『僕秩プレミアム！』（ヨシナガ）

　人気サイト「僕の見た秩序。」の管理人ヨシナガさんが、有料の携帯サイトに書き下ろし連載している「僕秩プレミアム！」が本になりました。

　本家「僕秩」と同じく、ふとした日常観察からスタートして（起）、変な発想が思い浮かんだはいいものの（承）、何だか微妙に間違った方向に走り出し（転）、まさかのオチに辿り着く（結）、という僕秩パターンの随筆が80本以上も収録されています。

「2002年～2007年の5年間は世界的にも写真印刷の少ない『写真暗黒期』とでも言える時代だったではないか？」（p.57）

「普通のレモンには、レモン4.5個分のビタミンCが入っていた」（p.76）

「たまたまTVショッピングを見ているとき大地震が発生したことがある。地震が起きると電話がつながりにくくなるのはご存じのとおりなのだが、なんと番組内では「注文が集中しています！」と終始表示されっぱなしだったのだ。どうしても自分を納得させたくて、電話オペレーターに「本当に注文は殺到しているんでしょうか？」と聞くために電話した」（p.204）

「ディック・ブルーナさんがミッフィーを描く様子を見ると、なんと彼は一度普通に目を描いたあと、再び上から塗るようにしてわざと少し、本当に少しだけはだして描いたのである。ほのぼのさの演出のために、わざとはみ出して描く。とにかくものすごく周到な計算の集大成なんだな・・・とそのとき彼の能力の恐ろしさを改めて感じた。戦って倒すのは本当に至難だろう」（p.127）

「電車の中で、線路の外を流れる景色を見ながら、自分と並行して忍者のような小さなキャラが走っていて、電柱を飛び越えたり電線の上を走ったりするのを想像する」（p.153）

　といった感じで、目のつけどころが小気味よく、そこから出てくる発想も「さすが」と唸らせる、そんな非凡なコラムばかり。大いに楽しめますが、すぐ読み終わってしまうのが残念なところ。

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