2014年を振り返る(2) [小説] [年頭回顧]
2014年を振り返る(2) [小説]
2014年に読んだ小説(SF、ミステリなどのジャンル小説を除く)のうち、印象に残ったものについてまとめてみます。なお、あくまで「2014年に私が読んだ」という意味であって、出版時期とは必ずしも関係ありません。
まず、一昨年に引き続き、笙野頼子さんの作品がどんどんKindle化された年でした。再読懸命。
『人の道御三神といろはにブロガーズ』
『海底八幡宮』
『絶叫師タコグルメと百人の「普通」の男』
『片付けない作家と西の天狗』
『愛別外猫雑記』
『説教師カニバットと百人の危ない美女』
『母の発達』
『レストレス・ドリーム』
『硝子生命論』
それぞれの内容紹介を以下のエントリにまとめました。今後もKindle化されるたびにこのリストを更新してゆく予定です。
2014年09月23日の日記
『Kindleで読める笙野頼子著作リスト(内容紹介つき)』
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23
そして新作として、以下の二冊が出版されました。
『小説神変理層夢経2 猫文学機械品 猫キャンパス荒神』
『未闘病記----膠原病、「混合性結合組織病」の』
これまでずっと難病(膠原病)だったと判明した『未闘病記』は野間文芸賞受賞に輝き、大きな話題となりました。シリーズ最新長篇『猫キャンパス荒神』も無事に出版され、これを皮切りに新しい読者がどんどん増えることを期待したいと思います。
また、昨年に引き続き、津村記久子さんの作品を追いかけた年でもありました。
『カソウスキの行方』
『婚礼、葬礼、その他』
『ミュージック・ブレス・ユー!!』
『アレグリアとは仕事はできない』
『ポトスライムの舟』
『八番筋カウンシル』
『ワーカーズ・ダイジェスト』
『まともな家の子供はいない』
『ポースケ』
『エヴリシング・フロウズ』
あまり報われないながらも真っ当に生き働いている人々の姿が共感を込めて書かれている作品ばかりで、しみじみと胸にせまります。仕事に疲れて空しくなっている方にお勧めです。
社会やら何やらに翻弄される人生を静かに描く多和田葉子さんの作品にも感動しました。
『雪の練習生』
『雲をつかむ話』
『変愛小説集 日本作家編』
岸本佐知子さんが編集した『変愛小説集 日本作家編』は傑作揃いのアンソロジーなので、特に変愛にこだわらなくても、現代の日本小説を代表する短篇集として読んでみて下さい。
松田青子さんは、クリーンヒット短篇集と絵本を出してくれました。世の中、何か騙されているようなことが多すぎます。
『英子の森』
『なんでそんなことするの?』
他に、2014年に読んだ忘れがたい作品と言えば。
『夜は終わらない』(星野智幸)
『御命授天纏佐左目谷行』(日和聡子)
『星座と文学』(福永信)
どれも多大なるインパクトですが、個人的には『御命授天纏佐左目谷行』(日和聡子)の名調子に舞い上がったのがよい思い出です。
矢崎存美さんは、ぶたのぬいぐるみ(の姿をした中年男性)が活躍する「ぶたぶたシリーズ」と、臨死体験(といいつつ美味そうに飯を食う)を扱った「食堂つばめシリーズ」の二枚看板で、コンスタントに面白い話を書いてくれました。もっと広く話題になってもいい作家だと思います。
『ぶたぶたのおかわり!』
『ぶたぶたの本屋さん』
『ぶたぶたのお医者さん』
『食堂つばめ4 冷めない味噌汁』
『食堂つばめ3 駄菓子屋の味』
海外小説では、とにかく以下の二冊が衝撃的な面白さ。小説の魅力というものをとことん教えてくれました。
『ホーム』(トニ・モリスン)
『プリティ・モンスターズ』(ケリー・リンク)
他に、短篇集やアンソロジーも充実していました。印象が強かったのは次の三冊。
『大いなる不満』(セス・フリード)
『月の部屋で会いましょう』(レイ・ヴクサヴィッチ)
『もっと厭な物語』
とんでもない奇想で読者を惹き付けておいて、切ない感傷気分で落とす、というのは今の英米小説のトレンドなんでしょうか。
絵本や児童文学では、次の三冊が強烈でした。子ども向きだと思って油断してはいけないと思います。
『おぞましい二人』(エドワード・ゴーリー)
『夏のルール』(ショーン・タン)
『どろぼうのどろぼん』(斉藤倫)
また、人形作家の林美登利さんが第一写真集を出しました。石神茉莉さんの短篇小説も収録されており、その独特の妖し可愛い世界を盛り上げています。お勧めです。
『Dream Child』(林美登利、石神茉莉、田中流)
最後に、全体の印象をまとめますと、電子書籍への移行が本格的に進んだ年だったと感じます。新刊をあえて買わずに、電子化されるのを待つ、ということも増えました。いいことなのか、問題があるのか、今年はそろそろその答えが見えてくる年になるかも知れません。
