SSブログ

『怪を訊く日々』(福澤徹三) [読書(随筆)]

 福澤徹三さんの『幻日』と『怪(あやし)の標本』を読んだのは、たしか作者が1962年生まれだという理由からでした。この二冊はどちらも怪談系の短編集で、かなり面白いと思いました。ところが、第三作目『怪を訊く日々』は“実話怪談”集ということで、じゃあいいや~、と思って読まなかったのです。

 というのも、何しろ当時は実話怪談がちょっとしたブームで、新耳袋、超・怖い話、怪奇探偵、と名シリーズが続々と刊行されていたので、やや食傷ぎみだったわけですね。

 今回、文庫化されたのを機会に読んでみたんですが、これ、割とイケてます。新耳袋ほど変じゃない。超・怖い話ほどエグくない。怪奇探偵ほど生々しくない。じゃ何だといえば、岡本綺堂さんの風格ある怪異譚に近い、という感じです。

 強烈な刺激や、畳みかけてくる恐怖に飽き飽きした御仁は、のんびりした気持ちで読んでみたらいかがでしょう。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0