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『テースト・オブ・苦虫3』(町田康) [読書(随筆)]

 シリーズ“町田康を読む!”第22回。

 町田康の小説と随筆を出版順に読んでゆくシリーズ。ひどく不快そうな、苦り切った表情のことを「苦虫をかみつぶしたような顔」と表現しますが、その苦虫とやらの味(テースト)、すなわち人生の辛苦をぼやく人気エッセイの第三弾です。単行本出版は2006年11月。

 前作は、けっこう苦し紛れに書いてるという感じがひしひしと伝わってくるエッセイが多かったのですが、今作になると、コツをつかんだのか、はたまたスランプを抜けたのか、それとも飼い猫の死を乗り越えたのか、余裕たっぷりの筆致で読者を笑わせる好エッセイが揃っています。

 いつも眠くて原稿が書けない、すぐに焦ってドツボにはまる自分、あい変わらず仕事でナメた真似さらす奴。もう伝統芸みたいに同じテーマでぼやき続けています。

 さらには、チャック(ジッパー)が噛んで服が脱げなくなった、スリッパー・サンダルを履くと一気にだらけてパンクではいられん、といったどうでもいいネタでどんどん書いてしまう。

 嘘も創作も平気で織りまぜ、もう随筆なのかショートショートなのかコントなのか落語なのかさっぱり分からんけどむっちゃ笑える、という勢い。読んでいて痛快です。

 ここに至っていよいよ苦虫の本領発揮。次の巻を読むのが楽しみです。


タグ:町田康
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