SSブログ

『ハナシにならん! 笑酔亭梅寿謎解噺2』(田中啓文) [読書(ファンタジー・ミステリ・他)]

 田中啓文さんの落語ミステリシリーズ第二弾。

 金髪トサカ頭の不良少年だった竜二が、ひょんなことから落語の師匠、笑酔亭梅寿に弟子入りして、めちゃくちゃシゴかれたり色々な事件に巻き込まれたりするうちに段々と芸道に目覚めてゆき、やがて一人前の落語家を目指す(金髪トサカ頭のまま)みたいな連作短編集。毎回、古典落語のネタをベースに話が展開します。

 第一作の完成度が高かった分、たぶん続編は駄目だろうな、展開が派手になった割にマンネリ化するんだろうな、などと危惧することなかれ。前作をしのぐ傑作になってます。いやホンマです。

 TVに出たり、ラジオのトーク番組を持ったり、破門やら独演会やらヤクザの借金取り立てやら、確かにストーリー展開は派手になってます。ですが、やはり「主人公の(噺家としての)成長物語」「師弟モノ」「ちょっとだけミステリー」という基本線を堅持しているので、小説として安定感があります。というか、もはや名人芸の風格すら漂っています。

 連作短編集なのでツルツルと蕎麦のように読んでしまいました。あの田中啓文さんが、ここまでメジャー感のある小説を書くとはなあ・・・。竜二、梅寿の師弟コンビを中心に、登場人物がいずれも個性的でものすごく印象的です。漫画化されたのも頷けます。

 文庫版では、解説を桂雀三郎さんが書いていて、これがまた面白い。新作落語の台本を募集したら北野勇作氏が優勝した、その北野氏が自分の落語会に連れてきたのが田中啓文氏。飲んでるときに解説を書いてくれ頼まれて、こういうもん書かなならんハメに・・・、みたいな感じで。

 あと、表紙はやっぱり漫画版に合わせて主人公が美形化されています。これだけは、単行本の方が良いと思います。というか美形の竜二にはなじめません。

タグ:田中啓文
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0