちなみに市販映像は2009年公演を収録したものですが、相手役が2005年公演と同じエドワード・ワトソン(Edward Watson)なので、かなり参考になると思います。

 というか、2009年公演の映像が頭にあるもので、それから四年前のエドワード・ワトソン(当時はまだプリンシパルにもなっていなかった)がとても若く見えて。どうしていいかわかんないよボク、みたいな、心もとない雰囲気に、ぐっと来たり。英国ロイヤルバレエ団のプリンシパルを数年やれば、この自信なさげな青年も、堂々たる風格をまとうまでに成長するというわけですね。

 吉田都さんも、2005年の映像では、失礼ながら、今よりずっと若く溌剌としているように見えます。当時、「年に50公演の主演を踊っている」と解説されたときには、この頃はそんなに踊っていたんだ、とびっくりしました。同時に「腰に負担がかかり過ぎるので、“眠り”と“白鳥”を踊るのは諦めました」と語るのを聞いて、その過酷さに息をのみ、それから引退するまでさらに五年間もプリンシパルとして踊り続けたことを考えて涙。

 吉田都さんのレッスン風景をじっくり見せてくれますし、舞台映像もけっこうあります。控室を共にするダーシー・バッセル嬢、吉田都さんの番組には必ずといっていいほど顔を出す恩師ピーター・ライト卿、さらには吉田都さんのトウシューズを専門に作っている靴職人さん(これは必見)まで、様々な関係者へのインタビューも興味深い。

 というわけで、さる10月25日に放映された『世界のプリマ 最後の闘いの日々 ~バレリーナ・吉田都~』(NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」)と合わせて、何度も再生したくなる良質のドキュメンタリー番組でした。

    『オンディーヌ』の舞台映像はアマゾンでも購入できます。

    ブルーレイ版
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