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『HS06』(服部有吉、首藤康之) [舞台(コンテンポラリーダンス)]

 ハンブルグバレエ団が誇る日本人ソリストにして、しばしばノイマイヤーの秘蔵っ子とも呼ばれる服部有吉くん。

 ダンサーとしても振付家としても大活躍で、最近ではハンブルグバレエ団を飛び出し、恋人を追ってカナダ国立バレエ団に駆け落ちする、ってんで話題になっています。やるなあ。

 彼が振り付けた2作品が上演されるというので、渋谷はBunkamura、シアターコクーンまで夫婦で行って観てきました。

 前半は『Homo Science』という作品で、元東京バレエ団の首藤康之さんとのコラボレーション。いわゆるコンテンポラリーダンスです。

 で、これが駄目。がっかり。

 無機質なロボットのイメージをダンスにするという、誰でも考える凡庸なことを、誰もが想像する凡庸な動きで表現し、誰もが危惧する通り退屈でどうしようもない舞台になってしまいました。

 ノイズ系の音楽も不快だし、肝心の首藤康之さんがぱっとしないし、もう失望感でいっぱいです。

 ところが後半、『ゴーシュ』という作品が素晴らしい出来ばえだったので、全体としてはお釣りが来るくらいに満足しました。

 この作品、宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」が原作です。

 主人公ゴーシュ(もちろん服部有吉)は、バレエ団の中でうまくやっていけずに悩んでいる若きダンサーという設定。

 帰宅後、様々な動物たち(ハンブルグバレエ団の方々)が次々とやってきては、頼みもしないのに、強制的に様々なダンスの特訓(笑)を施してくれるという趣向。

 この動物たちとの特訓パ・ド・ドゥが4回ありますが、どれもこれもユーモア溢れる見事な振り付けでした。クラシックバレエの技法がメインですが、他にもミュージカル調やらタップやら、様々なダンスが繰り広げられます。

 ここの部分は、ダンサーとしての服部有吉くんの魅力爆発で、相手役を務めるハンブルグバレエ団員の超絶テクニックと合わせて、思わず拍手喝采です。

 フィナーレで全員が踊るシーケンスでは、振付家としての構成力の甘さが露呈してしまいましたが、失望するほどではなく、まあ今後に期待ということで。

 前の公演"R.HATTER"を観たときも思いましたが、振付家としての服部有吉くんは、辛気臭い心理劇やら抽象舞踏などに向かわず、楽しく愉快なダンス舞台を目指した方がいいと思いました。

 というわけで、前半にしか出ない首藤康之さんは、かなり気の毒だったなあ。

 あと、パンフレットを購入した配偶者が、有吉くんの彼女は『ゴーシュ』でタヌキを踊った女性ダンサーだ、と騒いでいました。そうか、恋人を日本まで連れてきてタヌキを踊らせたか。やるなあ。

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