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『バレエ・リュス・プログラム』(パリ・オペラ座) [映像(バレエ)]

 2月19日(金)の深夜、NHK教育「芸術劇場」で、昨年12月に収録されたパリ・オペラ座最新公演「バレエ・リュス・プログラム」を放映してくれましたよ。録画しておいてようやく鑑賞しました。

 バレエ界に革命を起こした伝説のロシア・バレエ団「バレエ・リュス」。その結成100年目にあたる2009年には、世界各地で記念公演が開かれたそうです。私はさいたま芸術劇場でひっそりと開催されていた「バレエ・リュス展」を観ただけですが。

 さて、放映された演目は全部で4つ。どれも小品ですが、何しろ踊っているダンサーが凄い。パリ・オペラ座の人気エトワール総出演の観があります。衣装や舞台美術はオリジナルを忠実に再現したものらしく、もちろん振付も。ああこれが名高いニジンスキーの牛かあ(牧神です!)、おお、これが物議をかもしたという射精シーンかあ、などと、いちいち素直に感動しました。百年もたてば、みんないい思い出。

 まず最初はフォーキン振付『ばらの精』。ニジンスキー役、じゃなくてバラの精を演じるのはマチアス・エイマン、乙女はイザベル・シアラヴォラ。イザベルが実のところ夢みる少女には見えないという問題についてはさて置くとして、エイマンがどうもバラの精らしくないのが少し不満。

 自分が観ているのは幻ではないかと観客が疑ったという伝説の「バラの精」にしては、床にドスンと音を立てて着地するし、いちいち気合を入れてポーズをとるし、最後は窓際まで慎重に寄ってから跳躍するし、確かに踊りは素晴らしいのですが、ダンサーとしての存在感が強すぎて、幻想味というか精霊っぽさに欠けているような気がして残念でした。

 むしろ、数時間前に放映された、2010年バンクーバ五輪フィギュアスケート男子フリーで、渾身のノーミス演技を滑り終えた後、キスアンドクライにてファンからもらった「バラの冠」を堂々とかぶって“ステキなボク”していたジョニー・ウィア選手の方が、人外の存在というか、「バラの精」っぽかったと、そう思います。

 続いてニジンスキー振付の伝説的な『牧神の午後』。牧神を踊ったのはニコラ・ル・リッシュ、ニンフはエミリー・コゼット。とにかくル・リッシュが凄い、こちらは本当に魔物にみえます。あの両手の指先を地面に向けて腰を落としてひょこひょこ歩く変なポーズがちっとも滑稽ではなく、妖魔の凄みが放たれているようで、やっぱりル・リッシュすげえ。

 「どうして私は今、下着泥棒が匂いかいではぁはぁ悶えている舞台を大真面目に観ているのだろうか」といった疑問が脳裏を少しもかすめないというのが大したものです。レオン・バクストの舞台美術の見事さ。その中にダンサーたちがぴったりはまって、まるで全体が一枚の動く絵のよう。素晴らしい。

 続く『三角帽子』はレオニード・マシーン振付のコメディ作品。主演はジョゼ・マルティネズとマリ・アニエス・ジロ。正直言って、長いわりに面白くなく、退屈でした。個人的には、可愛くて色っぽくて頼りたくなる姉御肌のマリ・アニエス・ジロさんの踊りが観られたので満足ではありますが、主演どちらかのファンでないとつらいのではないでしょうか。

 最後はミハイル・フォーキン振付『ペトルーシカ』。主演は、バンジャマン・ペッシュ、クレールマリ・オスタ、ヤン・ブリダール、ステファン・ファヴォラン。ストラビンスキーの音楽に乗せてロシア民族舞踊風の踊りがばりばり登場する作品です。

 全体は4場に分かれていて、最初と最後が謝肉祭のシーン、真ん中がペトルーシカという人形の物語となっています。ペトルーシカの話より、謝肉祭の喧騒が素晴らしい。舞台美術の魅力と音楽の迫力がぴったりマッチして、田舎の祭りの喧騒が生き生きと感じられます。特に第4場で次から次へと繰り広げられる群舞が異様に楽しく、これはずっと観ていたいと思いましたよ。クールなクレールマリ・オスタがカワイイ。

 というわけで、ニジンスキー『牧神の午後』と、フォーキン『ペトルーシカ』が気に入りました。でもひいきのエトワールが誰であるかによって感想は変わると思います。パリ・オペラ座のファンなら必見です。


