『謎解き 超常現象』（ASIOS）

　ASIOS （Association for Skeptical Investigation of Supernatural : 超常現象の懐疑的調査のための会）の活動が本になりました。懐疑的な立場から、様々なオカルト・超常現象の真相を探ったレポートを42本収録しています。

　ロズウェル事件のように伝統的なネタからオバマ大統領就任式に現れたUFOといった新ネタまで、ヴォイニッチ手稿からアインシュタインの予言まで、幅広い話題がとりあげられています。

　各項目は、「伝説」として巷に流布しているオカルト話を紹介し、続いて「真相」として真偽を調査した結果を示すという、『新・トンデモ超常現象 60の真相』（と学会）と同じ構成で書かれています。というか、内容的にもかぶっているネタが多数あり。ただし流用ネタでも必ず新しい情報が追加されていて、その細かい仕事ぶりにむしろ感心させられます。

　また、ASIOS公式ページをはじめとして、『超常現象の謎解き』、『Skeptic's Wiki』、など懐疑系定番ウェブページの情報も手際よくまとめられています。

　文章は読みやすく、基礎知識のない読者でもついてゆけるよう丁寧に解説されており、写真や図解などのビジュアル面もまずまず充実。そして何より、オカルト話やその信奉者を揶揄したり攻撃したりする傲慢な印象がなく、とにかく好きで色々と調べてみました、という感じが良く出ていて好感が持てます。解けない謎は正直にそう書いてくれる（例えばファフロッキーズ）のも嬉しい。

　テレビやネットで「伝説」だけを教えられていた普通の人がはじめて手にする入門書、という位置づけの本として、項目の選択から内容の絞り込みまで良く練られた好著です。ネットでこの手の情報を追いかけている読者にとっては、目新しい情報が少ないし、内容も薄い、と感じられるかも知れませんが。

　書店のオカルト本コーナーにはこういう本がもっともっと並ぶべきだと思いますし、本書も続編がどんどん出てシリーズ化されることを期待します。

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