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『八幡神と神仏習合』(逵日出典) [読書(教養)]

 シリーズ“笙野頼子を起点に読む!”第7回。

 さあ、笙野頼子さんの新刊『海底八幡宮』がいよいよ今週末に出版されます。今年最初の単行本ということで、まだ週明けだというのに何となくそわそわして落ち着かない気分。そこで、少しでも予習しておくべきではないかと思い立ちました。

 そもそも『海底八幡宮』を読む上で、八幡神について何も知らないというのはさすがにまずいなあと。「何も知らない」というのは謙遜でも何でもなく、

「そもそもヤハタと読むの? ハチマンと読むの?」
「八幡大神と八幡大菩薩って親戚なの?」
「メイド・イン・USAだって聞いたけど?」
「ひょっとして“ハチワンダイバー”って八幡大菩薩のもじりなの?」

といったレベルなので、というか後半はネタですごめんなさい、とにかくまずは一般常識を身につけるべく、本書を読んでみました。

 というわけで、八幡神に関する一般向け解説書です。出版は2007年8月。

 まず第一章と第二章で、神体山信仰、仏教伝来、神仏習合といった基礎知識を簡単に説明してくれます。ここは非常に分かりやすく、特に「神仏習合」という現象がどういう事情で発生したのかを理路整然とまとめてくれているあたり、予備知識に乏しい読者にとってはとてもありがたい。

 第三章でいよいよ宇佐神話から八幡神顕現まで、その由来が詳しく説明されます。その説明は詳しく専門的で、門外漢としてはついてゆくのがやっとという感じです。

 とりあえず理解できたのは、こんな展開。もともと朝鮮半島(新羅)からの渡来人が、日本に移住する際に自分たちの神を持ち込んだ。その外来神はすでに道教および仏教の要素を内包しており、もともと習合に向いている神だった。その外来神が土着の御許山信仰を取り込んで新羅神として降臨した。それを宇佐地方に進出した豪族が制圧し服属させ、日本の神として御許山に顕現させた。これが八幡神の由来。

 『海底八幡宮』を読む上で、この第三章に書いてある歴史がポイントになるため、ここはじっくり何度も読みました。それでも概略をつかむのが精一杯で、細かい議論にはまるでついてゆけず。己の不勉強が恨めしい。

 第四章以降は、八幡神が各地の神霊や仏教と習合を繰り返しながら中央へと進出し、八幡大菩薩として顕現し、本地垂迹説を導き、石清水八幡宮や鶴岡八幡宮へ勧請され、やがて怒濤の全国展開、といった歴史が順を追って解説されています。

 最初の二つの章を除けばやや専門的で詳細な議論が多く、思っていたような簡単な入門書でも気軽に読み流せる軽い読物でもありませんでしたが、八幡神、八幡大菩薩の歴史と時代背景との関わりについてけっこう突っ込んで書かれており、よい勉強となりました。


タグ:笙野頼子
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