[バレエ・リュス・プログラム](パリ・オペラ座)

2009年12月、リ・オペラ座ガルニエ宮にて収録
2010年2月19日、NHK教育で放映

 『ばらの精』(ハイル・フォーキン振付)
 主演:マチアス・エイマン、イザベル・シアラヴォラ

 『牧神の午後』(ワツラフ・ニジンスキー振付)
 主演:ニコラ・ル・リッシュ、エミリー・コゼット

 『三角帽子』(レオニード・マシーン振付)
 主演:ジョゼ・マルティネズ、マリ・アニエス・ジロ

 『ペトルーシカ』(ミハイル・フォーキン振付)
 主演:バンジャマン・ペッシュ、クレールマリ・オスタ、ヤン・ブリダール、ステファン・ファヴォラン


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『“ロメオとジュリエット”よりバルコニーのパ・ド・ドゥ』(吉田都、ロバート・テューズリー) [映像(バレエ)]

 1月3日夜に放映された「第53回NHKニューイヤー・オペラコンサート2010」において、吉田都さんが踊ってくれました!

 番組自体は、オペラの歴史を再現するというコンセプトで、NHKホールの舞台を存分に使って、2時間に渡って、時代順にオペラの名シーンを連続上演するという贅沢なもの。その番組のちょうど真ん中で、吉田都さんが「ロメオとジュリエット」の“バルコニーのパ・ド・ドゥ”を踊ったのです。

 昨年放映されて大きな反響を呼んだ『スーパーバレエレッスン ロイヤル・バレエの精華 吉田都』における模範演技と同じく、ロメオ役はロバート・テューズリー。

 演奏はもちろんオーケストラ(模範演技のときはピアノ独奏)、衣装もちゃんとロメジュリだし、バルコニーと階段の大道具は用意されているし、それに何といっても練習室ではなく舞台上で観客を前に踊るというのはやはり違うようです。模範演技のときも感動しましたが、それを上回る情感たっぷりの素晴らしいパフォーマンス。ステップはもちろん、細かいしぐさがいちいち心に響きます。

 正月から吉田都さんのバレエを生放送で観ることが出来るとは。今年は良い年になりそうです。気のせいかも知れませんが。


[番組情報]

放映時間: 2010年1月3日(日) 19:00~21:00
放映チャネル: NHKデジタル教育
出演
 ソプラノ:大村博美、木下美穂子、幸田浩子、佐々木典子、緑川まり、森麻季
 メゾ・ソプラノ:小山由美、波多野睦美、林美智子
 ソプラニスタ:岡本知高
 テノール:佐野成宏、二階谷洋右、福井敬、望月哲也
 バリトン:堀内康雄、与那城敬
 バス:松位浩
 バレエ:吉田都、ロバート・テューズリー
 合唱:藤原歌劇団合唱部、二期会合唱団、新国立劇場合唱団
 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
 指揮:沼尻竜典
 案内人:寺田農


タグ:吉田都
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『バランシンを振り返る -歴史的なロシア公演より』(ニューヨーク・シティ・バレエ) [映像(バレエ)]

 2003年7月末にロシア、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で行われたニューヨーク・シティ・バレエ団の公演を追ったドキュメンタリーフィルムです。

 原題の"Bringing Balanchine Back"というのは、もちろん邦題の通り「振り返る」という意味もあるのでしょうが、どちらかと言えば「バランシンを連れ帰る」という意味の方が強いと思われます。

 というのも、サンクトペテルブルクはジョージ・バランシンの故郷であり、バランシンはそのキャリアをマリインスキー劇場でスタートさせたからです。言わば、ニューヨーク・シティ・バレエ団にとって「聖地」ともいうべき場所。公演にも気合が入るというものです。

 というわけで、本作には一週間に渡って行われた公演の様子が丹念に収録されています。公演前の技術スタッフの準備、オーケストラの練習、選抜メンバーのレッスン風景から始まって、ロシアへ向かう空港や現地での記者会見の光景、ダンサーや関係者へのインタビュー、公演後の観客へのインタビュー、など、多角的な記録です。

 特筆すべきは、リハーサルや本公演の様子が長時間に渡って収録されていること。個人的な印象としては、舞台映像に全体収録時間の半分くらいを費やしてくれたような気がします。

 それも正面から舞台を撮影した公式記録だけでなく、舞台袖から映した映像、リハーサル時に舞台上で撮影したと思しきクローズアップ映像など、様々な角度から観た映像を手際よく編集してあり、まるで視点をてきぱき切り換えて観ているような気分に。素晴らしい。

