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『BBC EARTH グレート・ネイチャー Episode 3 ヌーの大移動』 [映像(映画・ドキュメンタリー)]

 衝撃と感動の『プラネットアース』から三年。BBCの新たな自然ドキュメンタリーシリーズ『BBC EARTH』がやってきました。全6シリーズ34エピソードから構成される大作ですが、ここで焦っても仕方ありません。まずは第1シリーズ『グレート・ネイチャー』全6エピソードを収めたブルーレイBOXセットを購入してみました。

 エピソード3『ヌーの大移動』は、アフリカ中央平原が舞台となります。タンザニア北部に位置するセレンゲティ国立公園における草食動物の大移動と、それが生態系に及ぼす影響がテーマです。

 アフリカ大陸の気象条件が雨期と乾季を作り、それに合わせて大草原が移動してゆきます。それを追って、150万頭のヌー、20万頭のシマウマ、50万頭のガゼルが、毎年1,500キロメートルに及ぶ大移動を行うのです。

 地表を埋めつくし、地響きを立てて移動する300万頭の群れ。その光景は壮観としか言いようがなく、上空から撮影した大地が、まるで絨毯のように揺れ動き、はためいて、地平線に向かって流れてゆきます。

 しかしカメラは雨と草を求めて去ってゆく草食動物たちを追うことはしません。その代わりに、取り残されたライオンやチーター、そしてハイエナなど、肉食動物たちの姿を映すのです。

 普通、「アフリカを舞台にしたヌーとライオンの物語」といえば、獰猛で精悍なライオンと、襲われて喰われる哀れなヌー、という図式になりがちですが、さすがにそこはBBC、一味違います。ここではライオンたちは「負け組」にしか見えません。

 忽然と姿を消してしまった獲物たち。容赦ない乾季にせめたてられ、喉をうるおす水も、姿を隠す灌木もなく、陽炎の向こう、乾いた土の上をのろのろと歩くライオン。身体はやせ衰える一方。やっと仕留めた獲物もハイエナに奪われ、子供たちは飢えて倒れてゆきます。やがて追い詰められたライオンたちの前に現れるのは、炎。乾燥した大地を野火がなめつくすのです。さらには、火山の噴火までが。

 ああ、それは演出過剰では、と思うような苦境ですが、もちろん演出ではありません。毎年、ライオンたちはこの苦境に耐え続けているのです。『ライオンキング』とか観たら怒るだろうなあ。

 ライオンたちが全滅する寸前のところで、ようやく待望の雨が降り始めます。猛烈な勢いで繁茂し始める草。やがて再び大地を轟かせて、その草を求めて獲物たちが戻ってくる。地形、気象、植物、草食動物、肉食動物が含まれる生態系のサイクルが閉じる瞬間は感動的ですが、同時にそのタイミングがいかにきわどく、そのサイクルがどれほど脆いものであるかもまた、実感できます。

 主役のヌーとライオンだけでなく、河を渡るヌーに襲いかかるワニ、弱ったライオンを尻目にさっそうと駆けるチーターなど、様々な野生動物たちの姿をハイビジョン映像で鑑賞できるのも嬉しい。

 特に、イエネコの祖先ともいわれる「リビアネコ」の親子の映像が、我が家では大ヒット。何しろ、うちの飼い猫、キジトラの「みねこ」そっくりなんです。というわけで、うちのみねこは「リビアみねこ」と呼ばれるようになったのですが、それはまた別の話。


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