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『略奪都市の黄金』(フィリップ・リーヴ) [読書(SF)]

 蒸気エンジン駆動キャタピラで絶え間なく移動を続ける都市群。強い都市が弱い都市を喰って生き延びる“都市淘汰主義”が支配する最終戦争後の世界。飛行船により都市間の交易を担う商人たち。戦争前のハイテク遺品を発掘して持ち込んでくるスカベンジャー。戦争前の技術で作られたターミネーターみたいな戦闘機械兵。

 読者を魅了する設定。宮崎アニメを思わせる生き生きとしたキャラクター。スターウォーズ(エピソード4、5)を思い出させてくれるハラハラドキドキの冒険SF、『移動都市』の続編です。

 ひょっとしたらキャラ人気だけで続けたマンネリ作品かしらん、などと心配しながら読みましたが、大丈夫でした。文句なし、前作をしのぐ面白さです。

 前作はストーリー展開やキャラクターの動かし方にややぎこちない面があったのですが、本作では作者の技量が格段に向上していて、実に伸び伸びとした筆致で書かれています。キャラクターも「あらかじめ用意されたストーリー展開のために無理に動かされている」という不自然な印象がなくなっており、とても良い感じ。

 ストーリーは前作のストレートな続きで、主役2人も同じ。ですから前作から順番に読むことを強くお勧めします。

 全体の流れは、いくつかのプロットが並行して進み、第二部の後半で合流して、そこからラストまでずっとクライマックスシーンが続くという構成になっており、特に後半の活劇と見せ場はサービス満点。あまりの面白さに一気読みしました。

 うーん、しかし「どこがどう面白いのか」と正面から問われたら、実に答えにくい作品です。ストーリーは定番的だし、キャラクターも類型的、前作に比べると新しいアイデアもほとんど無し。なのに間違いなく前作をしのぐ面白さなんですから、とにかく才能あるストーリーテラーが作った物語には何も目新しさなんて必要ないのだ、とか開き直るしかありません。

 反移動都市同盟を乗っ取ったダースベイダー卿みたいな強敵の登場、新天地の発見、ヒロインの妊娠、など次回作への引きも充分。とにかく早く続きが読みたいです。

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