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『訴えてやる!大賞 本当にあった仰天裁判73』(ランディ・ カッシンガム) [読書(教養)]

 これは本当に面白い本です。米国における、馬鹿げた訴訟に贈られる「ステラ賞」を選定する人気サイトで取り上げられた、数々の事例が載っています。

 賞の名前は、コーヒーをこぼして火傷をおったことで、マクドナルドを訴え、巨額の賠償金を得て有名になった、ステラおばあさんの名前にちなんでいます。

 さて、ステラ賞を受賞した訴訟をざっと見てみると

2002年度
 母親の命を救おうとしているのを見せられたとして、治療に当たった医師が患者の娘たちから訴えられた事件

2003年度
 警官がスタンガンとピストルを間違えて容疑者を射殺したことで、スタンガンのメーカーが訴えられた事件

2004年度
 シートベルトを装着しないで自動車事故にあった犠牲者の遺族から、車のメーカーが訴えられた事件

・・・てな感じで、他の事件も似たような抱腹絶倒のバカバカしさ。いや、でもこれで弁護士が儲けているんですよね。

 最初は笑って読んでいますが、段々と腹が立ってきて、そのうちに不安になってきます。

・米国では30秒に1件の訴訟が起こっている
・世界中の訴訟の90パーセントが米国で起こされている
・米国では民事訴訟費用がGDPの2パーセントを突破している
・世界中の弁護士の70パーセントが米国に住んでいる
・米国で法律を学ぶ学生の数は、現役弁護士よりも多い

 大丈夫なんでしょうか、米国は?

 とはいえ、我が国も他人事とは言ってられません。

 例えば、医療過誤に対する巨額の賠償金請求のせいで、医者が“リスクの高い”治療や地域から逃げ出している、結果として貧しい人が充分な治療が受けられなくなる、という恐ろしい現象は、『医療崩壊』(小松秀樹)にも書かれている通り、日本でも大きな問題となっています。

 そういうわけで、単に「米国人は幼稚だなあ。精神年齢12歳だな」と笑い飛ばすも良し、「この事態を他山の石として、日本も裁判制度の見直しが必要」と考えるも良し、「法律家の倫理」について真剣に考察するも良し。色々な読み方で楽しめる本です。

 私は“人類の英知について洞察を与えてくれる本”を並べてある書棚に、

『知られざる特殊特許の世界』(稲森謙太郎)
『永久機関の夢と現実』(後藤正彦)
『ドジでまぬけな犯罪者たち』(ダニエル・バトラー他)
『ウソの歴史博物館』(アレックス・バーザ)
『ダーウィン賞!』(ウェンディ・ノースカット)

などの名著(私にとって)といっしょに置いとくことにします。

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