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『声ノマ 全身詩人、吉増剛造展』 [読書(教養)]

「ごあいさつ」より
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吉増はこれまで、詩篇のみならず、先鋭的な朗読パフォーマンス、多重露光による写真、銅板に文字を刻んだオブジェ、ロードムーヴィーのような映像など、様々なジャンルの作品を制作してきました。この「全身詩人」的な在り方を高く評価して、今回、美術館という場所で、詩人の展覧会を開催することにつながりました。
(中略)
 本展には、日記、写真、銅板のオブジェ、カセットテープ、原稿、映像作品が大量に展示されます。原稿には最新作の〈怪物君〉のための数百葉も含まれます。そうした物質としての作品と並行して、非物質的な吉増の声も展示されます。
――――


 2016年7月31日は、夫婦で東京国立近代美術館に行って「声ノマ 全身詩人、吉増剛造展」を鑑賞しました。本書は会場で購入したカタログです。

 250ページ近い分厚さに、日誌・カセットテープ(声ノート)・銅板・写真・原稿など展示されていた作品の一部を収録した上、声ノートの一部を収録したCD二枚が付録としてついてくるという、気合の入ったカタログです。

 吉増剛造さんはもちろん日本を代表する詩人なのですが、福生市民としては、どうしても「地元の著名文化人」という印象が強く。近所の図書館でも「吉増剛造コーナー」は常設されていますし、住民なら誰でも吉増剛造さんの『ふるさと福生』を暗誦できます。後者は嘘ですが。ちなみに吉増剛造さんの単行本読了時の紹介はこちら。


  2015年05月20日の日記
  『ことばの古里、ふるさと福生』(吉増剛造)
  http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2015-05-20

  2015年05月19日の日記
  『静かな場所』(吉増剛造)
  http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2015-05-19


 今回の展示は九つのエリアに分かれており、「日誌・覚書」「写真」「銅板」「〈声ノート〉等」「自筆原稿」「映像」「怪物君」といった具合にエリア毎にテーマを分けて展示してあります。大半の展示場所は薄暗く、四方からぼそぼそと「声」が聞こえてきて、そもそも吉増剛造さんの作品の雰囲気がそうなのですが、まことに呪術的結界というかオカルト空間というか、うっかりあちらに足を踏み入れてしまった、そういう場所になっています。真夏の肝試し。

 凄いのが最後のエリア9。テーマは「コラボレーション」ということで、吉増剛造さんと他のアーティストのコラボレーション映像がループ上演されているのですが、私たちが行った日には、何と舞踏家の大野一雄さんとのパフォーマンス映像が流されていました。

 大野一雄さんといえば舞踏の第一人者。「最も尊敬を集めている日本人ダンサーの一人」(『コンテンポラリー・ダンス 徹底ガイド HYPER』(乗越たかお)より、単行本p.134)なのですが、実のところ映像ですら観たことがなかったので。まさか、まさか、ここで観ることになるとは。不意打ちです。

 パンフレットによると「吉増が55歳の時、つまり1994年に舞踏家の大野一雄と釧路湿原で行ったパフォーマンスの記録映像」とのこと。大野一雄さんの動き。吉増剛造さんの朗読。背景となっている湿原の雰囲気と相まって、この世の光景でない感がひしひしと。



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