2014年に読んだ小説(SF、ミステリなどのジャンル小説を除く)のうち、印象に残ったものについてまとめてみます。なお、あくまで「2014年に私が読んだ」という意味であって、出版時期とは必ずしも関係ありません。
まず、一昨年に引き続き、笙野頼子さんの作品がどんどんKindle化された年でした。再読懸命。
『人の道御三神といろはにブロガーズ』
『海底八幡宮』
『絶叫師タコグルメと百人の「普通」の男』
『片付けない作家と西の天狗』
『愛別外猫雑記』
『説教師カニバットと百人の危ない美女』
『母の発達』
『レストレス・ドリーム』
『硝子生命論』
それぞれの内容紹介を以下のエントリにまとめました。今後もKindle化されるたびにこのリストを更新してゆく予定です。
2014年09月23日の日記
『Kindleで読める笙野頼子著作リスト(内容紹介つき)』
http://babahide.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23
そして新作として、以下の二冊が出版されました。
『小説神変理層夢経2 猫文学機械品 猫キャンパス荒神』
『未闘病記----膠原病、「混合性結合組織病」の』
これまでずっと難病(膠原病)だったと判明した『未闘病記』は野間文芸賞受賞に輝き、大きな話題となりました。シリーズ最新長篇『猫キャンパス荒神』も無事に出版され、これを皮切りに新しい読者がどんどん増えることを期待したいと思います。
また、昨年に引き続き、津村記久子さんの作品を追いかけた年でもありました。
『カソウスキの行方』
『婚礼、葬礼、その他』
『ミュージック・ブレス・ユー!!』
『アレグリアとは仕事はできない』
『ポトスライムの舟』
『八番筋カウンシル』
『ワーカーズ・ダイジェスト』
『まともな家の子供はいない』
『ポースケ』
『エヴリシング・フロウズ』
あまり報われないながらも真っ当に生き働いている人々の姿が共感を込めて書かれている作品ばかりで、しみじみと胸にせまります。仕事に疲れて空しくなっている方にお勧めです。
社会やら何やらに翻弄される人生を静かに描く多和田葉子さんの作品にも感動しました。
『雪の練習生』
『雲をつかむ話』
『変愛小説集 日本作家編』
岸本佐知子さんが編集した『変愛小説集 日本作家編』は傑作揃いのアンソロジーなので、特に変愛にこだわらなくても、現代の日本小説を代表する短篇集として読んでみて下さい。
松田青子さんは、クリーンヒット短篇集と絵本を出してくれました。世の中、何か騙されているようなことが多すぎます。
『英子の森』
『なんでそんなことするの?』
他に、2014年に読んだ忘れがたい作品と言えば。
『夜は終わらない』(星野智幸)
『御命授天纏佐左目谷行』(日和聡子)
『星座と文学』(福永信)
どれも多大なるインパクトですが、個人的には『御命授天纏佐左目谷行』(日和聡子)の名調子に舞い上がったのがよい思い出です。
矢崎存美さんは、ぶたのぬいぐるみ(の姿をした中年男性)が活躍する「ぶたぶたシリーズ」と、臨死体験(といいつつ美味そうに飯を食う)を扱った「食堂つばめシリーズ」の二枚看板で、コンスタントに面白い話を書いてくれました。もっと広く話題になってもいい作家だと思います。
『ぶたぶたのおかわり!』
『ぶたぶたの本屋さん』
『ぶたぶたのお医者さん』
『食堂つばめ4 冷めない味噌汁』
『食堂つばめ3 駄菓子屋の味』
海外小説では、とにかく以下の二冊が衝撃的な面白さ。小説の魅力というものをとことん教えてくれました。
『ホーム』(トニ・モリスン)
『プリティ・モンスターズ』(ケリー・リンク)
他に、短篇集やアンソロジーも充実していました。印象が強かったのは次の三冊。
『大いなる不満』(セス・フリード)
『月の部屋で会いましょう』(レイ・ヴクサヴィッチ)
『もっと厭な物語』
とんでもない奇想で読者を惹き付けておいて、切ない感傷気分で落とす、というのは今の英米小説のトレンドなんでしょうか。
絵本や児童文学では、次の三冊が強烈でした。子ども向きだと思って油断してはいけないと思います。
『おぞましい二人』(エドワード・ゴーリー)
『夏のルール』(ショーン・タン)
『どろぼうのどろぼん』(斉藤倫)
また、人形作家の林美登利さんが第一写真集を出しました。石神茉莉さんの短篇小説も収録されており、その独特の妖し可愛い世界を盛り上げています。お勧めです。
『Dream Child』(林美登利、石神茉莉、田中流)
最後に、全体の印象をまとめますと、電子書籍への移行が本格的に進んだ年だったと感じます。新刊をあえて買わずに、電子化されるのを待つ、ということも増えました。いいことなのか、問題があるのか、今年はそろそろその答えが見えてくる年になるかも知れません。
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