 収録されている公演映像も「セレナーデ」、「シンフォニー・イン・スリー・ムーブメント」、「シンフォニー・イン・C」、「グラス・ピース」、「アゴン」、「ハレルヤ・ジャンクション」、「ウェスタン・シンフォニー」という具合にニューヨーク・シティ・バレエの代表的な演目が目白押しで、映像記録を観られる機会が少ないNYCBの、これはお宝映像と言ってよいでしょう。

 付録として追加インタビューが収録されていますが、個人的にはマリインスキー劇場の内部のあちこちを映してくれる「マリインスキー劇場ツアー」に興奮しました。


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『スーパーバレエレッスン ロイヤル・バレエの精華 吉田都(14)』 [映像(バレエ)]

 英国ロイヤルバレエ団の元プリンシパル、吉田都さんが講師をつとめる新しい『NHK教育 スーパーバレエレッスン』、その最終回は「総集編」ということで、これまでのレッスン光景の抜粋と模範演技を再放映してくれました。

 嬉しいことに、吉田都さんが踊った模範演技の全てが収録されていました。中でも、3回に分けて放映された『“ロメオとジュリエット”よりバルコニーのパ・ド・ドゥ』を連続で観ることができたのは望外の喜びで、これで録画映像を編集して一本にする手間が省けるというものです。

 というわけで、スーパーバレエレッスンも今回でおしまい。とにかく名残惜しい。吉田都さんも英国ロイヤルバレエ団を正式に退団するそうですし(来年のロイヤルバレエ来日公演がゲストプリンシパルとしての最後の舞台になるようです)、これから彼女の舞台を観ることも少なくなるのか、いやむしろ日本で踊る機会が増えるということか、などなど心乱れて仕方ありません。


[番組情報]

放映時間: 2009年11月27日(金) 12:00~12:25
放映チャネル: NHKデジタル教育


タグ:吉田都
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『スーパーバレエレッスン ロイヤル・バレエの精華 吉田都(13)』 [映像(バレエ)]

 英国ロイヤルバレエ団の元プリンシパル、吉田都さんが講師をつとめる新しい『NHK教育 スーパーバレエレッスン』、その第13回のテーマは「“ロメオとジュリエット”第1幕よりバルコニーのパ・ド・ドゥ<3>」でした。

 有名な「バルコニーのパ・ド・ドゥ」のレッスンも今回で最後です。当然ながら生徒は同じく伊藤友季子さんと今勇也さん。

 二人がくっついたり離れたりを繰り返しながら次第に気持ちが高まってゆき、ついに初めてキスするシーン。全体のハイライトと言っても過言ではないロマンチックなシーケンスで、観客はうっとり見とれるわけですが、踊るのがこんなに難しいとは想像もしていませんでした。

 例えば、それまで戸惑っていたジュリエットが、ロメオを信頼して身体をもたれかけるシーン。彼女の気持ちや二人の関係の変化をうまく表現した美しい場面ですが、ジュリエットは後ろを向いたまま位置取りをして、くるりと反転するやロメオにもたれかかるわけで、最初の位置取りがずれていると支えられずに倒れてしまう。

 ジュリエットがポアント(つま先)で立ってロメオとキスして、抱き合ったまま二人でぐるりと回って、すっと身体を離すシーン。実に自然で情熱的な動きに見えるのですが、何度も練習しないとすぐ体勢が崩れてしまうのですね。

 吉田都さんは言います。ステップは教えられるが、演技面についてはヒントを与えるだけで厳密にこうしろとは指示しない、ダンサーは自分の表現を見つけなければならない、だからダンサーそれぞれの人としての経験が活きてくる作品なのだ、と。

 当然ながらロバート・テューズリーとの模範演技もあり、バルコニーに駆け戻って別れを惜しむシーンまできちんと放映してくれました。

 というわけで今回で最終回だと思っていたのですが、来週は「総集編」があるとのことで、何だか得をしたような気持ちです。


[番組情報]

放映時間: 2009年11月20日(金) 12:00~12:25
放映チャネル: NHKデジタル教育
出演(レッスン):
 吉田都(講師)、伊藤友季子(生徒:ジュリエット)、今勇也(生徒:ロメオ)、江藤勝己(ピアノ)
出演(模範演技):
 吉田都(ジュリエット)、ロバート・テューズリー(ロメオ)、キャサリン・シップウェー(ピアノ)


タグ:吉田都
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