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『兵士の物語』(アダム・クーパー、ウィル・ケンプ、マシュー・ハート、ゼナイダ・ヤノウスキー、ウィル・タケット) [舞台(バレエ)]

 英国ロイヤル・オペラ・ハウス版『兵士の物語』の日本公演を観るために、夫婦で新国立劇場(中劇場)へ行ってきました。

 演劇とバレエの中間くらいの作品で、上演時間も1時間ちょっとの小品です。もちろんセリフは英語。日本語字幕が表示されます。演出・振付はウィル・タケット。

 まず、舞台美術が非常に印象的です。舞台上に小さな、素朴なステージを仕立て、両脇のテーブルに「観客」たちを配する。こうして、いかにも田舎芝居めいた雰囲気を作り上げています。作品の古臭さというかロシア民話の土俗的雰囲気をそのまま活かすための工夫でしょう。安直に設定を現代に変えるような「古典作品の新演出」とかに比べるとずっとシャレていると思います。

舞台はこんな感じ。(リンクが切れていたらごめんなさい)
http://heishi.jp/wp-content/uploads/2009/06/stagelesbrotherstone.png

 出演者は4名。アダム・クーパーが兵士、ウィル・ケンプが語り手、マシュー・ハートが悪魔、そしてゼナイダ・ヤノウスキーがヒロイン(婚約者/王女)を演じます。他に、劇中劇の観客が数名。なお舞台上の「観客」たちは開幕前から小芝居をやっているので、早めに席についた方がいいです。

 さて、英国ロイヤルバレエ団の現プリンシパル、ゼナイダ・ヤノウスキーのダンスに華があって、とても気に入りました。彼女が踊るだけで、重苦しい舞台の雰囲気がさあっと明るく変わります。ただ、出番が非常に少ないのが残念。

 悪魔役のマシュー・ハートの存在感も素晴らしい。大仰でコミカルな演技、奇怪で観客の目を奪うインパクトある人外ダンス、いずれも印象的でした。特にラストのグロテスクな立ち回りは痛快。彼に比べると、ウィル・ケンプはやや精彩を欠いていたように思います。

 そして主演のアダム・クーパーですが、なまくらなダンス、ぎこちない身のこなし、中途半端な演技、体調でも悪いのかと心配になるようなパフォーマンスで、ちょっと幻滅。こちらの期待が高かったせいかも知れませんが、『スワン・レイク』で見せつけてくれたキレがどうにも感じられません。がっかりです。

 というわけで、公演としてはけっこう楽しめましたが、アダム・クーパーに期待しすぎた観客は落胆することになったかも知れません。こじんまりとした小品の割にチケット代がお高いのもどうでしょうか。個人的にはマシュー・ハートの怪演とゼナイダ・ヤノウスキーのダンスが観られたので満足ですが。


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